第二話 「定期戦に向けて」
我らが星陵の柔道場。
良く言えば年季が入っている。悪く言えばガタがきている。もっと悪く言えばガッタガタになっている。そんな柔道場に、
柔道部員全員が、畳の上に腰を降ろして車座になっていた。
…まぁ、全員と言っても三人しか居ないわけだが…。
今日は来る大事なイベントに関係する話があって、ぼくは後輩二人にその説明をしようとしていた。
「定期戦?…って、何すか?」
ぼくの言葉を聞くなり、小山のような大熊は、目を丸くしながら首を傾げた。
大人顔負けの大柄な体付きをしている割に、時折見せるこういう仕草があどけなくてギャップがある。
「川向こうに陽明高校ってあるでしょ?あそこと星陵は、毎年連休前後に定期戦をしてるんだ」
隣に座っている小柄な猫獣人が、アブクマにそう説明した。
遠くから来ている一年生は知らなくても不思議じゃないんだけれど、さすがはイヌイ、良く調べてある。
「今年は連休があけて、中間試験も終わった後に開催される。この定期戦は部毎に対抗試合をするんだが、うちの部も参加が
問われるんだ」
「へぇ〜、面白そうっすね?」
興味を覚えたのか、アブクマがぐっと身を乗り出した。
「部員数は少ないけれど、なぁに、去年だって三人で出たんだ。今年も参加申請しようかと思ってな。どうだろう?」
「もちろん、俺は賛成っすよ!」
ぼくの提案にアブクマは即答し、イヌイも頷く。
「でも二人だけかぁ。って、もしかして二試合だけ?」
「いや、もっとかな。伝統を守って勝ち抜き方式の団体戦だから。ま、こっちからは二人しか出ないのは確かだけれど」
「え?だ、団体戦!?」
アブクマは目をキラキラさせる。
「い、良いんすか?俺が出ても!?」
「もちろんだよ。公式試合じゃないから、階級も無視だからな」
アブクマは嬉しそうに笑みを浮かべる。
いかつい顔つきに高校生離れした巨体だが、笑顔は年相応の少年のものだ。
嬉しい…、か…。無理もない…。
柔道だけでなく、他の格闘技でも言える事だけれど、彼ら獣人には殆どの競技において、公式の団体戦が無い。
身体能力が違いすぎるせいで、野球やサッカーなどのチーム競技ですら、人数制限が設けられている。
柔道も、人間とは違う階級設定が設けられた個人戦しか無いんだ。
「二対五かぁ。ちっと見栄えは悪ぃけど、まぁ贅沢言ったらバチが当たるか!」
心底嬉しそうに笑っているアブクマの横で、イヌイがぼくの顔を見ながら軽く手を上げた。
「イヌイ、何だ?」
「オーダーはどうするんですか?二人しか居ないわけですけど…」
可愛らしく小首を傾げたイヌイに、横からアブクマが応じた。
「主将が大将だろ?で、俺が先鋒だ。決まってるじゃねぇか」
「それで良いの?」
念を押すイヌイに、今度はアブクマが首を傾げる。
「良いのかって…、なんか悪ぃのか?主将はどうなんすか?普通なら大将は主将っすよね?」
尋ねられたぼくは、イヌイとアブクマに頷いて見せた。
「実力順という並べ方もあるけれど、今回はアブクマに先鋒を頼みたい」
「でも、それじゃあ…。サツキ君が全員抜きしちゃったら、主将の出番が…」
イヌイはなんだか少し困ったような顔で、隣の大熊にちらりと視線を向けた。
視線に気付いたアブクマは、「あ?」と声を漏らし、ぽかんと口を開ける。
「全員抜きはたぶんできねぇよ。相手は現役の高校柔道部。こっちはブランクがある中学柔道レベル。いくらなんでも買いか
ぶりすぎだぜキイチ?」
「いやぁ…、全員抜いて貰えればそれが一番だけどな…」
そう言ったぼくに、イヌイとアブクマは視線を向ける。
「そいつぁ、どういう事っすか主将?」
二人の説明を求めるような視線を受けながら、ぼくは考えている事を口にした。
「お隣同士の定期戦とは言っても、伝統に則った物だし、総体の前哨戦としての意味合いもある。だから何処の部もベストメ
ンバーを出す。陽明の柔道部だって間違い無くそうだ」
ぼくが何を言いたいのか判らないんだろう。二人は顔を見合わせた。
