第十九話 「ムフフなイベント」
「…機嫌良いじゃねえか?」
背後からかけられた声に、シャワーで肩から胸を流していた俺は、首を曲げて振り向いた。
湯船の縁に組んだ腕を乗せ、そのまた上に顎を乗せたジャーマンシェパードが、妙なモンでも見たような顔で俺を眺めてる。
普段から目つきがキツいオシタリだが、今はその目が物凄く細くなって…、何つぅかこう…、観察するような視線になって
んな…。
俺達が暮らす寮の、一年生が生活する階の浴場には、今んトコ俺とオシタリの二人だけだ。
俺は点呼終了後、少ししてから風呂に入りに来たんだが、その時にはもうオシタリが湯船に浸かってた。
普段のオシタリは相変わらず口数が少ねぇけど、俺と二人っきりの時には結構しゃべる。
ま、がさつで頭の悪ぃモン同士だ、俺との程度の低い話題なら、乗るのも喋るのも気楽なんだろうな。
「まぁ、確かに機嫌は良いかな。…何でそう思うんだ?」
「さっきからずっと、尻尾がペコペコ動いてやがるぜ」
「…マジか?」
「おう」
軽く驚いた俺が、自分の尻にくっついてる短ぇ尻尾を見下ろしながら声を漏らすと、オシタリがはっきり頷いた。
…やっぱ浮かれてんだろうなぁ、俺…。
「熊も尻尾に出んだな?」
「結構な…、まぁ尻尾長ぇヤツら程は目立たねぇんだけど…」
嬉しい時に尻尾が動いたり、ビックリしてピンと立ったりするってのは、尻尾がある獣人にとっちゃ普通の事だ。
大人になるにつれて、感情がそのままはっきり出たりはしねぇようになってくらしいけど、この仕草が完全に消える事はそ
うそうねぇらしい。
「子供の頃は反応が顕著で、成長して行くにつれてある程度自制がきくようになるらしいよ?」
…ってのは、色んな事に詳しい我が恋人、キイチの説明。
けど、尻尾や耳の反応ってのは、つまり顔に出る表情と同じで、「多少なりともあるのが当然」って話だった。
なんせこのシェパード…、生まれて来た時からずっと仏頂面みてぇなオシタリですら、嬉しけりゃ尻尾は動く。そんなに派
手にじゃあねぇけどな。
そこ行くとウッチーなんかは凄ぇよな。耳や尻尾なんかに殆ど感情が出ねぇ。
嬉しそうな時だって尻尾の動きはあんまりねぇし…、やっぱ精神的に大人だって事なのか?
キイチの尻尾は結構素直だ。機嫌が良けりゃクネクネ動くし、嬉しけりゃピンと立ってプルプルするし、ビックリすりゃ毛
が逆立ってボサッと太くなる。魅力的だ。
…ま、他は何処でも触らせてくれんのに、尻尾だけは触らせてくれねぇんだけどさ…。
抱き合ってる時に尻尾が体と触れても何ともねぇのに、触ろうとして手ぇ伸ばすと、毛ぇ逆立てて「キシャーッ!」って怒
るんだよ。…何で触らせてくんねぇんだろ…?
そこまで考えた俺は、ふとある事を思いついてオシタリに訊いてみた。
「なぁオシタリ。尻尾触られんのって嫌な事なのか?」
「あん?何だいきなり?」
質問の意図が解らなかったらしいオシタリが、胡乱げに片眉を上げる。
「てめえにも尻尾あんだろが?」
「ちゃんとした尻尾のヤツに話を聞かせて貰いてぇんだよ」
「ちゃんとしてねえのか?その尻尾…」
オシタリは俺の尻の辺りを凝視する。
…おいおい。ちゃんとしたの意味がおかしくねぇか?一体どういう意味だと思ってんだよ?
