あとがきに代えて

ヨルヒコ  「終わった終わったぁ!あぁ〜っ!やっと羽根を伸ばせるーっ!」

ビャクヤ  「あははっ!連載が終わったんだから、普通はもうちょっとこう、しんみりするものなんじゃないのかなぁ?」

ヨルヒコ  「だってさぁ、痛いしキツいしの繰り返しだったろう?」

ビャクヤ  「それはまぁ、このシリーズの宿命っていうか…」

ヨルヒコ  「俺、高校生だったんだぞ?あんな血みどろの世界にいきなり放り込むなんて…、ヒドくないか?」

ビャクヤ  「でも、平穏な日常を送る主人公が、トラブルに巻き込まれる…、結構あるでしょこういうの?「燃えるっスよ

      ね?こういうシチュ!」って、管理人も…」

ヨルヒコ  「でも自分がなりたくはなかったって!」

ビャクヤ  「う〜ん…、そういう物かも…。ま、それはともかく、最後の出番だよヨルヒコ」

ヨルヒコ  「それは良いけど、なんでアイツ、あとがき普通に書かないんだ?」

ビャクヤ  「「座談会形式にすれば、お客さんも本編の延長の気分で読めて、普通のあとがきよりも楽しめるはず」…だってさ」

ヨルヒコ  「…本当は、自分の言葉で書くのがめんどくさいんだろ?」

ビャクヤ  「良く判ったね?ひょっとして、匂いで感情を読み取れるようになってきた?」

ヨルヒコ  「…いや、判るって何となく…」



  裏話1・方針変更前のシナリオについて


ヨルヒコ  「途中で思いっきり手を入れた、話の本筋の事?」

ビャクヤ  「だねぇ。序盤はそのままだけど、フォウの登場辺りで、当初のシナリオとは大きく変わってる」

フォウ   「少々邪魔するぞ…。私は知らないのだが、それはどういう変更だったのだ?」

ビャクヤ  「うん。せっかくだから、ちょっと詳しく説明しようか。かなり大幅な変更だったし」

フォウ   「ほう…」

ビャクヤ  「まず、フォウの登場後、二回目の邂逅で、ヨルヒコが相麻に囚われるはずだったんだ。フォウにあっさり負けて」

ヨルヒコ  「「あっさり」ってトコ省いてくれよ!」

ビャクヤ  「それで、FILE9から語り手が僕に代わって、ヨルヒコ救出作戦が展開される。この、語り手が僕とヨルヒコと

      で切り替わるはずだったっていうのも変更点だね」

フォウ   「それはまた、大幅な変更だな…」

ビャクヤ  「で、話を戻すと、僕が施設に潜入して、首尾よく再会できたまでは良いけれど、ヨルヒコは相麻の思想…、と

      いうか、フォウに感化しちゃってて、相麻の側に立ってしまっていた」

フォウ   「私に感化?」

ヨルヒコ  「うん…。まぁ、フォウに惚れちゃったってのもあるんだけど、相麻の強大さにビビッたっていうのと、協力す

      れば普通の人間にしてくれるっていう条件に釣られて、ついつい…」

ビャクヤ  「そういう事。でも、人間になれるっていうのはウソ。ライカンスロープを人間に変える技術は、確立されてない」

ヨルヒコ  「うん。で、そんな事も知らずにコロっと騙された俺は、ビャクヤも人間になれるんだって思い込んで、逆に相

      麻に協力するよう、相麻側として説得を始める」

ビャクヤ  「僕が何を言っても聞かずに、ね。で、直接の説得は無理だと悟ったヨルヒコは…」

ヨルヒコ  「カワムラの情報を、相麻に伝える」

フォウ   「そ、それは…、どうなのだ…!?」

ヨルヒコ  「もちろんダメな事だ。でも、俺は自分が救われたい一心と、ビャクヤを人間にしてやりたいっていう思いから

      カワムラを拉致する」

ビャクヤ  「そして、相麻はアサヒちゃんを取引材料にして、僕に投降を迫るため、山を取り囲む」

フォウ   「ヨルヒコは、その時どうしたのだ?」

ヨルヒコ  「もうその時は自分が正しい事をしてるつもりだったから、カワムラには悪いと思いつつも、相麻の指令に従っ

