2010年正月特別企画 虎威舞! 新春座談会


エイル       「みなさん、あけましておめでとうであります」

シンジョウ     「あけましておめでとうございます!」

エイル       「これより特別企画、とらいぶ!新春座談会を開始するであります。司会は自分こと、エイル・ヴェカ
          ティーニと…」

シンジョウ     「私、新庄美里(しんじょうみさと)です。どうぞよろしくお願い致します。…それにしてもこのタイ
          トルは…虎?寅年にかけているのかしら…?」

エイル       「暴走族の特服に刺繍してありそうな字面でありますね。さて、今年の座談会も、昨年と似た形式にな
          るであります」

シンジョウ     「コーナー毎にゲストをお呼びするアレですね?」

エイル       「で、あります。インタビューして今後の事や抱負を伺うであります。なお、今年の干支は寅でありま
          すからして、ゲストには…」

シンジョウ     「ああ!各シリーズから虎の皆さんをお呼びする、と?」

エイル       「そういう事であります。では早速、お一人めのゲスト、どうぞであります」



1 ヴィジランテシリーズの事


シンジョウ     「と、タイトルがついたからには…」

エイル       「トップバッターは我等が調停者チーム、ブルーティッシュのリーダー、ダウド・グラハルト氏であり
          ます」

ダウド       「正月早々かったりぃなぁ…」

エイル       「誰かさんと違って出番があるだけマシでありますよ」

シンジョウ     「誰かさん?」

ダウド       「白くてでかくてデブっててムクムクしてる赤い目のアレな」

シンジョウ     「あぁ…。言われてみればここしばらく見ていないような…」

エイル       「とりあえず、アルビオンさんの事は置いておくとするであります。まずはプロジェクトヴィジランテ
          の仔細な内容と進行予定をお伺いしたいのでありますが…」

ダウド       「当然秘密だ。…と言うよりだな、暴露すると思うか?こんな場で…」

エイル       「つられなかったでありますか…」

ダウド       「つられるかよ。まったく…」

シンジョウ     「私にはやり取りの中身が良く解らないわね…。では、ヴィジランテシリーズの今後について!」

ダウド       「今後?」

シンジョウ     「ええ、何か情報などお持ちではないでしょうか?」

ダウド       「情報って言ってもなぁ…」

エイル       「最近AAの更新ばかりでありますが、長編はどうなのでありますか?」

シンジョウ     「そろそろお客様からつつかれているらしいんです。管理しているアレが」

ダウド       「う〜ん…」

エイル       「知らないでありますかね?」

シンジョウ     「やっぱり、無印の後日談でメインの主人公がああなった以上は…」

ダウド       「構想はあるらしいんだが、時期は未定とかなんとか…」

シンジョウ     「うわ知ってた!?」

エイル       「時期が未定というのは、どういう事情でありますか?」

ダウド       「あとはまぁ、候補が三つあって絞り切れてないらしいな」

シンジョウ     「そこのところをもうちょっとkwskお願いします!どんなのが四つ?」

ダウド       「一つは無印のその後、正当な続編になる分だな。こいつは八話ぐらいまで下書きが済んでるらしい。
          本当はAAの「あの話」を書いた後にでも本格的に取りかかろうかと考えたらしいが…」

エイル       「DKK時代の誘惑に負けて叶わなかった…。という事でありますね?」

ダウド       「俺は否定せんが、理由としては、中盤から後半にかけてのストーリーの煮詰め方が足りないんだとさ。
          それで一旦保留状態にして、先に考えていたショートエピソード…、つまり帝居襲撃事件後の話だな、
          あれを載せて行く事にしたそうだ」

シンジョウ     「メールが入りました。「DKK時代のせいでは決して無いっス!」との事ですが…」

エイル       「言わせておくでありますよ」

シンジョウ     「それで、他の候補というのは…?」

ダウド       「ああ、二つめは確か神代家の過去エピソードだったな。あまり長くない…まぁPPぐらいの長さのス
          トーリーらしく、全体の構想は終わってるそうだが、全く手を付けていないらしい。先に挙げた候補よ
          りも先行してこっちを書くべきかどうかってのも、迷ってる事の一つだそうだ。…恐ろしく暗い話らし
          いな…」