「ちゃんと長ぇ尻尾があるヤツに訊きてぇんだよ…」
オシタリは「ああ…」と頷くと、口をへの字にした妙な顔つきになる。
「触られる事なんてねえが、尻の延長みてえな感じだしな…、結構微妙か?」
「なるほど…。考えて見りゃそうそう触られねぇよな…」
しかし、尻の延長かぁ…。オシタリの言う事ももっともだよな?俺のなんか短ぇからなおさらだ。
「あ、今週末は麻婆豆腐にするからな?」
「暑くなって来てんのに、また辛えモンかよ…」
「暑ぃ時期に適度に辛ぇモン食って汗かくのが健康に良いんだってよ。俺らの分のついでだけど飯作ってやってんだ、文句言
うなって」
そうやってしばらく他愛のねぇやりとりをしてると、浴室の戸がカララッと開いて、俺とオシタリは揃って視線を向ける。
「あ。オシタリ君も今お風呂だったんだ?」
薄い湯煙の向こうで、きめ細かなクリーム色の被毛を纏う、小柄で細身の猫が口を開く。
ネコヤマ先輩やイイノに電話かけて調べ物をしてたキイチは、すぐ済むから先に行けって俺を送り出したんだが…、結構か
かったなぁ。
そんなに気になんのか?例の戦績が無ぇ代表選手の事…。
「そろそろ上がるとこだ」
オシタリがそう応じる短ぇ間に、キイチは「お邪魔します」と断って、濡れた床に足をペタッと乗せた。
両手でタオルを持って、恥じらうように前を隠したセクシーポーズ…。
…やべ…、生唾湧いて来ちまった…。
キイチが俺の隣に歩いて来て、椅子を引いて座ろうとすると、オシタリがザバッと湯船から体を上げる。
前を隠そうともしねぇ堂々とした見せっぷり。まさに大公開時代。
…こいつのこういうトコ、実はちっとだけ羨ましかったりもする…。
シェパードらしい硬めの毛から湯を滴らせるオシタリは、キイチを挟んで俺と反対側につき、シャワーを捻った。
湯上がりにはシャワーで水を浴びてから出てくのがこいつのスタイルだ。
最近は俺も真似るようになったが、毛穴と皮膚が締まって結構気分良いんだコレが。風呂上がりの汗もかきにくくなるし。
一時ながら三人並ぶと、キイチの小柄さが際立つ。
俺の図体に関しちゃ説明要らねぇし、オシタリはオシタリでガタイが良いからな。
むさ苦しい野郎共の間に挟まれたキュートな猫は、一度シャワーで全身を湿らせた後、踝の辺りから丁寧に洗い始めた。
その背中側に、俺の視線は自然と引き付けられる。
…しなやかで長めな、キイチの尻尾…。何で触ろうとすると怒んのかなぁ…?
キイチ二号…もといユキマルは、尻尾の付け根から先っぽに向かって、軽く摘んで引っ張るように撫でてやると喜ぶんだけ
ど…。まぁ、あっちは本物のネコだけどよ…。
俺がそんな事を考えながら軽く首を捻ってるのにも気付かず、キイチは集中して足を洗ってる。
ただ体洗ってるだけなのに…、何かこう…、グッと来る…!
体を洗ってる時のこれ、ひたむきさってのか?何つぅかこう一生懸命な感じで…、これがまた可愛いんだよなぁ…!
俺がだらしなく顔を緩めてる間に、水で体を流したオシタリが腰を上げた。
「先上がるぜ?」
「あ、うん」
「おう」
応じた俺達を残して、オシタリは脱衣場に上がってく。
引き戸が閉じられるその時まで、俺の視線はシェパードの尻尾に向いてた。
…尻尾が長ぇとどんな感じなんだろな?
オシタリと直前まで話してたせいか、今は何だか尻尾の事が気になって気になって…。
「どうしたのサツキ君?」
「ん?」
声をかけられて視線を動かすと、傍らから見上げて来るキイチの不思議そうな顔。
「何だかぼーっとしてない?のぼせちゃったの?」
「いや、まだ湯船に入ってねぇ。…ちょっとどうでも良い考え事しててよ」
キイチに答えた俺は、止めていた手を動かして、再び体を洗い始める。
オシタリに声かけられたきり中断して、泡立ててからしばらく経ってたから、泡が少なくなっちまったよ…。
もう一回泡立てよう。なんたって今日は、シャンプーの匂いも残らねぇぐれぇ、入念に洗っておかなきゃなんねぇしな…!
