※この作品はBeさんのサイトに掲載されている作品「虎狐恋歌」シリーズの二次創作です。

 作者の妄想と想像と捏造と希望と妄想と妄想なんかで出来上がっております。

 キャラクターや設定等、本来のものと異なる場合も出てくるかと思いますが、二次創作と割り切ってお読みください。

 同性愛表現ありです、ご注意を。



 

 

虎狐恋花 〜ナツザクラ〜

 若葉生い茂る初夏。空の青さが濃くなり、白い雲が浮きたつ。

 そんな陽気の中、冷房の効いたファミレスの店内で、狐の青年は中年の猿と向き合っていた。

 テーブルに置かれたアイスティーのグラスから、氷が解けてカランという涼しげな音が響いた。

「夏の…桜、ですか?」

「そう。なんでも異種らしくて、一季節遅れて咲くんだそうですよ」

 狐が興味深い単語に思わず問い直すと、中年の猿は微笑みながら続けた。

「私の友人が個人で所有している山で一本だけ、何とも奇妙でそして美しい桜が、夏に咲くと聞かされました。どうです?取材がてら見に行かれ

てみては」

「夏の桜かぁ。確かに見てはみたいですね」

「でしょう?取材といっておけば、費用は出版社持ちですし」

 含みを持たせた笑みを浮かべながら猿が言うと、狐も可笑しそうに笑った。

「ニシシッ!なんだかズルいですね、それ」

「そうかもしれませんね。でもまぁ、みなさんやられてることですよ」

 確かにいささか姑息な方法であるような気はするが、別に違法ではないのだし「お金がかからないなら行ってみてもいいかな」とも狐は思う。

 だが日帰りとはいえ、遠出となると自分一人で決断するわけにもいかなかった。

「考えてみます。今は、とりあえず保留で」

「そうですか。でも咲く時期は限られているらしいので、早い方がいいですよ」

「わかりました。じゃあ、また連絡しますね?」

 テーブルに広げられていた書類をまとめると、狐は帰る用意を始める。

「このあと何か予定でも?」

「えぇまぁ…。……なんというか、一方的な待ち合わせが。時間に余裕はありますけどね」

「は…?なんです、それ?」

 なんとも矛盾した言葉に猿が眉根を寄せると、狐は可笑しそうに笑いながら席を立った。

「それじゃあ、失礼します」

「はい。この作品も、売れるといいですね」

 猿は先ほど受け取った原稿を手に取りながら言う。

 その言葉に、立ちあがった狐は首を巡らせた。

「別に、売れなくても構いませんよ?」

 狐は意外そうに言った。

「私は、私が書いた本で誰か一人でも心から楽しんで貰えれば、それでいいんです」

 続けて狐は「ニシシッ…!」と笑うと、

「偉そうかなぁ…」

 と頭を掻いた。

「…そんなことありませんよ。こっちこそ、余計なひと言でしたね」

「気にしないでください!アカギさんは編集者なんですから、売れ行きを気にするのは当然でしょう?」

 狐の青年の優しげな言葉に、アカギは苦笑する。

「じゃあ改めて、“楽しんでくれる人が多いといいですね”?」

「はいっ!それじゃあ、今度こそ失礼します」

 そう言うと、狐は店を出て行った。

 店に残されたアカギは、原稿を鞄にしまいながら、今のは失言だったな、と思う。

 あの若い作家とは、もう十年近い付き合いだ。彼が高校生だった頃から、ずっと担当をしている。

 だから、あの青年が富や名声を全く欲しがっていないことは、重々承知していたはずだった。

 ただ純粋に、文を書いているだけなのだ。そこに打算はない。

「あのキザともいえる台詞を、ああも本心から言ってのけるとは…流石と言うかなんというか…」

 アカギは再び苦笑する。

 誰しも自分が評価されれば嬉しい。富が手に入るのなら欲しいだろう。

 それを心から要らないという、あそこまで純粋な物書きはなかなか居ない。

 いや、純粋だからこそ、こんなにも魅力ある話が書けるのかもしれない。

「それにしても…、「売れなくていい」は言いすぎですよ、先生」

 どことなく楽しげな雰囲気を感じさせながら店を出て行った狐を思い出して、アカギは声を漏らさずに笑った。



「あづい……」

 駅のホームに降り立った虎は、呻くように呟いた。

 冷房の効いた車内から、熱気立ち上る外気に出たことで、一気に汗が噴き出す。

 胸元をばたばたと広げて風を送るが、大して効果はなかった。

 思わず立ち止まっていた虎は、後ろで人が詰まっていることに気付くと、一言謝ってから脇に退いた。

 この虎の体は…なんというか大きい。

 不機嫌そうな仏頂面に、大きく出張ったお腹。黄色い体に黒い縞が入っていることで虎だとわかるが、体型からはなかなかそうは見えない。

 自分の大きな体が、ともすれば邪魔になることを自覚しているので、虎は少し間を空けてから改札へと続く階段を進んだ。