      て、ビャクヤの説得に向かう。この頃には母さんも相麻の監視下に置かれてて、歯向かう事なんてできなくなっ

      てたし…」

ビャクヤ  「そういう事。言葉巧みに丸め込まれた若い人狼は、でもその作戦の最中に、自分が間違った判断を下した事に

      気付く」

フォウ   「間違った?」

ヨルヒコ  「カワムラを逃がそうとした母さんが、相麻に殺されるんだ」

フォウ   「…そういう流れの話だったのか?」

ヨルヒコ  「…うん。そういう話…」

ビャクヤ  「それで、アサヒちゃんを人質にして僕を捕らえるっていう作戦の最中に、ケイコさんは亡くなってしまう。お

      まけに相麻のエージェント、犬のライカンスロープの05が、ライカンスロープの人間化は不可能だっていう事

      を話しているのを、ヨルヒコは偶然聞いてしまう」

ヨルヒコ  「そこで俺とフォウは、自分達が騙されてたって事を初めて知る。そして、母さんが逃がしたカワムラと、他の

      騙されてたエージェント、猪の03なんかだな、彼らを連れて相麻から逃げ出した」

ビャクヤ  「その脱出計画の辺り…、FILE17くらいになるのかな?そこでヨルヒコの視点に戻るんだけど、口を開けばも

      う「死にたい…」「殺してくれ…」のネガティブボーイになってる」

ヨルヒコ  「だって、コロっと騙されたあげく、俺のせいで母さんが死ぬんだし…」

ビャクヤ  「そこからは、相麻への復讐心と、償いたいっていう気持ちを支えに、ヨルヒコは身も心も、「本物の人狼」に

      変わっていく。ついでに言うと、このケイコさんとの死別、相麻からの脱退をきっかけに、ブラッドグラスパー

      として覚醒するはずだった」

ヨルヒコ  「高い代償だよな…」

ビャクヤ  「で、そのネガティブヨルヒコを救うのが…」

フォウ   「君だな?ビャクヤ」

ビャクヤ  「あはは!残念ながら違うんだ。実はアサヒちゃん!」

フォウ   「む?アサヒが?」

ヨルヒコ  「うん。くよくよしてれば、それで母さんが浮かばれるのか?って、母さんが死んだのは、自分を助けたせいだ、

      生きる気力が無くなったなら、母さんの仇である自分を憎め。って…、いささか強引にね」

フォウ   「何と言うか…、実に彼女らしい…、な…」

ヨルヒコ  「うん…。で、それで俺はちょっとずつ前に進めるようになる。そしてビャクヤと義兄弟の契りを交わして、相

      麻潰しに挑む」

ビャクヤ  「そこからは掲載された相麻潜入作戦とほぼ同じ内容。違うといえば、宿敵になるはずだったのに前半で消えた

      犬の05、熊の07の代わりに用意された、ミストとカグラが立ちはだかるって事ぐらい」

ヨルヒコ  「で、壊滅作戦後、俺とフォウは二人で、助力を求めにタマモさんに会いに行く。そこでBCの「若き獣達の休

      日」とちょこっとリンクして、ヤチさん、ヨウコさんと出会う」

ビャクヤ  「でも、そっち側で用意されていたラストはまた違うんだ。ヤチと出会ったその直後、ちょうどカグラと同じ立

      場で追ってきていた05率いる精鋭部隊と交戦状態になって、ヨルヒコはフォウを護る為に、自分自身を燃焼さ

      せたブラッドグラスパーの呪いの炎で、羽交い絞めにした05と諸共に灰になって、その生涯を終える」

ヨルヒコ  「そして、LASTFILEはビャクヤの視点での一年後の話になる。俺と体を重ねたフォウが宿した、新たな人狼の誕

      生。ビャクヤがその子に名をつける。…それが、連載開始当初に用意されていた、ブラッドグラスパーのシナリオ」

フォウ   「何と言うか…、書き手は、悲劇が好きなのか?」

ヨルヒコ  「基本的にココ(頭)おかしいんだよアイツ…」

ビャクヤ  「まぁ何にしても、結末を含めてシナリオ改変して貰って、本当に良かったよ…」(ため息)