ニマニマしながら太腿に股ぐら、胸元に脇腹、脇の下と、汗臭くなりやすいトコを集中的に洗う俺に、横からキイチが意味
ありげな視線を向けて来る。
「…そんなに張り切らなくても…」
微苦笑するキイチの横、無言で体を洗う俺の愚息は、入浴後のイベントへの期待から、むくっと頭をもたげ始めてた。
…気が早ぇって…。そんなにとばしてるとモたねぇぞ俺?ただでさえ早ぇんだから…。
おっと自己紹介…。
俺、阿武隈沙月。星陵の一年生で柔道部所属。濃い茶色の被毛に映える、胸元の白い三日月がトレードマーク。
今夜は久々にムフフなイベントが約束され、朝から興奮しっぱなしだった熊獣人だ…!
いやもぉ今日は朝から大変だったぜ!
風邪を引いたキイチの体調が戻るのを待って、全国大会進出のごほうびを貰える事になってたんだけどよ。朝に部屋から出
た後…、
「今夜、約束してたご褒美ね?」
な〜んて言われたもんだからよぉ…。
時折思い出しちゃあニヤつきそうになる顔を引き締めて…、時にはうっかりアレんなって前屈みになったりして…。
…幸いって言うのも哀しいモンがあるが…、勃っても目立たねぇんだけどな、俺のは…。
サイズがああなせいで、ぶっちゃけズボンのモコみに紛れて判んねぇっぽい…。
何せ大会前から抜いてなかった上、ごほうび期待して今日まで我慢してたからよ、そりゃもうちょくちょく夜の事に考えが
飛んでっては下半身が反応して…。
…実は放課後の稽古の時とかもヤバかった…。
主将には気付かれなかったみてぇだけど、軽く脇腹とか胸とか刺激されただけでもぉ…。
「やだこのスケベ…」
座卓に陣取って今日一日をいかにして耐えて来たかを説明した俺に、隣に座ったキイチは呆れたような顔を向けて来た。
「だ、だだだだって溜まってたし!予告みてぇな事言われるから朝からずっとお預け食らった犬の気分で俺ぁもぉっ…!」
「待たせて悪かったと思ったから朝の内に言ったんだけど…、それなら今まで黙ってた方が良かったのかなぁ…?」
弁解する俺の前で、キイチは顎に手を当てながら呟いた。
…あ。尻尾揺れてる…。そう言やキイチの尻尾って考え事する時も動いてるよな…。
「前もってことわっておいた方が良いと思ったんだけど、かえって辛かったならごめんね?」
キイチが少し耳を倒しながらそう言い、俺は白い尻尾から視線を外す。
「い、いや…、謝られるような事じゃ…!勝手に興奮しちまってたのも、堪え性がねぇのも、俺の問題なんだし…!」
ドキッとした俺がそう漏らすと、キイチはその細くて華奢で綺麗な手を、あぐらをかいてる俺の脚にそっと置いた。
ふとももに乗った頼りねぇほど軽い感触が、あるかねぇかの刺激が…、色んなもんを溜めに溜め込んでた俺を動揺させる…。
「でも、もう我慢しなくて良いから」
ちょっと恥ずかしそうに微笑むキイチの顔を間近で見て、俺の顔はだらしな〜くニヤケる…。
「あ。でもちょっとは我慢して欲しいかも?すぐイっちゃわないように」
思い直したようなキイチの何気ない発言が、サクッと俺の心を抉る。…どうせ早漏ですよ俺ぁ…。
寝室のベッドの上、奥の壁に首の下を預け、かなり浅い斜めに寄り掛かっている俺に、キイチがそっとのし掛かる。