 のっそのっそと歩いて、ゆっくりと改札を出たところで、その存在に気付く。

 いつもと同じように、桜の木の下で佇むシルエット。

 桜の木は、青々とした葉を茂らせていた。

「おかえりっ!ヒロ!」

「ああ。ただいま、カズ」

おかえりと虎を迎えたのは、狐の青年。

 萌葱色のシャツに、細めのジーンズという涼しげな格好をしている。

 カズは歩み寄ったヒロの顔を見上げ、笑みを深くする。そしてスンスンと鼻を鳴らすと、

「あちゃー汗だくだねぇ…」

 と顔をしかめた。

「仕方ないだろう、暑いんだから。お前こそ、熱中症になったりしたら大変だから、迎えは良いと言ったのに…」

「仕方ないでしょう?」

 カズは微笑みながら、虎の言葉を繰り返すように反論する。

「早くヒロの顔が見たかったんだもん」

 さらりと言ったカズの言葉に、ヒロは照れたように頬を掻いた。

「それに今日は、ほとんどアカギさんと打ち合わせだったから、ずっと冷房の効いた所にいてさ。ちょっと暑いのもいいかなって思って」

「よくない。全然良くない。非常によくない。甚だしくよくない」

 変な節をつけて言う、暑そうにだれた顔を見てカズは苦笑した。

「寒いのは平気なのにねぇー。やっぱりこの辺のお肉がいけないのかな?」

 そう言いながらヒロの出っ張ったお腹をぷにぷにとつつく。

「突くな…!」

「えぇー、柔らかくて気持ちいいのに」

再びぷにぷにと腹を突かれ、ヒロは「やめろっての…」と抗議する。カズは渋々ながら手をひっこめた。

「まったく…。それで、打ち合わせの方はどうだったんだ?」

「そっちは大丈夫。殆ど手直しなし!あ、それでね…」

 ぐぅ〜〜……

 カズの言葉を、何とも気の抜けた音がさえぎった。

 見上げると、情けなさそうな、申し訳なさそうな虎の顔。

「ニシシッ!帰ってからにしよう!部屋に冷房かけてきたからさ!」

「ん…そうだな」

 歩きだしたカズに並んで、ヒロは思う。

 あの日から約三カ月。カズは毎日ヒロを迎えに来ている。

 仕事を終えて帰ってきて、待ってくれている存在が居ることが、こんなにも幸せなことだとは知らなかった。

 どんなに疲れていても、この笑顔を見ると、それが吹き飛んでしまう。

 カズの言う「おかえり」で、「ああ帰ってきた」と実感する。

 幸せだと確信する。

「今日はね、冷やし坦々麺に挑戦しようと思ってるんだ。辛さで暑さを乗り切ろうってことで!」

「ほう。坦々麺なのに冷たいのか」

「でも結構有名らしいよ?私も知らなかったけど。あとは夏野菜のサラダと、ナスが安かったからそれでもう一品ってとこかな。どう?」

「文句があるはずないだろう。その…お前が…作ってくれるのに……」

 照れくさそうに視線を外した大虎に、カズは嬉しそうにほほ笑んだ。

 大きな体躯の虎、ヒロ。

 すらりとした美狐、カズ。

 数か月前からは恋人同士になった二人は、歩調を合わせて帰路についた。



 台所から流れてくる辛みのある匂いに、ヒロは鼻をひくつかせる。

 テレビでやっているバラエティ番組の内容など殆ど入ってこない。

 今ヒロの心にあるのは、食欲だけ。

「カズ…」

「はいはい」

 ヒロが切なげに呟くと、台所から顔を覗かせたカズは「もうちょっとだけ待ってね」と苦笑する。

 やがて大きな器と共に居間に戻ると、ヒロの前にそれをさし出した。

「ほい、特製夏バテ防止冷やし坦々麺大大盛りお待ちっ!」

 器に盛られた麺の上に、赤々としたひき肉が乗っている。

 周りには湯通しされた野菜と、鳥のささみ。しっかりとヒロのためにバランスの考えられたものになっている。

 ピリッとした豆板醤の香りに、ヒロの腹は訴えるように音を鳴らした。

「ニシシッ!残りも持ってくるね?今日は野菜が安かったんだぁ〜」

 自分の分の器もテーブルに置くと、カズは再び台所に戻る。その間にヒロは缶ビールのプルタブを起こし、テーブルの向いと自分の前に置いた。

 戻ってきたカズは、色鮮やかなサラダとナスの炒めものを並べる。他にもいくつか付け合わせの盛られた皿が並べられた。

「よし!それじゃあ、今日もお疲れ様!」

「ああ、お疲れ様」

 缶ビールで笑顔の乾杯をし、ぐびっと缶を煽る。

 そのあと合わせて「いただきます」と笑みを交わし、夕食へ箸を着けた。

 ずぞぞぞぞっ!と勢いよく麺をすするヒロに対し、カズはレンゲを使いながら行儀よく食べる。

「どお?辛すぎない?」

「んん…?いや、いい辛さだ」

「ホントっ!?よかったぁ。豆板醤の加減がわからなくてさぁ…実は適当でした!」

 失敗したらどうするつもりだったのかは、あえてヒロは聞かなかった。

 他の料理もヒロ好みの味付け、だがしかし栄養バランスの考えられたものになっており、それに気付いた虎は耳を寝かせる。

(いつもいつも…こいつには頭が下がる…)