   裏話2・「あのシーン」の描写について


ヨルヒコ  「あったあった、こういう変更も…」

ビャクヤ  「これは…、触れて欲しくなかったんだけどなぁ…」(赤面)

アサヒ   「おじゃま〜!」

ヨルヒコ  「来ると思ったよカワムラ…」

アサヒ   「それはまぁ来なくちゃ?だって、BG唯一の18禁エピソードの主役だもの」

ヨルヒコ  「…主役はビャクヤだろ…」

アサヒ   「語り手だからあたしが主役よ!っとまぁ、変更点ってば、何?」

ビャクヤ  「あ〜、うん…、ホントに言い辛いんだけど…、最初はね?僕とアサヒちゃんのアレ、ヨルヒコに目撃される予

     定だったんだ…」

アサヒ   「…へ…?」

ヨルヒコ  「うん…。でまぁ、そんな二人のむつみあいを見て、俺はその…、やっぱり二人は、ビャクヤは、この山に留ま

      るべきだよなぁ、とか、決心するって…流れ?」

アサヒ   「ちょっとイミナ…?こっち来なさい。話とか他の事とか色々あるから…」(ごごごごごご…)

ヨルヒコ  「おおおお落ち着けって!実際には覗き見してないんだから…!」

ビャクヤ  「はい、どうどう…!」

アサヒ   「ふしゅうーっ…!」

ヨルヒコ  「お前怖ぇーよ!相麻の傭兵なんかよりずっと怖ぇーよ!(半泣き)…で、話を戻すけど、それだと若干決心の

      きっかけとして締らない上に、いまいち切なくならない。それで、あのテラスでのソフトなシーンに変わった訳だ」

ビャクヤ  「まぁ…、理由はもう一つあるみたいだけど…」

ヨルヒコ  「あれ?そうなのか?」

ビャクヤ  「触れる必要もないくらい些細な理由だから、気にしなくて良いよ」

アサヒ   「そうなの?…まぁ、覗き見されないなら良いけど…」

ビャクヤ  (…本当は、ヨルヒコ視点の語りじゃあ、情事が細かく書けない上に、前戯抜きの淡白で慌しい描写になるから、

      じっくり書きたいが為に本編から切り離したっていう書き手側の事情は、永久に伏せて置こう…)



   裏話3・競合に敗れ、ボツになったブラッドシリーズの存在


ヨルヒコ  「あ〜、二つ草案こしらえて、結局BGで行く事にしたんだったよな?で、それのボツになった方の話?」

ビャクヤ  「うん。そっちのシナリオが連載されれば、ヨルヒコはともかく、僕は出番が無かったらしいね?」

コスケ   「で、この辺りはオイラの出番な訳でやすねっ!」

ビャクヤ  「そうだね。結局はOUTFILEのみでの出場になったコスケ君とヨルヒコの話になる案だったっけ…。僕は詳しく

      知らないけれど」

ヨルヒコ  「これこそ、俺はあまり触れて欲しくない話題なんだけどなぁ…」(俯き)

コスケ   「んじゃあ、ここはオイラの方からお客さんに説明さして頂きやしょうかねぇ!そもそも、競合に敗れた方のシ

      リーズは、オイラ、七篠鼓助の視点で送る、18禁+同性愛描写を含んだモンだったんでさぁ」

ビャクヤ  「デフォルトで両方含むの?」

コスケ   「そうでさぁ。お気付きのお客さんも多いと思いやすが、オイラ実はBCのANOTHERFILEに出てた「六品保助」

      を元に生まれたんでやすよ。つまり、狸でガチホモって設定を継承してるんでやす」

ビャクヤ  「ああ!プロトタイプヤチの相方の!」

コスケ   「そそっ!そういう訳なんでさぁ!んでぇ、ざざっと用意した本筋の話としちゃあ、この国唯一のライカンスロ

      ープ専用男娼館…、シルバーウルフってぇ娼館で雇われ用心棒をしてるオイラが、娼館の仲間達といろんな事件

      に挑みつつ、想いを寄せてる、館主のツンデレ銀狼「忌名夜彦」に、すげなく追っ払われ、あしらわれつつも、

      頑張って頑張ってその心をどうにか引き寄せようってぇ、聞くも涙、語るも涙の大恋愛物語に…」(モジモジ…)

