クロエ  「たまにはガッツリ肉とか食べたい…。でもステーキ屋さんに行くと小遣いが…。そんな!全国の!悩める!男子
     に!手間をかけないで美味しく安くステーキを!」

ニノマエ 「…ぅや…!?今日、どうしたの…?何かあった…?」

クロエ  「いや肉安かったから。…って何?何でちょっと引いてんの?」

ニノマエ 「ちょっぴり目が怖かった…」

クロエ  「…コホン!そ、そんな事ないサー!俺は無害な男サー!ナンクルナイサー!」

ニノマエ 「ぅや…。急に変な爽やかスマイルと語尾と南国風味に…」

クロエ  「…そうとも、アズマ先輩と違って(注1)無害ナノサー…。ナンクルナイサー…」

ニノマエ 「ぅや?何か言った?」

クロエ  「いや何も…。そんな事よりこれこれ!ジャジャーン!ド真ん中市(注2)で購入した、国産牛サーロインステー
     キ用!」

ニノマエ 「わぎゅ~!」

クロエ  「二枚入り計400グラム820円!(注3)サシがあまりない赤身は安いんだよなぁ!」

ニノマエ 「ぅや?それって安いの?」

クロエ  「安いって!だって特製スタミナニンニクラーメンが千円だろ?」

ニノマエ 「ぅやすいっ!」

クロエ  「反応がにぶちん…。とにかく、チェーンのステーキハウスとかだと肩ロース1500円とかそんな感じだけど、
     安い所を見計らって買って来て、自分で焼けば…」

ニノマエ 「ぅや!ラーメン一杯のお値段でステーキ二枚!」

クロエ  「その通り!…という訳で昼飯がてら…」

 

クロエと作ろう!~お家で安く美味しくレアステーキ編~

 

クロエ  「改めまして、講師のクロエです」

ニノマエ 「生徒のニノマエです」

クロエ  「ステーキっていうのは、肉の美味しさをそのまま活かす料理。ソースをかけはするけれど、焼き方の工夫だけで
     も食感を含めた美味しさが変わる!」

ニノマエ 「ぅやぅや」

クロエ  「設備さえあればそんなに難しくないから、火と事故にだけ注意してレッツトライ!」

ニノマエ 「ぅや!」

クロエ  「それじゃあまず、ステーキをする時の大事なポイント、お肉選びから!鮮度の目安から行ってみよう!」

 

鮮度の見分け方Q&A

Q1・脂身の 色が薄いぞ 真っ白だ(朱川地区のT.Kさん)

A1・新鮮な脂身は、クリーム色や、雪のように真っ白な場合もあるんですよ。鮮度が落ちると酸化してどんどん黄色になっ
ていくから、ここでも新鮮かどうかの見分けがつきます。色が白に近ければ新鮮…って見てもらえれば。

 

Q2・色が暗くて濃いぜ?赤身の(朱川地区のT.Iさん)

A2・ 赤身の色が濃いのは新鮮な証!時間が経つと色素が消えて肉の赤さが薄くなって来るんです。色が濃過ぎて黒ずんで
見える物もあるけど、実は切り出したばかりの肉って結構暗い色なんですよ。「綺麗なピンクのお肉!美味しそう」とかテレ
ビ番組とかで良く聴くけど、あれは霜降りでサシが入って桃色に見えるせい。普通に赤身肉でピンクまで行ってたら色素がだ
いぶ抜けちゃってます…。

 

Q3・ふむ、汁が出とるな。辛抱できなかったのか…(青岳地区のA.Iさん)

A2・何の辛抱ですかヤダーっ!肉から赤い汁が出てるのは、物凄く判り易い鮮度低下の印です!冷やしてあっても時間が経
てば組織が弛んで、汁はどんどん出て来て、旨味も抜けてっちゃうんです。あれが出ちゃった分だけ肉がスカスカになってく
ってイメージして貰えれば良いかな?購入前にトレイを手に取って静かに斜めにしてみて、角にヒタヒタ溜まって来るような
らかなりの鮮度落ちです。保管状態が悪かった事も考えられるから、表示されている消費期限に余裕があっても信用しない事!