「ウチはともかく、強豪校の陽明については、他の学校も気になって偵察に来る。いいかい?つまりこれは、絶好の宣伝のチャ
ンスなんだ」
「宣伝?」
アブクマは眉根を寄せながら首を傾げたが、イヌイは何かに気付いたのか、少し眉を上げて、耳をプルルっと動かした。
そして一瞬後に、理解したのか、「あ!」と声を上げる。
「定期戦でサツキ君が頑張って、他校の注意を引く?」
さすがイヌイ。察しが良いなぁ…。
一方、定期戦の事も今聞いたばかりのアブクマは、イヌイに視線を向け、何か訊きたそうに「ん?」と首を傾げる。
「そういう事。はっきり言ってうちは代々弱小だ。練習試合を申し込んでも断られたりするくらいにね。でも、昨年の中体連
全国二位のアブクマには、どこも興味津々だろう」
「…そういうもんかなぁ?」
今ひとつ実感が無いのだろう、首を傾げる当の本人に、ぼくは苦笑を返す。
「そういうものなんだよ。もう少し自分の立場を理解してくれ」
「驕らないのは良い事だけれど、サツキ君はもうちょっと天狗になって良いと思うよ?」
イヌイも同感だったらしく、可笑しそうに笑いながら言う。
当のアブクマは、顔を顰めながら後頭部をガリガリと掻いて、
「んな事言ったってなぁ…。俺より強ぇヤツなんて結構居るんだぜ?オジマ先輩とか、キダ先生とか、アルとかよ…」
何やらブツブツと呟いていた。
「部内だけで練習したところで、ぼくじゃ相手にならないから稽古の効果は薄い。はっきり言ってアブクマの腕は鈍る一方だ」
「んなこたぁねぇっすよ!俺は主将と一緒に稽古できるだけで満足…」
声をあげたアブクマを、手を上げて制し、ぼくは続ける。
「基礎なら確かに部内でできる。でも、試合勘を鈍らせない実戦的な稽古…、それには他流試合が効果的だ。それは判るな?」
ぼくの話を聞いたアブクマは、しぶしぶといった様子で頷いた。
「さて、要するに、知名度のあるアブクマに定期戦で実力をアピールして貰いたいんだ。他校を警戒させられれば、今後の合
同練習や練習試合の申し込みも、潤滑に進むようになるはずだから」
「…主将は…、試合できなくても良いって言うんすか…?」
ぼくに気を遣ってくれているのだろう。アブクマは体を縮めて少し俯き、上目遣いにぼくを見た。…なんだか可愛いし…。
「構わないよ。目先の一試合より、先の練習試合…。むしろ今回は出番が無い方がいいくらいだ。上手く行けば、今後、嫌と
言うほど練習試合ができるからな」
そう笑ってやると、アブクマはニッと笑みを返してくれた。
「…そういう事だったら、全抜き、狙ってみるっすかね!」
そして立ち上がると、ぎゅっと白帯を締め直す。
「こうしちゃいらんねぇや!随分体鈍っちまってるし、本番までに仕上げとかねぇと!」
ぼくは微妙な半笑いで頷く。
アブクマは強い。何で強いのかは、一緒に稽古するようになってから良く判った。
…彼が中学時代に続けていたという稽古は…、凶悪にキツいのだ…。
「…主将…?無理に付き合う必要は…。サツキ君はいろいろと規格外ですから…」
イヌイが小声でそう言ってくれたが、ぼくは首を横に振る。
「いや、もちろん同じメニューをこなすさ。何と言っても、ぼくは主将なんだからな!」
柔道は好きだけれど、強くはない。それで満足しようとしていた。
体格に恵まれていない。才能がない。ずっとそう思い続けて来た。
でも違う。それはただの言い訳だ。
体格に恵まれ、ぼくからすれば羨ましいほどに強いアブクマ。そんな彼が見せた姿勢が教えてくれた。
決して驕る事無く、愚直なまでにひたむきに、厳しい稽古に励む彼の姿が、自分の甘えを自覚させてくれた。
強くなれないんじゃない。強くなる事を諦めていたんだ。
柔道ができさえすれば、ただそれだけで満足なんだと、自分に言い聞かせて…。
高校で、初めてできた部の後輩…。その存在がぼくを奮い立たせてくれた。
…強くなりたい…。後輩達が、胸を張って自分の先輩だと言えるような、そんな先輩になりたい…!