シンジョウ     「暗い…ですか…?」

ダウド       「あくまでも「らしい」だが」

エイル       「では、三つめはどういう物でありますか?」

ダウド       「葬り屋と烏丸…、つまりオブシダンクロウ関係の話だな。こいつは中盤までしか話が練れていないそ
          うだ。次期連載候補としては一番可能性が低いな」

シンジョウ     「…ダウドさん…、結構事情通でいらっしゃるんですね…?」

ダウド       「ふふん。まぁな」(本当はネネがマインドハックして盗み出した情報なんだが…、黙っとくか)

エイル       「それでは、時間も押してきたので今年の抱負をお願いするでありますよ」

ダウド       「抱負か…。まぁ、「必勝!」だな」

エイル       「何に勝つのでありますか?」

ダウド       「いや、寅年なんだから猛虎軍が優勝してくれないものかと…」

シンジョウ     「ペナントレースの話ですか?」

エイル       「ええ、リーダーはあそこのファンなのであります。…ですが、抱負ではないような気がするでありま
          すね…」

シンジョウ     「それでは、そろそろお時間ですので、おみくじを引いて頂きます!」

ダウド       「おみくじ?ほー…。そんな企画まで用意してあったのか?」

シンジョウ     「はい!ではこのハンドルを握って、回して頂きます」

ダウド       「お嬢ちゃん、こいつは…、おみくじじゃあなく初売りのくじ引きに良く使われるあれじゃないのか?」

シンジョウ     「…ですね…。何故かエイルさんがコレを用意していたんですが…」

エイル       「おみくじというからには「くじ」に変わりないでありましょう。神社のアレは見つからなかったので、
          お師匠から借りて来たのであります」

ダウド       「…何でこんな物を持ってるんだ?あの引き篭もり…」

シンジョウ     「何だかちょっと違和感がありますが…、お願いします!」

ダウド       「ああ」

エイル       「カラカラカラカラカラカラ…」

ダウド       「口で言うのかよ!」

エイル       「回す音が静かで雰囲気が出ないのでありますよ」

シンジョウ     「変なところで雰囲気重視…」

エイル       「コロリンッ」

シンジョウ     「見た目どおり、玉が出るんですねやっぱり…」

エイル       「その中におみくじが入っているであります。開けてみるでありますよ」

ダウド       (パカッ)「どれどれ?…小吉…?微妙だな。「概ね好調。ただし、調子に乗り過ぎると蹴り落とされ
          ます」だと?」

エイル       「まるでリーダーが引くと見越して書かれでもしたかのような、見事に当たりそうなおみくじでありま
          すね」

ダウド       「まさかと思うが…、これ、お前がくじ作ったわけじゃあないよな?」

エイル       「お師匠に書いて頂いたであります」

ダウド       「なんでユミルが書くんだよ!?」

エイル       「気をつけた方が良いであります。お師匠の予想はかなりの的中率を誇るでありますからして、リーダ
          ーは今年も頻繁に窓から蹴り落とされる…可能性は高いでありましょう」

シンジョウ     「窓から!?頻繁に!?」

エイル       「ブルーティッシュ敷地内では天気予報は当てにならないのであります。快晴でもところにより虎、あ
          るいは血の雨が降るでありましょう」

ダウド       「ネネのヤツ、最近じゃあ全くパイプ椅子で殴らなくなったからなぁ…。大概飛び蹴りで窓から蹴り出
          されるか…、一本背負いで投げ出されるか…。神崎のお嬢様も、すっかりヴァイオレンスになったモン
          だ…」(しみじみ)