 

ニノマエ 「ぅ~…?意外、見た目だけで結構判る」

クロエ  「あくまでも簡単な判別方法だけど、これだけ抑えとけば大失敗は無いかな?ただし、シチューでグツグツやるス
     ジ肉とかは、鮮度が多少落ちててもあんまり問題ないんだ」

ニノマエ 「ケースバイケース、っていう事?」

クロエ  「その通り!それと、「鮮度落ちしている物は安くなる」。これもポイント。安い中から上の特徴に注意してマシ
     なのを選ぶ事!ぶっちゃけると、質より量の俺達には、ちょっとの鮮度の差より100円の差額の方が大事。…百
     円自販機でジュース買えるもんな…」

ニノマエ 「ぅやぅや…」

クロエ  「安く美味しく!っていうテーマ通り行くなら、鮮度さは程々、賞味期限1日半前とかの、夕方に値下げされる肉
     を狙うのがベターだ。あ、ちなみにこの肉は明日が期限ね」

ニノマエ 「だから安い…?」

クロエ  「そういう事!買い物上手になるのは、ポイントさえ押さえればそんなに難しい事じゃない!」

 

 

ステップ1 調理前の準備

クロエ  「今回の和風ステーキに用意したのは以下の品!」

 

―和風ステーキ材料 二人前―

ステーキ用牛肉200グラム 2枚

エリンギ大         2本

ニンニク          1玉

大根            輪切り1センチ

調味料等(牛脂orサラダ油、醤油、砂糖、酢、塩胡椒)

 

クロエ  「肉さえ安く仕入れたらあとは簡単!」

ニノマエ 「エリンギ…」

クロエ  「ん?エリンギ好きなのかな…?フライパンはなるべく厚めのヤツが良い。熱が逃げにくいから」

ニノマエ 「逃げる?」

クロエ  「うん。意外かもしれないけど、鉄板を肉が冷やす温度ってけっこうデカいんだよね。それと、あまり小さいのは
     ダメ。肉の端が折れ曲がらないと収まらないようだったらちょっとまずい。熱が均等に通らないからな」

ニノマエ 「ぅやぁー…、なるほど…」

クロエ  「じゃあ早速下準備だ!」

 

 

ステップ2 下拵え

クロエ  「ステーキ用の肉は、焼き始める30分以上前には冷蔵庫から出しておく事!常温に近くすると美味しく焼けるん
     だ。冷凍した肉を出してそのまま焼くのはNGね!っていうか冷凍自体お勧めできないけど…」

ニノマエ 「ぅや?駄目なの?」

クロエ  「一回冷凍するとどうしても変わるからなぁ、味も食感も。肉の中で水分が凍って、それから融けるだろ?その時
     に旨味も一緒に出て行きがちだし…。食感に関しては「一回凍った水分が流れ出て行った分だけ中に隙間ができる」
     みたいに考えて貰えればいいかな?」

ニノマエ 「ん~…、ぅや!スカスカスポンジ!」

クロエ  「流石にそこまで酷くはないけど、だいたい合ってる…。さてここからは準備手順!ステーキは焼き始めたらもう
     待ったなしだから、先に付け合せなんかの準備をしとく。まずは大根おろし!」

ニノマエ 「ぅや!それならできる!」

クロエ  「それとニンニクの切り分けとみじん切り!」

ニノマエ 「できる…かなぁ…」

クロエ  「あとエリンギを細く裂いて…」

ニノマエ 「ぅやるっ!それゃるっ!」

クロエ  「やっぱり好きなの…?それで、先にステーキソースから作るんだ。レシピは…」


―和風おろしニンニクソース 二人前―

大根   厚さ1センチの輪切り

ニンニク 1個

醤油   大さじ1

砂糖   ちょっぴり(無くてもよし)

酢    小さじ1

 

クロエ  「大根おろしは、上の分量の大根を普通におろすだけ。ニンニクはここで一粒だけ使う」

ニノマエ 「イッコだけ?」

クロエ  「そ。残りは焼いてチップにしたり、付け合わせにしたりするから。ちなみにこのニンニクはシノノメ先輩の家
     (注4)から分けて貰った、臭いが消えやすいニンニク。料理屋さんとか旅館なんかだと、こういうのを使ってる
     トコも多いんだよね」