ヨルヒコ  「ストォオオオオップ!そこまでの詳細は良いからっ!」(必死)

コスケ   「おっと、こいつぁ失礼しやした…」

ヨルヒコ  「何必死になって笑いを堪えてるんだよビャクヤ…」

ビャクヤ  「い、いや…、面白そうじゃない?良いよ。すごく良いと思う。うん。ぷくくっ…!」

ヨルヒコ  「…ったくぅ!で、名前で察しがつくと思うけど、シルバーフォックスとは友好関係にあるトライブっていう設

      定での話だったんだ。で、こっち側でも、ラスト付近ではBCの「若き獣達の休日」とリンクする予定だった」

コスケ   「外敵に攻められたシルバーウルフが、オイラの力及ばず、壊滅寸前に追い込まれて、助けを求めに御前の元へ

      向かうってぇ筋書きでやした」

ヨルヒコ  「ミストとカグラは、本来はこっちに出るはずの敵役だったんだよな?」

コスケ   「でやす。あっちもホモカップルでやすから」

ビャクヤ  「ああ、説明は無かったけれど、カグラのセリフなんかは、ちょっと繋がりを窺わせるなぁとは思ってた…」

コスケ   「一応、管理人の野郎ん中じゃあ、あの二人、正式にカップルって設定らしいんでやす」

ヨルヒコ  「何?虎と狐のカップルって、お気に入りなのか?」

コスケ   「そうなんでやすかねぇ?まぁ、そりゃあともかく、残念な事にオイラの恋物語はボツっちまいやした…」(涙目)

ヨルヒコ  「一部のお客さんに人気のビャクヤに、ガッツリスポットを当てたい。っていうのもあったらしいからなぁ」

ビャクヤ  「お陰様で、こっちの恋は成就したよ…」(照れ笑い)

コスケ   「…とまぁソコで…、オイラにもちったぁ良い目を見して貰えないもんでやすかねぇ?」

ビャクヤ  「良い目って、どんなだい?」

ヨルヒコ  「…一緒にベッドインとかはヤだからな!?俺にはフォウっていう心に決めたヒトが…!」

コスケ   「そ、そこまでは催促しやせんよぅ!…いやほら、せめてこう、一緒に風呂入って背中流しあうぐれぇは良いん

      じゃありやせんかい?ビャクヤの旦那だって、ヨルヒコ君に背中流して貰ってたじゃありやせんか…」(モジ…)