 ヒロは長い間一緒にいたにもかかわらず、ついこの間関係が変化し恋人となった狐を見やる。

 行儀よく坦々麺をすする整った顔に、思わず見惚れた。

 あの日まで、ただの友人だった存在。それが今、こうして恋人として目の前にいる。

 同性愛に偏見はなかったが、自分が当事者となればまた話は違う。

 最初は同情がなかったとは言えないかもしれない。

 だが、最近になって、それだけではなかったと改めて確信が持てる。

 自分は、カズのことが好きだ。

 愛情?友情?…そんな分類どうでもいい。

 カズが好きで、大切で、そばに居たくて、そばに居て欲しい。それで十分ではないのか。

 想いが、自分の胸の内にあるのを感じているなら。

「どうかした?」

「い、いや…なんでもない」

 ヒロは慌ててビールを口にする。

 こんなことを思っているときに見つめ返されたのでは、身がもたない。

「そういえば…、なにか話があったんじゃなかったか?」

 ヒロは迎えに来てくれたカズが、何か言おうとしていたのを思い出した。

「あ、うん。実はね?」

 カズは今日聞いたばかりの夏に咲く桜について話し始めた。



「夏の桜か…」

「それで、今度の週末にでも見に行こうかと思ってるんだ」

「いいんじゃないか?」

「ヒロも一緒に来てほしいなぁ…て思ってたんだけどさ…確かその日って…」

「ん…生徒の補習が入ってるな」

 ヒロは頭をガリガリと掻きながら申し訳なさそうに耳を伏せた。

「そんな顔しないでよ。生徒のためだもん、仕方ないよトラ先生っ!」

「しかし…」

 カズは身を乗り出して、ヒロの鼻をぐりっと抑える。「ふがっ」と声をだしたヒロに向かって、

「ヒロ、私なんかより生徒を大事にしてあげて。彼らにとって、ヒロはとっても重要な存在だってこと、忘れちゃだめだよ?」

 と笑った。

「そんなこと…」

「いいからっ!桜は私一人で見に行ってくるよ!」

「……わかった」

 ヒロは諦めたように溜息をつくと、ビールの缶をぐいっと煽った。

 生徒にとって教師がそれほど大切な存在なのか。わかっているつもりだ。

 また逆に、教師である自分にとって、生徒とは愛すべき存在だ。

 だが…

「カズ」

「なぁに?」

「…いや、いい。それより当日はちゃんと俺を起こしてから出かけろよ。送り出すくらいのことはしたい」

「ニシシッ!りょ〜かいっ!」

 大虎の意外な気遣いに一瞬驚いてから、カズは心底嬉しそうに笑った。

 

 

 電車を乗り継ぎ二時間。駅で降りてから山を歩くこと一時間。

 それだけの時間をかけて、ようやくカズはその姿を見ることができた。

 朝、約束通りヒロを起こし(まともに起こせと小言を貰いながら)、「いってきます」と「いってらっしゃい」を交わし家を出た。

 電車の中で簡単な朝食をとり、ふもとで山の持ち主のところに伺う。

 アカギから連絡を受けていた、ヒロ程ではないが大きな体をしたグレートピレニーズは、快く迎えてくれた。

 桜の場所と、いくつか注意すべき点を教えてもらった後、カズは山に入った。

 途中までは階段があったり手すりがあったりしたのだが、ある所から完全な獣道となった。

 何度か不安になりながらも、どうにか開けた場所にたどり着いた。

 上がった息を飲み下しながら、カズが顔を上げると、そこには…

「すごい…」

 大きくそびえ立つ、満開に咲いた桜の木があった。

 少しひらけた場所の中央に、それは立っていた。

 日の光が降り注ぎ、苔むした今までとは違い、芝のような草はらが広がる。

 桃色の花が、緑生い茂る森に散っていく。

 その様は何とも形容しがたい。奇妙で、怪しく、そして艶美だった。

 桜の周りの木々がとても背が高いため、木々がこの桃色の花を隠すようにして山の外からでは見ることができない。

 山を登り、この場に来なければ見ることのできない花。

 この木だけが、まるで周りから隔離されたようで。

 緑の背景に桃色の花弁が舞う。

 とても美しい桃色も、この場では異質に感じてしまう。

(どうして…こんなに堂々としていられるんだろう…)

 異質で、独りで立っているような桜の木に、カズはそんな疑問を覚える。

 木が木らしく立っている。そう言ってしまえばそれまでだが、カズは何かを感じていた。

 自分がこの木だったら?