「んじゃまずは…」
アブクマは道場の出口に視線を向け、
「俺の苦手なジョギングから…になるっすかね?主将…」
苦笑いしながら鼻の頭をかき、ぼくらの笑いを誘った。
そうそう、自己紹介をしないと…。
ぼくは岩国聡。星陵ヶ丘高校三年。自分でも少し頼りないとは思うが、柔道部主将。同時に、第二男子寮の寮監でもある。
「ただいま。…むぅっ!?」
寮の部屋に帰って来た大柄な牛獣人は、ドアを開けるなり驚いたように声を上げた。
床にうつ伏せになってぐったりしていたから、びっくりしたんだろう。
「ど、どうしたサトル!?おい!?大丈夫か!?風邪か!?それとも怪我か!?」
「ああ。おかえりウシオ…。あと、ちょっと落ち着いて…」
ぼくは身を起こして、傍に歩み寄って屈み込んだウシオに笑いかける。
「稽古…、はりきり過ぎた…。もぉ…、ずったぼろ…」
「そ、そうか…。てっきり熱でも出して倒れたのかと…。驚かさんでくれ…」
ウシオはそう言いながらほっと息を吐き出すと、鞄を下ろしてテーブルの脇に腰を下ろす。
心配してくれるのは有り難いが、度を越してるぞウシオ?ぼくだって疲れてぐったりする事ぐらいある。
「今日も例のカツアゲ犯の捜索?」
「うむ。…が、なかなか尻尾が掴めんで難儀している…。当初はウチと陽明の団を甘く見ている、他所から来た新入生の仕業
かと考えていたが、こうまで巡回を強化して見つからんとなると…、あるいは逆に、団を警戒しつつ犯行に及んでいるように
も思えて来る…」
「どっちなんだろうなぁ…?」
「判らん。何か考え付かんか?」
尋ねて来たウシオに、ぼくは思わず苦笑する。
「専門家が判らないのに、何でぼくが判るんだ?」
「藁にも縋りたい心境でな。定期戦が近いというのに、これでは落ち着かん」
「ひどいなぁ、ぼくは藁か?」
「む?済まん。悪気は無かったんだが…」
眉をひそめて決まり悪そうな顔をしたウシオに、ぼくは笑いかける。
「ははは、判ってるって…!」
ぼくが気分を害していない事を確認できたのか、ウシオは苦笑いしながら「済まん」と、もう一度謝った。
「それで、どうだ?部の方は?」
「そこそこ順調かな」
ぼくが身を起こしながら答えると、ウシオは「ふむ」と頷く。
「アブクマもイヌイも、こんなぼくを主将と呼んで慕ってくれる…。頑張らなきゃいけないって思うよ」
無言のまま頷いたウシオに、ぼくは続ける。
「なぁ、ウシオ…。後輩が出来ると、心境というのは、随分変わるんだな…」
「ふむ?」
「後輩に無様な姿を見せたくない…。そう思うと、今までよりももっと、頑張れるような気がする…」
「…そうかもしれんな…」
思い当たる事があったのだろうか、ウシオは微かな笑みを浮かべて頷いた。
「はぁ…。疲れたし、何よりはらぺこだ…。最近は夕食が待ち遠しくて仕方がないよ」
「ははは!良い傾向じゃあないか?それだけ体を酷使しているということだ」
「ははっ、まったくだ…!」
声を上げて笑ったウシオに、ぼくはぽつりと呟く。
「アブクマが強い理由が判るよ。こんなキツい稽古、中学からずっと続けているんだもんな…。いかに自分が甘ったれていた
か、気付かされた」
「サトル…」
「スタートが遅れたけれど、頑張ってみる。ぼくらにとっては最後の一年だ…」