俺の太い腰を跨いで座った恰好のキイチは、胸に軽く手をついて僅かに体重を預け、顔を寄せて来た。
お互いの顔がゆっくり近付き、息遣いがこそばゆく感じる距離を過ぎ、鼻先が触れそうな程に近くなった次の瞬間、唇が触
れ合った。
最初は軽く口先を触れ合わせた状態で、キスは始まった。
鼻息を荒くした俺の口に、キイチの舌がそっと割って入る。
クチュ、クチュ、と湿った音が、空気だけじゃなく口から直接伝わって耳に届いて、俺の興奮は早速強まった。
「んっ…、むふ…!」
キイチの舌が口の中をまさぐって、俺は快感の呻きを漏らす…。
俺の舌に絡んで、唇と歯茎の間をほじるように舐めて、歯の裏側を擦って行くキイチの舌…。
いつにも増して丹念なキイチのディープキスが、あっと言う間に俺の脳をとろけさせた。
やがて、十分に唇を吸ったキイチが顔を離した時には、俺ぁもぉ体を完全に火照らせて、息を弾ませてた。
そんな俺の顔を、キイチは間近でまじまじと見つめる。
「…さっちゃん?」
「…ふぁ…ふぁい?」
「大丈夫?何かぐったりしてるけど…」
「だ、大丈夫大丈夫っ!」
やべぇ…!かなり溜まってたのもあって、俺…、早くも崖っぷち…!
キイチは少しの間俺の顔を見つめ、それから微笑んだ。
「それじゃあ…、始めるね?」
言うが早いか、キイチは俺の肩に顔を寄せた。
その直後、鎖骨の辺りに軽い刺激が走って、俺は声にならねぇ息に近い呻きを漏らす。
左の鎖骨を甘噛みされて固まると、今度は右胸にキイチのしなやかな指がそっと触れて来て、長ぇ被毛に覆われてるソコを
まさぐる。
被毛の中に分け入って来たキイチの指が地肌を刺激し、脂肪を分厚く蓄えて弛んだ胸を軽く揉みしだく。
鎖骨と胸のダブルアタックで、俺は「んあぁ…!」と鼻にかかった柄でもねぇ声を漏らした。
その声で気をよくしたらしいキイチが顎に少し力を加えて、分厚い脂肪の奥にある鎖骨下側辺りに、心地良い程度の圧迫が
かかった。
いつもは俺がキイチを舐め回すついでにやる鎖骨責めだけど…、こいつはやべぇ…!こんな感じるもんだったのか!?
おまけに、胸を軽く揉んでくれてたキイチの指にも力が入って、マッサージは少しきつめに、指が食い込む程度に強くなる。
キイチの右手は俺の背中側に回り込んで、肩胛骨の下辺りを押さえ、押すように撫でてる。
…三箇所同時に、どこもおろそかにしねぇで別々の刺激を…!
普段なら器用さに感心するトコだが、今の俺にはそんな余裕がねぇ…!
浅い呼吸を繰り返す俺の胸…、そこを揉むキイチの指は、やがて敏感な部分を摘んだ。
「あひっ!」
思わず高い声を上げた俺の乳首を、キイチは相変わらず鎖骨を味わいながら摘み、引っ張り、刺激する。
「んっ…!んふぅっ…!んぐっ…!」
声を押し殺す俺の上で、キイチはようやく鎖骨から口を離した。
「今日はいつもより可愛くなっちゃうのが早いね?」
クスクスと可笑しそうに笑うキイチ。その手はそれぞれの持ち場を離れて、俺の腹の上に移動した。
俺の太い腰に跨って、こんもりとした腹の上に両手をつきながら微笑むキイチの顔が、早くも追い詰められた俺の脳みそに
揺さぶりをかける…!
その反則的に可愛い恰好と笑顔やめてぇえええええええええええええっ!
俺もうかなりいっぱいいっぱいなんだからぁああああああああああああっ!