 ただ一人、他の木とは違う色を纏っていなければならないとしたら?

 異質なこの桜の木は、独りだ。

 周りには、共に桃色の花を咲かせる木も、寄り添ってくれている木もない。

 周囲から離れ、佇んでいるこの桜の木は、とても孤独に見える。

 怖いはずだ。辛いはずだ。独りとは、そういうものだ。

 カズは数か月前に、恋人に振られたときのことを思い出していた。

 独り。

 その不安に押しつぶされてしまいそうで、心の臓を食いちぎられるような痛みを感じて。

 なんにも無くなった。

 そんな喪失感と孤独で、立っていることなど出来なかった。

(君は辛くないの?独りで立っていられるほどの強さを、持っているの?)

 こんなに堂々と、凄烈なまでの存在感を持って、どうして立っていられるのだろう。

 私なら…きっと潰れてしまう。

 独りで立ってなどいられない。

 誰かにそばで支えてもらわなければ、簡単に砕けてしまう。

 大きな抱きとめてくれる存在が居なかったら、今私はきっと笑えていない。

 カズの脳裏には、厳めしい顔をした、とてもとても優しい大虎の顔が浮かんでいた。

 ゆっくりと桜の木に近づけていた足を、カズはふと止める。

 自分の腕を回しても、半分も回すことが出来ない巨樹。

 その向こう側に、なにやら大きな影があった。

 気になって回り込んでみると、そこに居たのは大きな岩。

 所々にコケが生え、ゴツゴツとした岩肌は、そこに居座っていた年月を物語っている。

 そのコケが、まるで縞模様のように見えて、カズは苦笑した。

「なんだか…ヒロみたい」

 カズはそう言いながら、岩の表面をぽんと叩く。

 その感触は、ヒロの柔らかい腹とは違い、固い。

 だがその内側にある温かさのようなものが、ヒロと同じであるように思えた。

「でも君の方がおデブさんだねぇ」

 体積にしてヒロの3倍ほどだろうか。

 すんぐりとしたこの大岩が隣にあると、桜が細く見える。

 桜の木に寄り添うようにして、でんと構える大きな縞模様の岩。

(ああそうか…)

 カズは表皮に手を触れながら、桜を見上げた。

 上から降ってくる花弁と陽光が、眩しい。

「…君にも、支えてくれる存在が居たんだね」

 だから、こんなに堂々としていられる。

 独りじゃないと、共に居ると、訴えかけてくれる存在が傍らにある。

 俺は…傍に居るから。

 恋人の言った台詞が、カズの心に浮かんだ。

 あの台詞があったから、自分は今立っていられるんだ。

 風に揺れる枝が、ふわりと笑った気がした。

「凄艶なる奇桜…」

 カズはぼそぼそと呟くと、すぐさま鞄から何かを取り出した。

 それは、チラシの束を束ねた、特製のメモ帳。

 そこにさらさらと何かを書きこむと、それを鞄にしまい、カズは踵を返す。

 本当はもう少し居るつもりだったのだが、もう十分だと思って。

 森の中に入ろうかというときに、カズは振り返り、そして笑った。

「お幸せにっ!」



「あれっ?」

 駅に降り立ったカズは、山で見てきたのとそっくりな光景を見て、思わず声を上げた。

 桜の木の下に佇む大岩。

 だが桜の木の下に居るのが、大岩ではないことを知ると、カズは笑みを深くして走り寄った。

「ヒロっ!」

 のっそりと立ち上がった虎の大きな腹に抱きつきそうになるが、ここが外であることを思い出し自制する。

 虎の手を取るだけにとどめて、カズはヒロの顔を見上げた。

 照れたような、それでいて嬉しそうに目を細めて、喜んでくれていることが分かる。

「おかえり、カズ」

「ニシシッ!ただいま!いつもと反対だね!」

「まぁ、たまにはいいかと思ってな…」

 嬉しそうなカズに、照れた表情で頭を掻くヒロ。

「ありがとう。暑かったでしょう?」

「ん…そうでもない…」

 そう言った虎のシャツが、汗でべっとりと湿っていることにカズは気付いている。

 強がらなくてもいいのに…と思うカズだったが、ヒロの優しさを無駄にするまいと、黙っていた。

 嬉しい。

 迎えに来てくれる、自分の帰りを待っていてくれる人が居る。

 カズはその嬉しさを噛みしめる。

 恋人の太い指を握る手に、キュッと力を込めた。

 驚いたようにヒロは目を丸くしたが、直ぐに細められて温和な笑みに変わった。

(あれ…珍しい…)