ヨルヒコ  「あ、そういうので良いんだ?いや、てっきり平成狸合戦○ンポコとかそういうの期待されるのかと…」

コスケ   「し、失礼でやすよう!?オイラをどんなヤツだと思ってるんでやすかぁ!?」

ビャクヤ  「しかし伏せ字が微妙だなぁ…。っていうか二人とも、どういう合戦なのソレ…?」



   裏話4・それぞれの今後


ヨルヒコ  「そりゃあもう、大学に通いながら狩人目指すさ」

ユウ    「もちろん、僕も諦めてませんから」

ビャクヤ  「狩人はお勧めできないなぁ…。それはそうと、狩人っていう目標とは別に、ちゃんと就職先も見つけないとダ

      メだよ?」

ヨルヒコ  「えぇっ!?」

ビャクヤ  「いや「えぇっ!?」じゃないから!当り前だから!何ビックリしてるの!?こっちがビックリだよ!?」

ヨルヒコ  「なんで!?いらないだろ普通の仕事なんて!」

ビャクヤ  「まさか「忌名夜彦です。シルバーフォックスで狩人をしております」な〜んて、自己紹介する訳にいかないで

      しょ?レンタルビデオの会員証を作るのに、狩人とは書けないよ?」

ヨルヒコ  「う…!それもそうか…!っていうか会員証ぐらいならフリーターってでも書けば良いけどさ…」

ビャクヤ  「なんだったらタマモさんに頼んで、ホテルのボーイとかどうかな?…健全な方のホテルのね…。ヨルヒコは顔

      も良いから、性格さえ何とかすればいけるんじゃないかと…」

ヨルヒコ  「性格?」

ビャクヤ  「向こう見ずで無鉄砲で無茶で無謀なところ」

ヨルヒコ  「…改めます…」(汗)

ビャクヤ  「ユウ君はお医者さんになるんだっけ?」

ユウ    「はい。もっとも、本心を言えば、医師免許は持てなくても良いんです。仲間の傷を癒すために「医術」を学び

      たいっていうのが、本音なので…」

ビャクヤ  「う〜ん立派…!でも、手に職はつけておいた方が良いよ?カモフラージュとしても、ね」

ヨルヒコ  「そう言うビャクヤは、タマモさんのトライブに居た時は何してたんだ?」

ビャクヤ  「シルバーフォックス地下の、同志達しか入れない区画のバーで、バーキーパーをしてた」

ヨルヒコ  「バーキ…?…パ?何だそれ?」

ユウ    「一般的には、バーテンって呼ばれる事の方が多いですかね?フータイさんもバーテンって名乗ってますし…」

ヨルヒコ  「あ〜、なるほど。…って、ビャクヤはホテルの従業員だったのか…?」

ビャクヤ  「そういう事。…で、今はあそこ、フータイがキーパーやってるんだって?」

ユウ    「えぇ。もっとも、フータイさん自身も居たり居なかったりですけど…」

ビャクヤ  「向いてなさそうだもんねぇフータイ…。強面だし、無愛想だし、明らかに接客向きじゃないし…。何でまた引

      き受けたんだろう?」

ユウ    「タマモさんに頼まれたとか何とか…」

ヨルヒコ  「そこ行くと、ビャクヤは向いてたのかもなぁ…。物腰柔らかいし…」

ユウ    「あ、そうだ。兄さんの方の話になりますけど、今後も探偵をしていくみたいです。来年には家族も一人増えま

      すしね!」

ビャクヤ  「はは!先を越されちゃったなぁ!産まれたら会いに行きたいけれど、こんな伯父さんが会いに行っても、面食

      らって泣かれちゃうかなぁ?」

ヨルヒコ  「そんな事はない!絶対!そもそも、ビャクヤって俺達ライカンスロープの中でも…」

ユウ    「えぇ。凄く無害そうに見えます。ぬいぐるみみたいで」

ビャクヤ  「縫いぐるみみたいとか…、ユウ君が言うかい…?」(苦笑)

ヨルヒコ  「ははは!言えてる!それよっか、ビャクヤの今後は?」

ビャクヤ  「僕は何も変わらないよ。これまでどおり、のんびり気ままにあの山で暮らしていくさ。…アサヒちゃんとね…!」

ヨルヒコ  「いずれはカワムラの親父さんとも会わなきゃないのか?」

ビャクヤ  「時が来たらね…。最悪の場合は、何度でも記憶を否定してやり直して、お父さんとの初顔合わせを成功させる

      よ…」(遠い目)

ヨルヒコ  「が…、頑張ってくれ…。応援しとく…」



   裏話5・その他もろもろ


ヤチ    「で、俺達は「その他」担当か」

フータイ  「そういう事らしい」

ヤチ    「………」

フータイ  「………」

ヤチ    「帰るか」(面倒臭い)

フータイ  「うむ…」(話すの苦手)