エイル       「そうさせたのはリーダーだという説がチーム内での主流を占めているであります」

シンジョウ     「水泳大会で見た限りは清楚な感じだったのに…、そんなに暴力的なひとだったなんて…」

エイル       「リーダー以外に対してはそんな事は無いでありますよ。アルビオンさんには少々厳しいでありますが」



2 エイジオブブルーシリーズの事


シンジョウ     「今度は私がお呼びして来ました」

エイル       「ご紹介するであります。私立星陵高校教諭、寅大(とらひろし)先生であります」

シンジョウ     「それでは先生、どうぞー!」

ヒロ        「どうもどうも、お邪魔するぞぉ」

エイル       「他の虎獣人とは一線を画す体型と性格でありますが、最も常識人なゲストであります」

シンジョウ     「…そう言ってしまうと、他の虎の皆さんが常識人じゃないように聞こえますね…」

エイル       「自分の知っている中では、肥満体型の虎は非常に珍しい存在なのでありますが…」

ヒロ        「ははは。そうかなぁ?」

シンジョウ     「…ズケズケ言うなぁこのひと…」

エイル       「白虎と同等の珍しさと言って差し支えないでありましょう」

シンジョウ     「いや、エイルさんの知り合いに太めの虎が居ないだけでしょうそれは…。明らかに白虎の方が少ない
          から…。ダウドさんしか知らないし私は…」

エイル       「この丸顔。このボリューム感溢れる腹部」(ぽふぽふ)

ヒロ        「はっはっはっ」

エイル       「この重量感溢れる臀部」(なでなで)

シンジョウ     「ちょ、ちょっと失礼ですよエイルさんっ!何処撫でてるんですかっ!」(赤面)

ヒロ        「ははは。女性に尻を撫でられるのは初めての経験だなぁ」

シンジョウ     「…先生…。動じてない…」

エイル       「見事…としか言いようが無いであります。刮目すべき脂肪量であります。衝撃吸収率が気になる分厚
          さと手触りであります」(むにむに)

シンジョウ     「いい加減にしましょうねっ!…まったく…、エイルさんだって太いじゃない…」(ぼそっ…)

エイル       「では質問でありますが、トラ先生は独り身でありましたね?」

ヒロ        「うん」

シンジョウ     「エイルさん、今度は何を…?なるべくならこれ以上失礼な真似は謹んで欲しいんですが…」(嫌な汗)

エイル       「トラ先生の身の振り方について興味をお持ちのお客様が多いようなのであります。ズバリ、新しい恋
          人や、気になる方などは居ないのでありますか?」

ヒロ        「ん〜…。居ないなぁ…」

エイル       「巷の噂では…匿名にしておくでありますが、生徒のM・U君や、同年代のK・Sさんが候補としてや
          り玉にあげられているであります。大本命と対抗という事で」

シンジョウ     「…やり玉って…。っていうか匿名になってないわこれ!」

ヒロ        「ん〜…」(困ったような半笑い)

エイル       「居ないのならば仕方がないでありましょう。では次の質問を…」

シンジョウ     「あら、結構あっさり…」

エイル       「後半で脱線時間を取る為に、序盤は持ち時間を節約するのであります」

シンジョウ     「しなくて良いです脱線」(きっぱり)

エイル       「では改めて次の質問であります。AOMシリーズの今後について、情報などお持ちであれば提供して
          欲しいであります」

ヒロ        「ん〜…。今後と言うか何と言うか、まぁ学校行事で言うと…、プールの季節と林間学校、期末試験に
          夏休みと、イベントは立て続けに来るなぁ。アブクマなんかは全国大会があるから、夏休みも半分返上
          で部活になるだろうし、応援団もしばらく活動が続くだろうなぁ」

シンジョウ     「先生方は夏休みってどうなんですか?」

ヒロ        「はっはっはっ。良く訊かれるんだが、生徒と同じく夏休み…とは行かないんだなぁ私達は。夏休み中
          も学校には頻繁に出るんだ。夏期補習もあるし、プールの監視員も何人か交代で当たる。運動部顧問の
          先生などはそちらでも忙しいしなぁ」

エイル       「てっきり学校の先生方は、夏休み中は長期夏休みなのかと思っていたのでありますが…、お仕事なの
          でありますね?」

ヒロ        「夏休みは学生の特権だからなぁ。中には部活や受験や就活で休みが無い学生も居るがね」

シンジョウ     「トラ先生ご自身の夏のご予定は?例えば帰省とか…」

ヒロ        「ん〜…。帰省といっても、私には田舎の実家とかそういったものが無いんだが…。まぁ、お盆に墓参
          りして回るぐらいかなぁ…。やる事はそれなりにあるんだが、学期中と違って余裕はあるから、のんび
          り過ごそうかなぁ」