 いつも自分が待っているベンチ。その上でヒロは何を思ったのだろう。

 私がいつも思っているのは…恋人を待つ高揚感。ワクワクとする期待。

 そして、まだ隣に愛する人が居ないという、ちょっとした寂しさ。

 会うために待っているのだが、その待っている時間は、楽しいのと同時に、少し寂しいのだ。

「もしかして…寂しかった?」

「そ、そんなこと…!なく……も…なかったが……」

 ヒロはとっさに否定しようとして、一転恥ずかしそうに認めた。

「待ってるのが…こんな感じだとはな…なんか複雑だ」

「そう?」

「カズ。いつも迎えに来てくれるのは…その…う、嬉しいんだが…あんまり無理はふにぇあいえう…!?」

 ヒロはカズに両の頬を引っ張られ、最期が発音できずにぼやける。

 対するカズは悪戯っぽい笑みを浮かべながら、ぶるぶるとヒロの頬を揺すった。

「わーたーしーがぁー、来―たーいーかーらー、来―てーるーのーーー。だーかーらーヒーローはー、気―にーしーなーくーてーいーいーのー!」

 頬を揺するのとタイミングを合わせて、間延びした口調でカズは言う。

 たるんだ頬をつままれ、半分涙目のヒロは必死の抵抗を試みる。

「ふぁふぁっは!ふぁふぁっひゃっへ!!」

「ニシシッ!ヒロ何言ってるか分かんないよ!」

「……ぷぇっ!…お前のせいだろうが!」

 カズの手を無理やり話して抗議すると、カズは「ごめんごめん」と苦笑した。

「それじゃあ、帰ろうか!」

「ああ。…あ、いつもと逆だからといって、俺は料理までは出来てないからな」

「ニシシッ!ざーんねん!…じゃあ、一緒に買い物してく?」

「ん…そうだな」

 カズは恋人の手を取り歩きだした。

 踊るような心、軽い足取りを感じながら。

「じゃあ、まずは何が食べたいか決めないとねっ!」

 待っていてくれることが、こんなに嬉しいなら、私はこれからも迎えにこよう。

 この人がなんと言おうとも、私は迎えに来るだろう。毎日。毎日。

 無理?そんなのしない。

 だって、この恋人のためならどんな辛いことでも、きっと無理をしてるとは思わない。

 雨の日でも、風の日でも、雪が降っても、猛暑でも。

 きっと私は迎えに来る。

 あなたに「おかえり」を言うために。

 あなたが「ただいま」と言う時の、嬉しそうな申し訳なさそうな笑顔を見るために。

「カズ…手ぇ離してくれ…」

「えぇ〜…なんで?嫌?」

「嫌、じゃあ…ないが……、恥ずかしいんだよ…!」

「やだ」

「は?」

「やーだ!ヒロの手、握ってると安心するんだもん!」

「帰ったらいくらでも握っていいから!今はホントに恥ずぃ!カズってば…おい!」

「やだやだー」

 けらけらと笑う狐の肩口から、桜の花弁が一枚舞った。

 おそらくは山の桜がついて来たのだろう。

 花弁は、くるりと夏の空を舞って、幸せそうな二人を見送った。



 食後の居間で、ヒロはごろりと横になった。

 夕食を詰め込んだ腹が、存在感を増して苦しい。

「うっぷ…」

「あはは、そんなに美味しかった?」

「ああ、美味かった」

 膨らんだ腹をさすりながら、ヒロは満足そうに大きなげっぷをした。

「もう、ヒロったら!」

「うっぷ…悪い…」

 カズは食後のお茶を淹れながら、にんまりと笑った。

「そんなんだと、ま〜た太っちゃうぞぉ?」

「安心しろ。もうこれ以上太りようがない」

「……それ、堂々と言う?」

 カズは呆れたように言いながら、湯呑をヒロの前に差し出す。

 よっこらせ、と体を起こしたヒロは、一言礼を言ってから、お茶をすすった。

「そういえば、桜。どうだったんだ?」

「うん。見に行ってよかった。凄く綺麗だったよ」

「そうか…」

 ちびっとお茶を口に含み、ヒロは遠くを見るような眼をする。

「たった一本…他と違う時期に咲く、返り咲きの桜か。どんな気分なんだろうな…その桜は…」