ヨウコ   「ダメダメ!ダメですって!ちゃんと仕事して下さいヤ・フー・コンビ!」

ヤチ    「俺は探偵だ。解説者ではない。それと、妙なコンビ名をつけるな!」

フータイ  「バーテンだ。解説者ではない」

ヨウコ   「それでもしなきゃダメですっ!もう…!まずはBGで少し詳しく触れられるようになった、ライカンスロープの

      特殊能力について、お願いします!」

ヤチ    「やれやれ、面倒な…。能力については、俺やヨルヒコの持つ「人狼の呪い」や、タマモさん達の「狐火」など

      が、作品内ではオーソドックスだな。作中でビャクヤから解説があるが、この二つは種として持つ固有の力だ。

      フータイの力もそれに近いんだったな?」

フータイ  「うむ。人狼や妖狐ほど確実に固定されている訳ではないが、我らの力は主に大気への干渉となる。我が「断空」

      も、ブラッディミストの使っていた技も、原理は同じ。どちらも大気を操作して真空、あるいは圧縮した空気に

      よる刃を生み出している」

ヤチ    「そういった力とは別に種に縛られない能力もある。フォウのフロストメモリー、相麻の傭兵が使っていた「振

      動」「ステルス」「石飛礫」等がそうだな」

ヨウコ   「ユウの力は特別なんでしたっけ?」

フータイ  「うむ。ユウの「力の譲渡」、ビャクヤの「干渉否定」は、極々稀に、偶発的に発生するのみで、親から子へと

      受け継がれるような物でもない」

ヤチ    「これらは「ワンオフ」と呼ばれる希少な力だ。実際に、顔の広いタマモさんのツテで探しても、ビャクヤやユ

      ウと同じ力を持つ者は、直接は確認できていない。それぞれの力についても、過去の使い手の記録…、まぁ俺達

      は資料を残さないから、実際には口伝だが…、そういった「知識」としてしか残っていなかった」

ヨウコ   「ヨルヒコ君の力はどうなんですか?」

ヤチ    「ブラッドグラスパーについては、実は俺とフータイも詳しくは知らない。自分の血を媒介にして能力を行使す

      る、いわゆる肉体操作の延長のようなものらしいが…」

フータイ  「だが、いかに肉体操作に長けていようと、特殊な素養が無くば、身に付ける事はできまい。希少である事には

      違いないな」

ヨウコ   「ところで、私やパラケルスス博士の、パシーバー能力は、どうなんでしょう?」

ヤチ    「それも詳しくは判らない。確かなのは、ライカンスロープには持ち得ない力だという事だ」

フータイ  「仮定の域を出ぬ話になるが、おそらくはライカンスロープを狩り出す為に、人間が獲得した能力なのだろう」

ヨウコ   「狩り出す?人間がライカンスロープを…、ですか?逆ではなくて?」

ヤチ    「ああ。ライカンスロープにとっての最大の天敵は、同じライカンスロープですらない。「人間という獣」だ。

      もっとも、殆どの生物にとっての天敵とも言えるだろうが…」

ヨウコ   「何だか複雑な気分です…」

フータイ  「いかに肉体的に優れていようと、我らには結局の所、人間から隠れて生きるか、人間の中に紛れ込んで生きる

      か、その二つ以外に選択肢は無い」

ヨウコ   「でも…、ライカンスロープの皆さんは、人間に取って代わろうとか、そういう事を考えたりもしないんですか

      ね?普通の人間を軽く超えた力を持っているのに…」

ヤチ    「そんな事を企むライカンスロープの存在を、同じライカンスロープが許さないからな」

ヨウコ   「???」

フータイ  「先にヤチが言ったが、人間はライカンスロープの天敵なのだ。忌み、恐れ、疎み、避けながらも、何故か我ら

      は、「人間という獣」に惹かれてしまう…。正に、我らにとっての真なる「天敵」だな…」

ヤチ    「人間と結ばれるライカンスロープは多い。元々数が少ない俺達が、絶滅だけはなんとか避けて血を伝えていら

      れるのは、人間との混血として子孫を残して行けるからだ。そして、俺達の擬態能力は人間の姿にしかなれない。