エイル       「それでは、トラ先生にも今年の抱負をお願いするでありますよ」

ヒロ        「ん〜…。「オシタリに赤点をとらせない」かなぁ…」

シンジョウ     「……………………ヤバそうなんでしょうか?」

ヒロ        「うん」

エイル       「いかほどでありますか?」

ヒロ        「相当だなぁ」

シンジョウ     「…ウツノミヤ君のキッツい当たり方が彼に対して一際尖っている理由が…判ったような気がするわ…」

エイル       「ではそろそろ、ドキドキおみくじタイムであります。良いくじを引いてハッピーな一年を過ごして欲
          しいであります」

ヒロ        「おお、おみくじまであるのかぁ?」

シンジョウ     「では先生、このハンドルを握って…」

ヒロ        「ん〜…?何だかこれはおみくじというより抽選の…」

シンジョウ     「ま、まぁまぁ、とりあえず回して下さい。中身はおみくじですから!」

ヒロ        「んん、それじゃあ早速…」

エイル       「カラカラカラカラカラカラ…」

ヒロ        「効果音は口なんだなぁ…」

シンジョウ     「雰囲気作りだそうです…」

エイル       「コロリンッ」

シンジョウ     「出ましたっ!先生、その玉を開けてみて下さい」

ヒロ        「開けろと言われても…、小さくて開け辛いぞぉこれ…」

シンジョウ     「…ダウドさんの指も相当ゴツかったけれど…、先生の場合は指が太過ぎて玉が本来の半分ぐらいに見
          えるわね…」

ヒロ        (パカッ)「おお開いた。ふむ…、大吉だぞぉ。ついてるなぁ」

シンジョウ     「おめでとうございます!それで、他には何と?」

ヒロ        「ん…「色々な意味で恵まれた年になるでしょう」…だそうだ」

シンジョウ     「…「色々な意味で」…?何だか素直に吉兆と受け取れない一言が入ってるわ…」

エイル       「恵まれるのはトラブルに…だったりするかもしれないであります」

シンジョウ     「ヤな例を出すわねぇこのひと…」

ヒロ        「はっはっはっ。トラブルに恵まれているのは毎年の事なんだが、それでも概ね平和に過ごしているか
          らなぁ」

シンジョウ     「…先生…ちっとも動じない…」

エイル       「乱れた所を見てみたいであります。それこそ「色々な意味で」」



3 ブラッドシリーズの事


シンジョウ     「…失礼を承知で言うと…、私、軽くビックリしてます…」

エイル       「何に、でありますか?」

シンジョウ     「このゲストの方がきちんといらしているという事と、このコーナー自体の存在に、です…」

フータイ      「寅年でさえ無ければ、俺が来なくとも良かった物を…」

エイル       「では改めてご紹介するであります。ホテルシルバーフォックス、アンダーグラウンドバーのバーキー
          パー、黄虎太(ホァンフータイ)さんであります」

シンジョウ     「よろしくお願いします!」

フータイ      「む…。お手柔らかに…」

エイル       「では早速お訊きしたいのでありますが、フータイさんは今、バーのマスターをしているのであります
          よね?」

フータイ      「いかにも。…もっとも、ホテル地下の一般人立入禁止区画のバー故に、客は顔馴染みばかりだが」

シンジョウ     「こう言うのもなんですけど、普通に営業しているんですか?」

フータイ      「いや、店も開けたり開けなかったりといった具合だ。何せ働き手が俺のみ…、俺まで狩りに回らねば
          ならん日は閉まっている上、遠出の時には数日閉めたままという事もある。…まぁ、開けていても一日
          に一人二人しか客は来ない。…未成年のユウやヨルヒコ達を除いてだが…」

エイル       「商売になっていないでありますね…」

フータイ      「まぁ、元々商売の体を為しておらんからな…。あの雌狐の亡夫が整えた地下区画は、同志達のくつろ
          ぎの場として生まれた。故にバーでも、飲み物も食事も無料で提供している」