 カズはハッとし、ヒロの顔を見やった。遠くで咲く桜に、思いを馳せるヒロの顔は少し寂しげだ。

 緩い目を細めた表情でヒロのとなりに座りなおすと、カズはそっと手を重ねた。

 驚いてこちらを見たヒロに、にこりと笑いかける。

 恋人が、自分と同じ発想をしたことが嬉しくて。

 ヒロは少し身じろぎしたが、何も言わずに手を握り返してくれた。

「大丈夫…独りじゃないから」

「なんだ?他にも咲いてる桜があったのか?」

「ううん。咲いてる桜は一本だけだった。でも…」

 カズは思い出す。

 手を繋いでいる虎と、同じ縞模様をした大岩のことを。

「独りじゃあ…なかったんだ…!」

 ヒロには何を言っているのかよくわからなかったが、カズが嬉しそうに話すのを見て、なんだか納得できた。

「そうか」

「うんっ!」

 ヒロは湯呑に残っていた茶をぐっと一気に飲み干す。

「そういえば、写真は撮ってこなかったのか?カメラ、持っていったんだろう?」

「あーうん。持ってはいったんだけどね?」

 カズは立ち上がると、自分の鞄からカメラを取り出してヒロにわたす。

 駅前で購入したインスタントカメラは、封が開いていなかった。

 そのことにヒロが気付くと、カズは喉を鳴らすように笑った。

「山の持ち主の人が、とっても素敵な人だったんだ」

 思い出すように、カズは目を閉じる。

 そして、その山の持ち主の喋り方を真似するように、ゆっくりと話し始めた。

「『あの桜は確かに艶美な桜じゃが、出来ることならそっと咲かせてやっておきたいんじゃよ。じゃから、テレビの取材がたまに来るがの…ほほ。

全て断っておる。じゃから、出来れば写真は撮らんでおいてもらいたい』」

「ほぉ。桜思いの人なんだな」

 カズの物真似に思わず笑いそうになりながら、ヒロは言った。

「ちょっと、なに笑ってるのさ。本当にいい人だったんだから。それで、取材をすることだけは許してくれたんだ。本に場所を書かないって理由つき

でね。それで…」

 カズはふふっと笑うと、嬉しそうに目を細めた。

「そのあとに言われた言葉が、とっても印象的でね?なんか感動しちゃった!」

「お?小説家のお前が感動するなんて、なんて言われたんだ?」

「ニシシッ!あのね…」

 カズは一呼吸置いて、大切な言葉を唱えるように、そっと口を開いた。

「本当に美しいものは、目ではなく、心に刻むもの。真の美しさを感じられたなら、写真なんかに頼る必要などない。…って!」

 嬉しそうに語るカズを、ヒロは優しげな瞳で見つめる。

「真の美しさは心に刻め、ってことか…。で?」

「うん?」

「刻んでこれたのか?その桜の美しさは?」

 口を吊り上げていったヒロは、しかし直ぐに

「聞かなくても解かるか…」

 と言いながら、カズの頬に手をそえた。

「顔に書いてある」

「ニシシッ!そう?」

「ああ。幸せそうだなって、さっきからずっと思ってたんだよ、実は」

 カズの頬を親指で擦りながらヒロが言うと、カズはくすぐったそうに身をよじらせた。

「幸せそうなのは、別に桜のおかげだけじゃないよ?」

 カズは微笑みながら、自分の頬にそえられているヒロの手をとる。

 先ほどからもう片方の手をつないでいるので、これで両の手が輪になった。

 カズは両手を前で重ねて、四つの手が一つになるようにする。

「大好きな人と一緒にいられれば、いつだって私は幸せなんだよ?」

 ヒロは虚を突かれたのか、目を丸くして固まった。

「…あまりからかうな……」

「私が冗談やからかいで、こんなこと言うと思うの?」

「…そうだな。すまん」

「謝らなくていいよ…そのかわり…?」

 カズの意味ありげな視線を受け止め、ヒロは一瞬困惑したあと目を閉じた。

(ふふ…素直でかわいいなぁもう。………ホントにホントに、大好きだよ…ヒロ)