      完全な獣にはなれず、半人半獣か人間の姿か、この二形態間でしか姿を変えられない。…さらに言うなら数多く

      の生物の中で、人間の血肉だけが俺達をマンイーターに変える効果を持つ…。俺達と人間の関係は、実に複雑で、

      かつ切り離せないものだ。…もっとも、そういった理由以外にも、俺達が人間に惹かれる本当の理由があるのか

      もしれないが…」

フータイ  「でなければ、トライブ内の同種ではなく、わざわざ人間を嫁に迎える人狼が居る事の説明がつかん」

ヤチ    「同種ではないが同志だった!」

ヨウコ   「話がちょっと脱線気味になってきましたが…、この辺りで次の話題。たまに訊かれるらしいのですが、皆さん

      の実力番付ってどうなっているんですか?」

ヤチ    「実力番付?」

ヨウコ   「ええ。誰が一番強いとか、そういう…」

ヤチ    「ビャクヤだな」

フータイ  「うむ」

ヨウコ   「あれ?即答ですか?」

ヤチ    「あいつは別格だ」

フータイ  「実戦から離れて久しかったが…、それでも、な」

ヨウコ   「ふむふむ…、じゃあせっかくなので、ヤチとフータイさんの目で、主なキャラクターに百点満点で得点をつけ

      て貰えますか?」

ヤチ    「むう…。点数、か…」(面倒臭そう)

フータイ  「………」(同じく)

ヨウコ   「せっかくですから!ね?ねっ!?」



名 前        得 点        種・作中で使用した能力等

 字伏 白夜       (100点)   オールドイングリッシュ 干渉否定

 黄 虎太         (80点)   アムールトラ 大気操作

 獅童 司         (75点)   アフリカライオン 王への服従等(キメラブラッド)

 字伏 夜血        (75点)   ハイイロオオカミ(銀毛) 人狼の呪い

 芒野 玉藻        (75点)   アカギツネ(銀毛) 狐火

 七篠 鼓助        (70点)   エゾタヌキ 狸囃子等(錬金術)

 雑司ヶ谷 渦紋      (70点)   インドゾウ 超高速修復等(キメラブラッド)

 ミスト          (70点)   ベンガルトラ(赤毛)

 カグラ(マンイーター)  (70点)   アカギツネ 狐火

 猫井 爪助        (65点)   イリオモテヤマネコ

 輓馬 鞍丸        (65点)   マスタング

 三羽鴉          (65点)   オオガラス 飛ばした羽根の加減速、遠隔操作等

 字伏(佐久間) 優    (60点)   ツキノワグマ(皆白) 力の譲渡 超高速修復

 火暗           (60点)   アカギツネ 狐火

 ネクタールの総帥     (60点)   エゾオオカミ(黒毛) 人狼の呪い

 ネクタールの四天王(笑) (55点)   キメラブラッド

 忌名 夜彦        (50点)   ニホンオオカミ(銀毛) 人狼の呪い(ブラッドグラスパー)

 BCの冒頭で狩られた蜥蜴  (50点)   コモドドラゴン

 芒野 焦狐        (45点)   アカギツネ 狐火

 フォウ(04)      (45点)   ネコ(ターキッシュアンゴラ系の雑種) 冷却

 猪上三郎(03)     (40点)   リュウキュウイノシシ

 他の相麻のエージェント達 (40点)

 相麻やネクタールの傭兵  (40点)

 相麻の実験被害者達    (30点)

 ギリアム・ミラー     (30点)   人間 ライカンスロープハンター

 伊藤           (20点)   人間 やっちゃん



ヤチ    「連載終了時点で言うなら、こんな所か?」

ヨウコ   「…あの…。主人公のヨルヒコ君が「ネクタールの四天王(笑)」より下なんですが…」

フータイ  「「BCの冒頭で狩られた蜥蜴」と同点なのがまた切ないな…」

ヤチ    「いや、実際こんな所だろう。トカゲはマンイーターだったし、ネクタールのキメラブラッドは冗談抜きに強い。

      な?元「ネクタールの四天王(笑)」?」

フータイ  「…その話題には触れるな…」(むすっ)