エイル       「そのくつろぎの場に、よりによってフータイさんが配置されているのでありますね?」

フータイ      「おおよその予想はつくが、あの雌狐なりの考えがあっての事らしい。…かつて敵対していた俺を他の
          同志に溶け込ませようと、いらぬ気を回したのだろう…」

エイル       「ところで、今後の予定はどうなっているのでありますか?」

フータイ      「連載の予定はしばらく無いらしい。連載枠に一つ余裕が出れば改めて考えないでもない…との曖昧な
          状態らしいのだが…」

シンジョウ     「同時に書くのは3シリーズが限界らしいですからね…」

フータイ      「だが、少し手を入れれば掲載できそうな品が一本あるらしい」

シンジョウ     「あら?意外ですね、そんな品が…」

エイル       「一体いつ書いていたのでありましょう?」

フータイ      「最近書いた物では無いそうだ。ブラッドグラスパー連載終了時にアウトファイル候補として構想を練
          り、六割方まで書いたが完成前にボツにして放り出したとか…」

エイル       「何故ボツにしたのでありましょう?」

フータイ      「出来が気に食わなかったそうだ」

シンジョウ     「出来で選り好み?そんな事をするほど出来が良いのなんて書いてないじゃない…」

フータイ      「全くだ」

エイル       「それでは今年の抱負など、お願いしたいであります」

フータイ      「抱負か。…そうだな…、今年は…「少し優しくなれるよう努力する」…か…」

シンジョウ     「………!」(必死に笑いを堪えている)

エイル       「デレの部分を強化でありますね?頑張って欲しいであります」

フータイ      「デレ?」

シンジョウ     「あぁいえこっちの話です!あははははっ!」

エイル       「ではそろそろ、ワクワクおみくじタイムであります。良いくじを引いてハッピッピな一年を過ごして
          欲しいであります」

フータイ      「これを回すのか?」

シンジョウ     「はい。…あれ?何だか凄く自然にハンドル握りましたが、違和感とか無いですか?」

フータイ      「違和感?いや…、実はおみくじなど実際に引くのはこれが初めてで…」

エイル       「おみくじ初体験でありますか?」

フータイ      「うむ。国の故郷には勿論この風習は無かった上に、日本に渡ってからも初詣やおみくじなどと言う風
          習は体験しようと思わなかった。言葉のみの知識やテレビで見た記憶からある程度のイメージは固まっ
          ているが…」

エイル       「ユウさんなどから誘われないのでありますか?」

フータイ      「…毎年…断わっている…。俺など誘わず、あいつは友人や家族と行けば良いのだ…」(そっぽを向く)

シンジョウ     「…素直じゃないなぁ…」(苦笑)

エイル       「では、回して欲しいであります」

フータイ      「うむ」

エイル       「カラカラカラカラカラカラ…」

フータイ      「………」(手元に集中)

シンジョウ     「…やっぱりこのゲストからはツッコミが入らないわね…」

エイル       「コロリンッ」

シンジョウ     「出ましたね、その玉の中にくじが入っているので、開けてみて下さい」

フータイ      「こうか…?」(パカッ)

エイル       「結果はどうでありますか?」

フータイ      「吉」

シンジョウ     「おめでとうございます!他に何か書いてありませんか?」

フータイ      「…「飴と鞭のバランスを程よく維持してゆきましょう。飴鞭鞭飴鞭鞭鞭ほどが吉」…と…」

シンジョウ     「何それ…!?」

エイル       「つまり、デレツンツンデレツンツンツンぐらいが丁度良いという事でありましょうか?」

フータイ      「…?」(首を捻る)

シンジョウ     「やっぱりこんな説明じゃ理解して貰えない…」

エイル       「恐らくツンデレの意味も判らず、自分がそうである自覚も無いのでありましょう」



4 配達人の事


シンジョウ     「配達人は主役が虎ですからね」

エイル       「お呼びする方は決まっているであります。それではムンカルさん、どうぞであります」

ミカール      「お邪魔〜。アケオメや〜」

エイル&シンジョウ 『……………』

ミカール      「ん?どないしたんや?ハトが豆鉄砲もろたような顔して…」

シンジョウ     「あの…、ムンカルさんは…?」

ミカール      「「きゅーなふくつー」で欠席や。で、ピンチヒッターな、ワシ」

シンジョウ     「「きゅーなふくつー」…ですか?」

エイル       「「きゅーなふくつー」でありますか?」

ミカール      「そや、「きゅーなふくつー」。トイレと親交深めとる」

エイル       「…嘘っこ臭いであります…」(ぼそぼそ…)