「…そうだな…」
ウシオは感慨深げに頷くと、ぼくの目を見て尋ねてきた。
「話は変わるが…。オシタリのやつ、少し変わったと思わんか?」
「うん?」
ウシオは静かに続ける。
「少しだが、雰囲気が和らいだような気もする…」
「…うん…。言われてみればそうかもしれない…」
相変わらず、点呼の時も頷くだけだけれど…。
「アブクマが飯の時に色々と話しかけているようだが…」
そう言ったウシオに、ぼくはニヤリと笑ってやる。
「気になるのかい?昔の自分みたいで」
ウシオは苦笑いしながら頬を掻く。
「痛い所を突くな…。まぁそうなのだが…」
今は応援団長をやっているウシオだが、入学したばかりの頃はとんでもない荒くれ者だった。
だが、ある出来事をきっかけにコイツは変わった。
それ以来、ルームメイトでありながら、それまで殆ど会話の無かったぼくらは親友になった。
そしてウシオは当時の寮監の勧めで応援団に入り、今のようなとっつきやすい、慕われる人柄になったんだ…。
腰を捻って体をほぐし、ぼくは立ち上がる。
「…さて、食事に行こうか」
「うむ!…あ〜…点呼の事だが…、疲れているなら休んでいて構わんぞ?ワシ一人で回っても大して手間では…」
立ち上がりながら、気を遣ってそう言ってくれたウシオに、ぼくは苦笑を返す。
「申し出は有り難いが、やらせてくれよ。寮監の仕事も今学期で終わりなんだ」
食堂に入ると、まず手前側の席に居るイヌイとウツノミヤの姿が目に入った。
アブクマはいつものように、オシタリと二人だけのテーブルで食事中だ。…あっちは邪魔しない方が良いだろうな。
「今日は皆随分早いな。出かける予定でもあるのかい?」
ぼくらがイヌイとウツノミヤのテーブルにお邪魔しながら尋ねると、眼鏡狐が肩を竦めた。
「どうもこうもありませんよ。アブクマが「腹が減った、腹が減った」とうるさくて…」
「今にも死んじゃいそうな声で訴えるんですよ。それで、僕らも今日は少し早めに…」
イヌイが言葉の後を引き取り、微苦笑する。
「もっ!?バラふなうぉホコっ!」
あ、聞こえていたのか?振り返ると、少し離れたテーブルで、アブクマが不満げに頬を膨らませ…、じゃないなアレは…、
詰め込んだ食べ物で頬を膨らませ、くぐもった声で怒鳴っていた。
短期間で体を絞るために、現在、アブクマは食事の量を減らしている。
本来は望ましい減量の形ではないけれど、アブクマは少々太り過ぎだとは、口にこそしないもののぼくも思う。
イヌイも目を光らせているから無茶な減量はさせないだろうし、続く限りは口を挟まず見守ってやろう…。
「仕方ねぇだろ?育ち盛りなんだからよ!」
「食った分、幅にだけ伸びてんじゃねえのか…?」
口の中の物を飲み下し、顔を顰めながら言ったアブクマに、同席しているオシタリがそっけなく呟いた。
あいかわらずあまり口を開かないが、確かにウシオの言うとおり、少しは打ち解けてきているかな…。
「ん?どうしたアブクマ?食欲が無いのか?ちゃんと食わんと保たんぞ?」
アブクマが減量中な事はつゆ知らず、ウシオが首を傾げながら話を振った。
「…今、ダイエット中なんすよ…」
決まり悪そうにぼそっと答えたアブクマに、ウシオは「なるほど」と頷いた。