クロエ  「ニンニクは外側のカサカサしてる皮を剥いて、一個一個バラバラにする。それから両端を切って、爪楊枝なんか
     で芯をほじくり出す。緑のトコね?」

ニノマエ 「ぅや!ほじほじ…。…手が…くちゃい…!」

クロエ  「それは仕方ないなぁ、ニンニクだから…」

クロエ  「で、全部処理したら、牛脂を塗ったフライパンをしっかり熱して、一個だけ、転がしながら軽く火を通す。これ
     を焼いたら一回火を止めておくこと。ガスも電気も節約!…ニンニクは完全に生のままみじん切りにしてパンチの
     効いた味にするのもアリなんだけど、火をちょっとでも通せば匂いが残り難いからな。明日も稽古だし…。んでみ
     じん切りだけど、これは切るっていうかもう潰すような気持ちで細かく!」

ニノマエ 「ぅやっ!」

クロエ  「で、大根おろしとニンニクみじん切りをしっかり混ぜたら、醤油を大さじで一つ、酢を小さじで一つ加える」

ニノマエ 「ぅやっ!」

クロエ  「砂糖は本当にちょっぴり。気持ちね、味に厚みを持たせるために気持ち入れるだけ。多くしたら台無しになるか
     ら!シンプルに決めるなら砂糖抜きでもオーケー!」

ニノマエ 「ぅやっ!」

クロエ  「やけに返事の切れが良いなぁ…。で、しっかり混ぜ合わせたら完成!刺激がお好みの場合は、黒胡椒をパパっと
     混ぜてもオーケー!」

クロエ  「ここまで来たら、ステーキ用の皿をお湯に浸けたりして温めておく事。冷たい皿が肉から奪う熱もバカにでき…」

ニノマエ 「ぅやっ!エリンギは!?裂く!?」

クロエ  「さっきから返事がキレキレだったのは早くエリンギ裂きたかったせいか…。じゃあ次に付け合せ用のエリンギ…」

ニノマエ 「ぅやっ!ぅややややややっ!」

クロエ  「ちょっと待って!待って待って待ってまだ下処理してないから!何で目の色変わってんの!?」

ニノマエ 「ゃ~っ!」

クロエ  「取ったりしないから放してって!全部裂いていいからちょっとだけステイ!」

ニノマエ 「ぅや…!」

クロエ  「こ、こういう所が結構謎生物だよな…。まず水洗いして土を落としたら、石突き…いわゆる根っ子側を切り落と
     す。そしたら切り口の所から…」

ニノマエ 「ぅややややややっ!」

クロエ  「は、はい、どうぞ…!」

ニノマエ 「ぅやぁ~…!ピリピリピリリ…」

クロエ  「何この幸せ面…!?って…、は、速いっ!?上手いし手早い!?何この手慣れた感!?」

ニノマエ 「終わっちゃった…」

クロエ  「は、はいご苦労さん…。もしかして、おばさんの手伝いとかでいつもエリンギ裂きやってる?」

ニノマエ 「ぅやぅや。ウチ、エリンギ出る事多いから」

クロエ  「それって、裂きたがって催促するからだったりして…。さて次は、またニンニク。

クロエ  「半分はチップ状に切って、もう半分はそのままの形にしておく。変化をつけて半分に切ってもオーケー。カット
     すれば火も通り易くなるっていうメリットがある。ともあれ…、今回の付け合せは丸々ニンニクと、細く裂いたエ
     リンギだけ」

ニノマエ 「お芋とか人参が付いてくるの見るけど…」

クロエ  「普通はそう。今回はなるべく簡単にしてるからなぁ…。さぁ、ここでフライパンを再加熱だ!強火でちょっと熱
     したらまずはスライスしたニンニクをカリッとするまで焼く!菜箸でササッと掻き混ぜながら!」