シンジョウ     「一体何をされたんでしょうか?ムンカルさん」(ひそひそ…)

ムンカル      (バガァン!)「ジャストァモーメンッ!」

シンジョウ     「おぉうビックリしたぁっ!…ってキャァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

ミカール      「ちっ!脱出して来よったか!そんなカッコで…」

ムンカル      「はぁ…!はぁ…!ミカール…、お前一体どういうつもりだ!?」

エイル       「ムンカルさんこそ、その格好は何のつもりなのでありましょうか?」

ムンカル      「ん?…あぁ…、こ、これ…、な…?は、はははっ…、これには深い訳がだな…」

エイル       「半ケツ状態のボクブリ一枚というほぼ全裸に近い状態で全身へ余す事無く細やかにさながらハムの如
          く食い込むほどきつく荒縄を巻き付けた衝撃的なその格好に深い訳があるのでありますね?」

ムンカル      「詳細を語るなっ!」

ミカール      「あれだけ厳重にベッドに縛り付けとったのに…、しぶといヤツや…。よう脱出できたな?」

ムンカル      「大声出したら旦那とナキールが部屋に来てくれたからな」

ミカール      「ちっ…!空間隔離しとくべきやった…」

ムンカル      「お前そこまでして…!」

シンジョウ     「ま、まずは服を着て下さいムンカルさん!落ち着いて服をっ!」

ムンカル      「おっと悪い…」


 ―ただいま、見苦しい点があった事を深くお詫び致します。大変申し訳御座いませんが、しばらくお待ち下さい―



ムンカル      「くそっ!新年早々何て目に遭ってんだ俺!」

ミカール      「ワシを差し置いてゲストにお呼ばれしよなんてけしからん事考えとるさかい、こないな事になっても
          うたんやで?ダメっ子…」(優しい目)

ムンカル      「ダメっ子言うな!あと「なってもうた」じゃねぇだろ!?お前がやったんだろ!?加害者が訳知り面
          で説教するんじゃねぇよ!」

エイル       「ミカールさんは、ひょっとしてゲストに呼ばれたかったのでありますか?」

ミカール      「う〜ん…。このダァホがポカ仕出かすんやないかて心配やったから来たっちゅうのがメインの理由な
          んやけどな?…ほれ、あんなナリで登場とか、早速やらかしとるし…」

ムンカル      「お前が原因だろ!?」

ミカール      (堂々とシカト)「けどまぁ実はな…、も一個理由ある…。こっちのが大事な理由や」

シンジョウ     「大事な?一体どんな…?」

ミカール      「…何で…」(ぼそっ…)

一同        『………』(静聴中)

ミカール      「何で獅子年って無いんや!?」

シンジョウ     「…へ…?」(ポカン…)

ムンカル      「…何でって…」(唖然…)

ミカール      「何でトラなんや!?何で獅子年とかあかんねや!?そこ納得できへんわワシ!」(不機嫌)

エイル       「レッサーパンダ年も無いであります」(同調)

ミカール      「虎て何やズルないか?同じ猫科やのに、何で猫年とかでひっくるめんで虎にしとるん?干支の昔話読
          んでみたけどな、ライオンには触れてへんでちっとも!それだけやない!虎なんかより人気あるもん仰
          山おるやろ!?なのに出てへん!」

エイル       「ここは公正に、十二支とは言わず全種を干支にするべきだと思うであります。あくまでも公正に、最
          低でも亜種レベルで…」

シンジョウ     「一廻りにどれだけかかるんですかそれっ!?」

ミカール      「ワシどれだけかかっても構へんし」

シンジョウ     「構う構わないじゃなくて…」

エイル       「十二支だけでは公平性を欠いているであります」

シンジョウ     「だから公平とかそういう物でもなくて…」

ミカール      「不買運動や!こうなったら不買運動で干支体制を変えるよう抗議したる!」

シンジョウ     「いや…あの…、ミカールさん…?何を何処から買うのを止めても干支は変わらないかと…」

エイル       「ではストライキに訴えるであります」

シンジョウ     「ストしたって効果無いからたぶん!って言うか、何でそんなに食いついてるんですかエイルさんは!」

ムンカル      「………」(寂しげ)