最大の急所に触れられる前からこの余裕の無さ…。俺、本気で溜まってたっぽい。
おまけに朝からずっと興奮してたせいなのか、体がもぉ刺激に対して素直なこと素直なこと…!
息を整える俺の上で、キイチは顔を胸に寄せて、舌先で乳首をまさぐった。
「は…、ひゃわっ!」
妙な声を上げた俺の胸を、キイチの口が音を立てて吸う。
ブルブルと体を震わせる俺の脇腹を右手で撫で、左胸を口で吸い、右胸を左手の指で弄るという、さっきとは品揃えが変わっ
た三点責め…!
決定的なトコを責めねぇまま、キイチの愛撫で俺ぁ…、俺ぁもぉ…!
「き、きっちゃ…んふっ!あぁあああ…!」
堪え切れなくなった俺は、キイチの細くてしなやかな体をギュッと抱き締めた。
…いや、形の上では抱き締めてるけど、実際には俺がキイチに縋り付いてる感じか…。
堪んなくなってる事を察したらしいキイチは、乳首から口を離すと、俺の顔を上目遣いに見つめて来た。
「もしかして、もう?」
俺は懇願するような視線をキイチに向けつつ、黙って頷く。…はい…もうです…。
興奮のあまり充血したチンポがギンギン痛ぇ…!そろそろイかせて欲しい!
が、そんな俺の言葉にしない懇願の中身を察しているはずのキイチは、ふるるっと首を横に振った。
「だぁめ」
「えぇっ!?はひゅっ!」
思わず声を上げた俺は、両手で脇腹の肉を軽く掴まれ、声と一緒に吐いた息をそのまま吸い込んだ。
「もうちょっと焦らさせてね?久し振りで溜まってるんだろうし、限界まで引っ張って気持ちよ〜く出させてあげるから」
ちょ!?何それきっちゃんっ!?
弛んだ脇腹をムニムニ揉まれつつ、「もぉ辛抱堪んねぇから一回抜かせてください」って再度お願いしようとした俺は、開
きかけた口を、身を乗り出したキイチの口で塞がれた。
「んんっふ!…ん…、むふぅ…」
俺の喘ぎと呻きが、口が塞がれているせいでくぐもって、舌を絡ませる湿った音と混じる。
目尻に涙すら浮かべて刺激に耐える俺の顔を、口で繋がったままのキイチの目が見つめる。
嬉しそうに細められたその目で、俺の頭の芯が痺れた。
表情を見て、キイチも悪くねぇ気分なんだって事が判って、嬉しくなって…。
口を離したキイチと俺の間で、細く糸を引いた唾液が、切れて落ちる。
二度目のディープキスで頭がすっかりのぼせたようになって、くたっと脱力してる俺の脇腹を、キイチは優しく揉む…。
マッサージするように贅肉を揉むその手は、やがてゆっくりと移動して腹の上へ。
今度は掴むように揉むんじゃなく押し込むようにして揉み始めたキイチは、肉に手がめり込む感触を面白がってるみてぇだ。
「うわぁ〜…、凄いねぇ」
「ぜ、贅肉が?」
ちょっと恥ずかしくなりながら聞き返した俺に、キイチは微苦笑を向けた。
「まぁ脂肪もなんだけど…、その下の筋肉。前より張り出して来てる感じ」
「そ、そう?鍛えたの判る?」
「うん。正直な事を言うとね、胴回りが増したみたいだったから、減量緩めたせいで単純に太ったのかなぁ…、なんて思って
たんだけど…、胸を中心に筋肉のボリュームがだいぶ変わって来たみたい。頑張ったんだね?さっちゃん」
そう言って褒めてくれたキイチが微笑んで、俺は尻の下になってる尻尾をベッドに擦りつけて動かす。
誰に褒められるよりキイチに褒められるのが、なんたって一番嬉しい。
他の誰かに誉められる何倍も、俺には嬉しいんだよ…。
顔を緩ませて喜んでいると、キイチはもぞもぞっと体を動かして、体勢を変えた。