ヤチ    「なお、平均的なライカンスロープは30点程度と考えてくれ」

フータイ  「あとは、点数通りに上の者が下の者に勝てるかというと、そうとも限らん」

ヨウコ   「え?どうしてですか?」

ヤチ    「相性だ。例えば、人狼の呪いは、ある程度の実力差をひっくり返す」

フータイ  「よって、点数上は俺の方が上だが、実際には俺とヤチはほぼ互角だ」

ヤチ    「タマモさんも俺と同点だが、間合いに入る前に直径数百メートル規模の狐火でも使われたなら、瞬殺される」

フータイ  「その状況では俺でも同じ結果になる」

ヨウコ   「それじゃあ、ヨルヒコ君も?」

ヤチ    「頑張ればクラマル、ソウスケ達と良い勝負ができるだろう」

フータイ  「ついでに言えば、ユウの場合は誰かが共に居る事で真価が発揮される。何せ能力が「力の譲渡」だ」

ヨウコ   「なるほど…」

ヤチ    「まぁ、実際の闘争は数値化できない力と魂のぶつけあいだがな。身体能力や戦闘技術、経験などでランク付け

      するとこうなる…、その程度に考えてくれ」

フータイ  「もっとも、ビャクヤだけは誰が相手でも、あの位置から動かぬだろうが…」



  裏話6・締め


ビャクヤ  「ん?」

ヨルヒコ  「どうかしたのか?」

ビャクヤ  「…いや、今別室で勝手なランキングとかつけられてたような気がするんだけど…」

ヨルヒコ  「それ、どんな具体的な「気がする」だよ…?」

ビャクヤ  「まぁそれは置いといて…。掲載予定は全部消化した。座談会ももう終わる。いよいよ、本当の終了だよ」

ヨルヒコ  「だなー…」

ビャクヤ  「やっぱり、感慨深い?」

ヨルヒコ  「それは…、まぁ…」

ビャクヤ  「ほら!そんな顔しない!泣いても笑っても最後は最後。胸を張って、しゃっきりして、挨拶しなくちゃ」

ヨルヒコ  「う、うん…」(もじっ…)

ビャクヤ  (あ…?ははぁん…、照れてるんだねヨルヒコ…)

ヨルヒコ  「え、えと…。長らくお付き合い、いた、いただっ…いて…」

ビャクヤ  「…あれ…?」

ヨルヒコ  「あ、ありがっ…と…!えふっ…!お、俺…、大変だったけど、…た、楽しかった、です…!」

ビャクヤ  「…ヨルヒコ…」

ヨルヒコ  「え、えぐっふ…!ひっく…!」

ビャクヤ  「よしよし…、大丈夫、手伝うから、二人でやろうね…」

ヨルヒコ  「う、うっ…!んっ…!」

ビャクヤ  「それでは皆様方、今宵この時を持ちまして、片田舎の街に端を発した、我らはぐれの獣共の物語も、ようやく

      幕と相成ります。しかし、いつか再びお目にかかる機会がございますれば、不肖、我ら夜の兄弟、皆様方の内に

      眠る、駆け抜けし夜の物語を、猛き声にて揺り起こしましょう。…なに、ご心配には及びませぬ。お客様の胸の

      内に息づくそれぞれの獣達が、きっと我らの事を覚えてくれておりますので…。さぁ、ヨルヒコ?」

ヨルヒコ  「ん…。それでは、我らと共に夜を駆け抜けて下さいました皆様方に、伝え切れない歓喜と感謝を、不躾ながら

      一言にて!鷹揚のご見物、まっこと!有り難うございました!」

ビャクヤ  「ありがとうございました!」

























ヨルヒコ  「ビャクヤ…」

ビャクヤ  「ん?」

ヨルヒコ  「俺、ちゃんとできたかな…?」

ビャクヤ  「十分さ。立派に締めたよ」

ヨルヒコ  「そっか…。…あの、ビャクヤ…?」

ビャクヤ  「うん?」

ヨルヒコ  「最後まで…、有り難う、な…」(照)

ビャクヤ  「はは!どういたしまして!さぁて、皆も待ってる!あんまりゆっくりしてたら、僕ら抜きで打ち上げが始めら

      れちゃうよ?急ごうか!」

ヨルヒコ  「う、うん!」

                                                      fin