シンジョウ     「…あ…。あぁもぉほらっ!関係ない話に夢中になってほったらかしにしてるから、ムンカルさんが寂
          しげにお茶を啜りながら黙り込んじゃってる!」

ムンカル      「いや…、良いって別に…。…この茶、美味いな…」(こんな席でもないがしろ)

シンジョウ     「え、えぇと…。ほらエイルさん!」

エイル       「魚類も対象になるでありますかね?」

ミカール      「せやな、公平に見て入れとかんと…。虫達なんかもやな。ミミズやってオカラやってアメンボやって、
          みんなみんな生きておるんや友達なんや」

シンジョウ     「そこオカラじゃなくてオケラですよオケラ!オカラは食べ物!…って、だめねコレ…、すっかり話に
          夢中だし…」

ムンカル      「俺の事は良いって…。今年もたぶんこんな感じなんだろうからよ…」

シンジョウ     「…豪快そうに見えて結構繊細なのよね、このひと…。コホン!そ、そう言えばムンカルさん!年末ま
          での配達人は、ついに「主役」の誕生秘話まで出ましたよね!?」

ムンカル      「あぁ…、だったな…」

シンジョウ     「やっぱり満を持して、ある程度ストーリーを進めてからあのエピソードが掲載されたんですよね!?
          とても「重要な所」だから溜めに溜めて!」

ムンカル      「そう…なのか…な…?」

シンジョウ     「そうなんでしょうきっと!「大事な部分」だからっ!何と言っても「主役」の秘密に触れる所ですか
          らね!」

ムンカル      「ま、まぁな!大事な話だからまぁ、今までで一番長くなってたしなぁエピソード!がははははっ!」

シンジョウ     「…ほっ…、何とか機嫌直ったわね…。それでムンカルさん、配達人の今後の予定とか、情報は有りま
          せんか!?」

ムンカル      「情報って言うか…、ちょっと先までのおおよその主題なら…」

シンジョウ     「凄いじゃないですか!さすが「主役」!それで、どんな感じなんでしょう!?」

ムンカル      「しばらく激しいのが続いたからな、息抜きって事でウチのフネなんかの日常的なモンをショートエピ
          ソードでやろうかとか考えてるみてぇだな、アレは」

シンジョウ     「ほうほう!と言うと、配達人さん方のオフの過ごし方などでしょうかっ!?」

ムンカル      「おおよそそんな感じらしいぜ」

シンジョウ     「それは気になります!普段のオフをどうやって過ごしているのか想像し難い方もいらっしゃいますか
          らねぇ!…ナキールさんとか特に…」

ムンカル      「どう過ごすって、アイツの場合は日がな一日…、いや、何でもねぇ…」

シンジョウ     「では!この辺りで今年の抱負など、どうぞぉっ!」(盛り上げ意識が働いて少しテンション上昇中)

ムンカル      「う〜ん…。「おとす」…だな…!」

シンジョウ     「…はい?えぇと…、上げる系じゃなくて?」

ムンカル      「おとす!!!」

シンジョウ     「…言葉の意味は良く判りませんが…、何やら気合は十分漲っているようです!頑張って下さい!」

ムンカル      「おうよっ!」

シンジョウ     「それでは続いて…」

エイル       「ハラハラおみくじタイムでありますね」

シンジョウ     「あ…、(二人の世界から)帰って来た…。それではムンカルさん、このハンドルを回して下さい!」

ミカール      「ワシが回したろか?」

ムンカル      「自分でやるっての!ど〜れ…」

エイル       「カラカラカラカラカラカラ…」

ミカール      「って口で言うんかいっ!」(ズビシッ)