ニノマエ 「ぅや!」

クロエ  「こんがり焦げ目がつくまで焼けたら小皿なんかに移して、続けて丸々ニンニクを転がしながら焼く!」

ニノマエ 「ぅや!」

クロエ  「ニンニクの色が変わって飴色に焼け始めたら、中火にしてエリンギを加える!」

ニノマエ 「ぅいやーっ!」

クロエ  (返事がちょっと勇ましい…)「ここで焼けたエリンギから、温めてたステーキ皿に移して行く。ニンニクは最後
     に取り上げる事!焼き時間を長くするのは生焼け防止の為ね。あと、ステーキを移す時に邪魔にならないように、
     端に盛り付けておく事」

ニノマエ 「ぅやぅや!」

クロエ  「そうして付け合せを全部皿に移したら、いよいよ…」

 

 

ステップ3 ステーキを焼く

クロエ  「ここからメイン!」

ニノマエ 「ぅや!」

クロエ  「エリンギ焼き始めに中火にしたフライパンを、強火で一気に過熱!煙がちょっと出るくらいでもいい。煙が出る
     のは付け合せを焼いた時に出た細かいカスなんかがきっちり飛んだ証拠で、失敗とかじゃないから」

ニノマエ 「ぅや!ボーッ!」

クロエ  「ここまでに時間がかかって脂が足りなくなってるようなら、ちょっとだけ追加。まぁ完全に焦げ目でガサガサに
     なったりさえしなければ必要はないけど」

ニノマエ 「フライパン、まだテカテカしてる」

クロエ  「なら続行してオーケー!ここからは時間をはかって行く!まずは主役の牛肉に塩胡椒をササッと振って、その「
     味付けした面を下にして」フライパンにイン!即座に蓋をする!」

ニノマエ 「ぅや!ジューワー!」

クロエ  「きっちり熱したフライパンで、強火で焼きながら30数える!」

ニノマエ 「いち、にぃ、さん、しぃ、ごぉ…」

クロエ  「30秒経ったら弱火に変更!蓋を外して、肉の表面をよく見ながら肉汁がフツフツ浮き出るまで待つ!」

ニノマエ 「ぅや!ジリジリ…」

クロエ  「最初に強火にするのは、肉がフライパンを冷やす分を考慮した火力アップ。同時に、表面を焼いて締めて肉汁が
     過剰に逃げないようにするためでもあるんだ。このまま大体1分くらいすると…ほら、表面に玉が浮いて来た!」

ニノマエ 「ぅや!」

クロエ  「弱火にしてから1分半から2分くらい待つと、この肉汁のフツフツが全体に出るから…、そこでひっくり返す!」

ニノマエ 「ぅや…」

クロエ  「注意として、裏返すのは一回だけ!そして裏返したら即座に強火に!そして蓋!」

ニノマエ 「ぅや…」

クロエ  「この強火は30秒だけ。レアステーキにする場合の焼き方なら、30数えたら弱火にして1分焼く!」

ニノマエ 「ぅや…」

クロエ  「…あの…」

ニノマエ 「ぅや?」

クロエ  「集中して真面目に聞いてるからそうなってるんだろうけど…、口半開きにして肉を凝視しながらコクコク頷かれ
     ると…、見てるこっちは物凄く腹が減って来るんだけど…」

ニノマエ 「ぅやっ!?」

クロエ  「おっと1分経った!ここでステーキを皿に移す!この時は「最初に焼いた面を表にする」んだ!そしてフライパ
     ンに残った肉汁は、さっき作ったステーキソースに入れる!そしてよく混ぜる!」

ニノマエ 「混ぜ混ぜ…」

クロエ  「でもって、今回はふたり分だから続けてもう一枚!手順は同じ!今度も焼き上がった後は肉汁をソースに加えて
     しっかり混ぜて…、ニンニクチップを肉の上に散らして…」

クロエ  「肉汁をしっかり混ぜ込んだソースをそれぞれにかけたら…、ついに完成っ!」

ニノマエ 「できたー!」

クロエ  「油とニンニクに接するのは、ステーキ皿二枚と、ニンニクチップの小皿と、ソース用の器、合計四枚とフライパ
     ンだけに抑えてあるから、食器洗いも比較的楽!」