 カズはそう心の中で呟きながら、そっとヒロの唇に自分のそれを重ねた。

 優しく、暖かく、大きな恋人。

 その存在をこうして確かめることが出来るのは、自分の特権だろうか。

「…!」

「んぅ…!?」

 ヒロの大きな体のせいで身を乗り出すようにしていたカズがバランスを崩した。

 そのまま唇で押されるようにして、ヒロの体も傾く。

 手で支えようとしたが、今はお互いに両手を握り合っていた。

「ふんぐおういぇうっ!!」

「わっぷ!!」

 ヒロの上にカズが覆いかぶさる形で、二人は倒れた。

「ちょっ!ヒロ!大丈夫!?」

 慌てて身を起こしながら、カズが心配そうにたずねる。

 いくらカズが軽いと言っても、なんの支えもなく腹に直撃すればたまったものではない。

「んぐぅ…。だ、大丈夫だ…多分…」

 カズの体が思い切り腹の上を叩いて、流石に苦しげなヒロ。

 だがその手は、カズの手を握ったまま離していなかった。

 それに気付いたカズは、なんだかくすぐったくなって笑みを零す。

 手をキュッと握り返すと、ぼふっと再びヒロの腹にもたれ掛る。

「ぐふっ…!ちょ…こらカズ!」

「ニシシ〜…ぬくいなぁ、これ…」

 幸せそうにヒロの腹へ顔をこすり付けるカズ。

 それを見たヒロは、何を言っても無駄だろうと、反論を諦める。

 実際のところ、恋人にくっ付かれて嫌な気がするはずもなく、腹に感じる確かな重みを味わうことにした。

 握っていた片方の手を離し、そっとカズの背に回す。

 腹の向こうで、黄色の尻尾が揺れたのがわかった。

「ヒロ…大好きだよ?」

「なんだ急に」

「急にじゃないよ。いつでも、ずーっと思ってるんだから」

 カズは笑うと、愛しの恋人に自分を預けた。

 体の全てで、この温もりを感じる。

 カズは、心に刻まれた光景を思い出していた。

 美しい桃色の桜。どこか儚げで、寂しげで。

 見てくれは派手で綺麗なのに、内側に巣くうものがあるような。

 そんな桜は、なんだか自分と似ている気がした。

 そして、その桜に優しげに寄り添う、あの大岩は…

「どうした?」

 無言で自分の顔をじっと見つめているカズに、ヒロが声を上げる。

 その声には応えずに、カズは心底幸せそうに笑った。

「ありがとう……私の大岩さん」

「んん?どういう意味だ?」

「さぁーてね!」

 ヒロが何度意味を訪ねても、カズは答えようとはしなかった、

 ヒロが諦めかけたそのとき、

「ねぇ、ヒロ…?」

 カズがおもむろに口を開いた。

「なんだ?」

「…もう一回して」

「…あのなぁ……。まったく、しょうがない…」

 再び、二人は唇を重ねる。

 愛おしい。

 二人の感情が重なる。

 互いに舌を絡ませ、それを確かめ合うように口を離さない。

「んん…」

「っぷは…」

 長い長い口付けを終え、ようやく口を離す。

 どちらの表情もとろんと夢見心地だった。

「ヒロ、明日も休みだよね?」

「んあ?…あぁ、そうだが…」

「じゃあ、続き。出来るね」

 ヒロの顔がぼふっと音を立てて赤くなった。

「でででででできっとき……できる…な」

「なーに慌ててんのさ」

「う…、別に慌ててなんか…」

「はいはい」

 照れたように頬を掻くヒロに、カズは嬉しそうに笑った。

 ヒロは照れながらも、カズを自分の上から降ろし、

「じゃあ、風呂に入ってくるか…」

 と言って立ちあがった。が、片手をひかれてよろけた。

 自分の左手を見てみると、先ほどから握られたままのカズの手。

「カズ…風呂に入ってくるから、いい加減離せ」

「ニシシッ!…「いくらでも」って言ったよね?」

「な…!?」

「外で言ったよね。「帰ったらいくらでも握っていい」って」

「いや…言うには言ったが…」

「というわけで、私も一緒に入りまーす!」

「お、おい!」

「男に二言はないよね?ヒロ?」

「ぐ…」

 結局カズに押し切られる形で、ヒロは入浴を承諾した。

 カズは甘え上手だ。更にヒロは自分でも気づいていないが、優しい。

 こういった提案は、大抵カズの希望が通ってしまう。

「変なことはなしだぞ」

「ひどいなぁ。私変なことなんてしないよ?」

「普段の行動を見てから言ってもらいたい」

「えー」

「まったく…」

 仕方なさそうにしながらも、顔を赤らめて殊勝な反応を見せるヒロ。

 カズがそんなヒロの左腕に抱きつくようにしながら、二人で風呂場に向かう。

「あまりくっつくな…!歩きにくい…!」

「まぁ、照れない照れない。私がくっついてたいの。寄り添ってたいの。だめ?」

「……」

 ヒロは押し黙った。

 「良い」とは言いたくない。実際歩きにくいので、あまり良くはない。だが「駄目」と素直に言うこともできない。カズを拒絶するような気もするし、

なにより心から嫌な訳ではない。いやむしろくっつかれるのは嬉しい部類なのだが、なにより恥ずかしいうえにやはり歩きにくいのだし、というか

あんな顔で「だめ?」とか聞かれたらそうそう断れるものではないというかなんというか、惚れている相手に対してあれは反則だと思うのだが今

度自分も使ってみようかいや自分じゃまず言う段階で恥ずかしくてできないだろうというか、とりあえず今抱きつかれてるというか寄り添われてる