ムンカル      「俺にツッコむのかよ!」

エイル       「コロリンッ」

ミカール      「どれどれ…?ってまだ出てへんがな!」(ズビシッ)

ムンカル      「だから俺にツッコむなよ!」

シンジョウ     「…ぷふ…」(ミカールのツッコミが期待通りで割と満足気)

エイル       「カラリンッ」

ムンカル      「お!出た出た!」

ミカール      「ってこれくじ引きのやないかいっ!」(スパンッ)

ムンカル      「そこにツッコむの遅ぇっ!あと何で俺にツッコむ!?それとスリッパでツッコむな!」

シンジョウ     「…ぷっ…!」(期待通りの流れに満足気)

エイル       「その中におみくじが入っているであります。開けてみるでありますよ」

ムンカル      (パカッ)「さぁて、何が出………………」

エイル       「何でありますか?」

ムンカル      「…大凶…」(ぼそっ)

シンジョウ     「っ!?」

ミカール      「ギャハハハハハハハっ!!!」

エイル       「それは珍しいでありますね」

シンジョウ     「…ちょちょちょちょっとエイルさん!何で大凶なんて入ってるんですかっ…!?」(ぼそぼそ)

エイル       「「結果は全種類コンプリートしておかなくてはならない」…と、お師匠が用意してくれたであります。
          なお、大凶は大吉よりレアであります」(ひそひそ)

シンジョウ     「レアとかどうとかじゃなくてっ!ああもうホラっ!ムンカルさんヘコんでるじゃないですか!」

ムンカル      「い…いやいやヘコんでなんかねぇさ!こ、こういう場面で大凶引くとか、おいしいだろ!?な!?俺
          やったろ!?」(何だか必死)

ミカール      「言えとるで、おいしいトコや!他がみ〜んな吉引いとんのにお前だけマイナスやさかいな!それも凶
          飛び越して大凶て!ギャハハハハっ!ヤバいっ!おもろ過ぎるでお前っ!」

ムンカル      「…はは…。だよな…」(やや哀しそうな笑み)

エイル       「中には何と書いてあったでありますか?」

ムンカル      「えぇと…「全て悪し。ないがしろにされる日々が続くでしょう」…」

エイル       「これはまた、引くべき人物の所へ行ったでありま…もがっ…」

シンジョウ     (エイルの口を塞ぎつつ)「む、ムンカルさん!その凶っていう字、良く見て下さい!」

ムンカル      「ん…?」

シンジョウ     「凶…、メがハコの中に入ってるような字ですよね?」

ムンカル      「ああ…」

シンジョウ     「そのハコ、上が開いているんですけれど、メがハコから出たがっているって見方があるんですよ?」

ムンカル      「メがハコから出たがって…?だから何だ?」

シンジョウ     「「メ」が「出たい」…つまり「めでたい」です」

ムンカル      「…めでたい…?」

シンジョウ     「ええ!つまり大までついているから「とってもめでたい」なんですよ!」

ムンカル      「おおっ!?良い事聞いた!すげぇめでてぇんだなコレ!」

エイル       「流石はシンジョウさん。舌先三寸で上手く丸め込んだでありますね?」

シンジョウ     「そういう言い方されると印象が悪いわねぇ…」

ミカール      「良かったやないかムンカル!…オドレの頭と同じ、めでたいくじで…」



5 締めっ


シンジョウ     「さて、これで全員ですね!」

エイル       「お疲れ様でありました」

シンジョウ     「本当に疲れましたよ。…エイルさん、脱線させまくるんだもの…」(ジト目)

エイル       「脱線結構。人生、時には寄り道も必要でありま…」

シンジョウ     「それは夏にも聞きましたっ!機関車T君の事でしょう!?」

エイル       「たまには脱線も良い物であります」

シンジョウ     「エイルさんと組んで司会するの、前回から続いて二回目ですけれど…、二回とも脱線して…いえ、さ
          せていましたよね?率的には「たまには」と言えません…」

エイル       「残りは締めの挨拶だけでありますから、もう脱線もさせないでありますよ」

シンジョウ     「頼みますホント。コホン!え〜それでは…、皆様!本年度も当サイトを…」

エイル       「何卒、よろしくお願いするであります」