ニノマエ 「ぅやぅや!」

クロエ  「水分が多いステーキソースをかけたところで、肉はちょっと冷えて食べごろ温度になる。鉄製のステーキ皿とか
     を使う場合は別だけど、普通の食器でやるならこんな具合で丁度ぐらい。今回はレアステーキの焼き方だったけど、
     焼き加減はひっくり返した後の、最後の弱火焼きの時間で調整するんだ。ミディアムレアなら一分半強、100数
     えるくらい。ミディアムなら二分ちょっと…体感だと140数えるくらいかな。で、ウェルダンにするなら三分を
     ちょっと超える程度だな」

ニノマエ 「ひっくり返す前は同じなの?」

クロエ  「そう。最後の弱火で調節するだけでも、ちゃんと焼き分けられるんだ。そして…、炊飯ジャーの中には炊き立て
     ご飯!これを手早く皿によそう!」

ニノマエ 「ぅや!よそう!」

クロエ  「じゃあ早速、食べごろ温度な内に…」

ニノマエ 「いただきまー…」

 ピンポーン…

ニノマエ 「ぅや?誰か来た?」

クロエ  「えー?何でこんなタイミングで…ブツブツ…。はーい、どなたー!?新聞の勧誘とかなら結構ですよー!親も居
     ませんからー!(注5)」

イタドリ 「居ないのは知っとるよ。こんにちは」

クロエ  「げっ?こ、こんちはアズマ先輩…!」

ニノマエ 「ぅや?イタドリ先輩こんにちは」

イタドリ 「ふむ?何やらあまり歓迎されていない様子だが…」

クロエ  「そっ、そんな事、ないですよ…!?何かありましたっけ今日?」

イタドリ 「いや、特に何もないのだが」

ニノマエ 「近くまで用事で来てたんですか?」

イタドリ 「いや、こちらには別の用もなかったが」

クロエ  「え?じゃあ何で?」

ニノマエ 「ぅや?」

イタドリ 「何故かは知らんが、今トオルの家に来れば良い事がありそうな気がしたのでね」

クロエ  (何てピンポイントな勘の良さ!?どんなセンサー搭載してんの!?)

イタドリ 「ところで…、何やら良い匂いがしているようだが」

ニノマエ 「ぅや!ステーキ焼いてたんです!」

クロエ  (あーっ!ナチュラルにバーラーしーたーっ!)

イタドリ 「ほう。ステーキかね?」

クロエ  「ええ、まぁ…」

イタドリ 「ふむ。ステーキかね」

クロエ  「え、ええ…」

イタドリ 「ステーキかね」

クロエ  「………」

イタドリ 「ステー…」

クロエ  「…どうぞ…、上がってって下さい…」

ニノマエ 「ぅやぅや!」

イタドリ 「済まんね」

クロエ  「くっそー!合わせて400グラム…、133グラムで見切って三人分に切り分けるっ!」







(注1 アズマ先輩と違って

 脳裏を駆け巡る様々なおもひで。

 

(注2 ド真ん中市

 中黄市のスーパーが「月の中央」に引っ掛けて一斉値下げする、毎月14、15、16日開催の一大イベント。各店申し合
わせたように低価格競争が行なわれ、特に在庫処分品やタイムセール品の低価格は驚異を通り越して疑惑のお値段となる。

 ちなみにクロエはトイレットペーパーやティッシュ、調味料や米などの生活物資を、各店を見比べた上で日に何往復もして
一気に買い込む。ぶっちゃけ戦争の三日間だが、月のやりくりに余裕をもたらしてくれる恵みの嵐。なお、これが三日とも平
日に重なった場合の翌月十日ごろは非常にしょっぱい生活を余儀なくされる。

 

(注3 二枚入り計400グラム820円

 東北の一部の地方価格。田舎は基本的に安い。牛処は割と安い。重なる所は驚くほど安い。

 

(注4 シノノメ先輩の家

 相撲部の六白豚、シノノメの家は温泉旅館「旅籠東雲」を代々経営。提供する料理には匂いが翌日に残らないニンニクを使
用している。

 なお、相撲部の合宿(という名目のレクリェーション)にも利用されている。学校から徒歩三十分ほどの距離な上に、稽古
の際にはいつも通り部の道場に行くので、合宿の意義は不明。しかし部員達には好評。

 

(注5 親も居ませんから

 クロエはアパートに独り暮らしで両親不在。そのため頻繁に部屋を溜まり場にされる。



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