「彼女でもできたのか?」
…違うって…。
点呼を終えたぼくらは、自室に戻って、並んで机に向かった。
ぼくは定期戦のオーダー表を作り、ウシオは当日の応援団員の配置分けを考えていた。
「定期戦とはいえ、柔道場では声を張り上げて応援する訳にもいかんからなぁ…」
ウシオは出来上がった配置表を見つめながら、つまらなそうに呟く。
「ウシオの大声じゃ、審判の声もかき消されるだろうしな」
冗談めかして言うと、ウシオはぼそっと呟く。
「いっぺんで良いから…、お前にも思いっきりエールを送ってやりたい…」
「メインイベントの野球の試合で、団長不在は問題だろう?…その気持ちだけで十分嬉しいよ、ウシオ」
ぼくが笑いかけると、ウシオは照れたように頭をガリガリと掻いた。
コンコン、とノックの音が響いたので、ぼくとウシオはドアを振り返る。
「開いているぞ?」
「おじゃまします」
ウシオの返事を聞いてから入って来たのは、ぼくの幼馴染みの狼、二年生のシゲだった。
「ありゃりゃ?もしかしてお邪魔でした?」
ぼくらが机に向かっているのを見て、シゲは目を丸くした。
「いや、もうあらかた終わってる。大丈夫だよ」
ぼくが椅子から立ち上がり、テーブルの傍に腰を下ろすと、ウシオとシゲもそれに倣った。
シゲはこうしてよく遊びに来る。
ウノやトランプなどに興じながら、シゲからぼくらが知らない寮内の話を聞く事も、寮監としては非常に役に立つのだ。
「108の二人、ギクシャクしてたのは治ったみたいですね」
「へぇ、それは良かった。至る所で纏まりつつあるな」
この分なら、今年は部屋替えの必要はなさそうだ。やれやれ一安心…。
「原因は何だったのだ?」
ウシオの問いに、シゲは苦笑した。
「そこまではちょっと…。おおかた、オナニーでも見られたんじゃないでしょうか?」
「がははは!思い出すなぁ!シゲがアトラの自慰を目撃して気まずくなった事件!」
ウシオは声を上げて豪快に笑う。
真垣亜虎(まがきあとら)。応援団所属の虎獣人、鼓手を務める二年生の名前だ。
シゲのルームメイトだが、昨年の今頃だろうか?そんな事件があった。
さすがのシゲも気まずくなり、元々寡黙な彼は貝のように黙り込み、ギスギスしながら居心地悪そうに過ごしていたっけ…。
「笑い事じゃないですよ団長?あれ以来随分気を遣うようになったんですから。…まぁ、おれが居ないのをこれ幸いと、今頃
抜いてるかもしれませんけどね?」
男子寮ならではの下品な会話。
部外者が聞けば何事かと思われそうだが、男ばかり集まって過ごすこの寮では、そういう話題には事欠かないのだ。
「そろそろ一年達も、寮生活の恐ろしさが身に染みて来る頃だろうなぁ…」
ウシオはしみじみと言い、シゲがニヤニヤしながら頷いた。
「あ、それはそうとサトルさん」
「うん?」
狼は口の端を吊り上げて続けた。
「アブクマとイヌイ。サトルさんの事、随分慕ってるみたいですよ?一応報告まで…」
「そうか…。はは、二人とも、ぼく…」
ぼくはこそばゆい思いをしながら笑みを浮かべ、
「ウノだ!」
…空気の読めないウシオが、言いかけた言葉を遮って誇らしげに胸を張った…。
え?…うん…。「二人とも、ぼくには過ぎた後輩だ」って、言おうとしたんだけれどな…。