というか…

「わっと…!」

 ヒロは突如カズをぐいっとひき寄せた。

「ど、どうしたのヒロ…?」

「いや…別に」

 別に大した理由じゃない。ただ…

「なんというかこう…寄り添われるんじゃなく、寄り添いたいと思ってだな…」

 様々な思いが巡った頭の中で、ほとんどが通り過ぎていったが、そこだけが引っ掛かった。

 寄り添われるのではなく、寄り添いたい。支えになりたい。

 あの夜に、決心した。

 その気持ちを、思いだした。

「…ありがと。ヒロ」

 繋いでいた手をキュッ握りなおし、カズは幸せそうに笑う。

 そしてヒロの顔を見上げて、カズが「あっ」と声をあげた。

「『するとき』も手、繋いでてね?」

「な…!?」

「嫌?」

「ぬ…嫌じゃあ、ないが…」

「ニシシッ!じゃあ、よろしく!」

 二人は顔を見合わせ、ふっと笑みをこぼした。

 愛する人が隣にいるということは、こんなにも幸せなのだと思いながら。



「さぁーて!ささっとお風呂に入ってお楽しみにしよう!」

「露骨に何を言ってるんだお前は…!」

「えーヒロは楽しみじゃないの?」

「……」

「楽しみなんじゃん」

「う、うるさい…!」











あとがき


 初めましての方は初めまして。クナと申します。

 あとがきは後読感を壊すかもと思いましたが、自分があとがき読むのが好きなので、もう一筆書かせて頂きたいと思います

 えーと、今回カズとヒロの物語「虎狐恋歌」の二次創作としてこちらを書かせてもらいました。

 書くために改めて設定を読み込んでいくと、Beさんの緻密な設定なんかが見えてきて、とても恐縮しながらの執筆となりました。

 この話でやりたかったのは、主に3つ。

 まずは、最期の方の「ありがとう、私の大岩さん」とカズに言わせることです。

 書くときに最初に考えたのは実は題名。虎狐恋歌のあとのサブタイトルでした。

 「サクラチル」「サクラサク」「ユキザクラ」ときて、自分も同じようなサブタイトルが良いな…と。

 そこでユキザクラにかけて「ナツザクラ」にしようと思い立ちました。

 夏に桜?と自分でも思ったのですが、そこはあえて面白い部分になるんじゃないかと。

 それで、その桜の情景が先にあって、カズの台詞が思いついたという次第であります。

 この台詞を言わせたいがために、思考錯誤でした…。

 カズが礼を言って、ヒロがわからない。というのを書きたかったんですが、その前にも後にも「好き」だのなんだの言っていてあまり際立ってない

ような気がします…()

 そしてもう一つは、カズがヒロを毎日待つようになったきっかけのようなもの。

 これはBeさんなりに理由があったりするのかな…なども考えましたが、こうだったらいいな、という妄想が膨らみまして。

 ヒロが待っている逆シチュエーションも書けて結構満足です。

 そして3つ目は少々消化不良ですが、手を繋ぐというもの。

 いや本当は手を繋いだままのプレイみたいのが書きたかったんですが…(ごにょごにょ)

 お風呂場で手をつないだまま四苦八苦して服を脱ぎ合うシーンとか、行為中に無理な体勢になってヒロの筋が攣るシーンとかも書いたんですけ

ど…度胸が無いのと構成上の問題でカット。

 人さまのキャラでエロエロなのを書くというのは、ちょっと恥ずかしすぎました/////


 さて、とらいぶ!に出会ったのはもうかなり前のことになりました。

 最初に読んだのはおそらくAOBシリーズだったと思います。一晩かけて一気に読んだ記憶が()

 だがしかし、心に一番引っ掛かったのは、このカズとヒロでした。

 最期に別れというものが待っているからなのか、それが涙を誘うからなのか。

 でもそんな簡単なものじゃない。「何か」があった。

 この二人の想いが切なくて。心の交わりが微笑ましくて。会話が面白くて。

 なんだか自分の中でなにかターニングポイントになってしまったような作品です。

 「とらいぶ!の作品を書かせてもらおう」と思った時、真っ先に書いてみたいと思ったのはこの話でした。

 書いている最中、最期が悲しすぎる二人だから、自分が書く合間の話はせめて幸せに。

 そんな思いもありましたね。その悲しみにももちろん意味があるわけですが。

 いやでも、悲しいものは悲しいよね!()

 ヒロは言わなかったけど、自分は例のあのシーンでカズに「死ぬな」と呟いておりました…お恥ずかしい。

 狐虎恋歌は「繋がっていく物語」の名に相応しく、自分の心まで繋いでしまったようです。(……今、上手いこと言いませんでした?)

 自分の書いたこのナツザクラも、もしよろしければ皆さんの中の物語に繋げてあげて下さい。


 長くなってしまいましたが、このあたりで終わりとさせていただきます。

 最期になりましたが、原作者であるBeさんに、書かせていだいたことと、こんなにも素晴らしい作品を生み出してくださったことへのお礼を申しあ

げます。

 そしてここまで読んでくださった方も、ありがとうございました。

 拙い作品ですが、カレーの福仁漬けのような、はたまた御作りのたんぽぽのような存在にでも、感じて頂けたらと思います。

 それでは、何度も申し上げますが本当に、ありがとうございました!


戻る