いよいよ焦らすの止めてくれんのかな?俺の腰の上から降りて、広げた両脚の間にチョコンと正座する恰好になる。
首を起こし、期待を込めてキイチの顔を見る俺の目に、それまではキイチが前に居たせいで見えなかった自分の股間が、でっ
ぷり腹越しに映った。
俺のは、図体のでかさとは対照的に小せぇ…。
短小な上に、縮んだ状態だと余った皮でドリルみてぇになる、重度の包茎…。
そんな俺の、勃起した今でも皮をすっぽり被ったままのちんまりチンポは、先っちょから溢れ出た先走りで全体がベタベタ
に濡れてる。…どれだけ興奮してんだよ…。
そのヌメった光を眺めながら、俺はふと、県大会前夜から包茎改善ローションを使ってなかった事を思い出した。
…ちょっとずつだけど、確かに効果は出てるっぽいんだよな、ズルムケローション…。
塗り込みマッサージの成果か、包皮口少し広がったっぽいし、半分まではあんまり苦労しねぇで剥けるようになったし…。
キイチ曰く、
「もしかしたら、被ってる皮がいくらか成長を妨げてるのかもしれないね…」
との事で、剥けるようになって皮の圧迫から開放されたら、俺のチンポは今からでもいくらかデカくなるかも知れねぇんだ
よこれが。文字通り一皮剥けて。
俺がそんな事を考えてる内に、キイチは身を乗り出して、俺の腹を両側から手の平で挟むようにして軽く揺すった。
脂肪がたっぷりついた出っ腹がタプタプ揺れて、恥ずかしくてくすぐったくて、妙な具合に気持ちいい…。
って、この期に及んでまだ焦らすつもりなのきっちゃぁん!?
心の中での抗議が聞こえた訳じゃねぇだろうけど、キイチは背中を丸めて、深くお辞儀するみてぇに頭を下げた。
来るっ!
そう確信して目をかたく瞑り、少しばかり体を固くして刺激に備えた俺は…、
「あひゃんっ!?」
自分の口から出たとは信じられねぇほど甲高い、妙な声を上げた。…予想してたのとは違うトコに刺激を受けて…。
腰に覆い被さり、顔を低くしたキイチは、俺のヘソに舌を入れてた。
ヘソに入り込んだ舌がクチュッ、クチュッと湿った音を立てながら中を舐め回し、こそばゆさと寒気を感じた俺はブルルッ
と身震いする。
「はひぃっ!ひぐっ…!ふひゅぅううんっ…!」
あられもねぇ声を上げて身悶えする俺のヘソを、キイチは舌先でほじくるように舐める。
へ、ヘソから下っ腹に…、ジンジン刺激が走って…!しょ、小便漏らしちまいそうだよぉっ!
モゾモゾ体を揺すっても、脇腹に沈み込むほどしっかり腕を回したキイチは動かねぇ…!
肩を掴んで退いて貰おうとしたが、いつもの事ながら、快感に酔いしれた俺の体にはちっとも力が入んねぇ…!
荒い呼吸で太鼓腹を上下させる俺のヘソを、音を立てながら執拗に舐めるキイチ。
あぁ!これ絶対途中で止めてくんねぇ!キイチの立った尻尾が機嫌良さそうにフルフルしてるぅ!
俺のヘソ美味いの!?ってか楽しいのっ!?
そんな俺の心の声が聞こえたわけじゃねぇだろうが、キイチは一瞬だけ舌を引っ込めて「ちょっとしょっぱい…」とか何と
か呟いた。
今までもヘソ責めは何回かされてるけど、ここまで入念なのは今回が初めてだ!
下っ腹にジンジン響いて…!ち、ちびっちまいそう…!
だが、俺を責める刺激はヘソだけにとどまらなかった。
ヘソ舐めに夢中になってるっぽいキイチが小刻みに揺する体…。
その薄い胸が、俺の勃ったチンポの先を上から押さえ付けてて…、き、キイチが動くたびにグリグリされて…、震動が伝わっ
て…!
「き、きっちゃ…!やめっ!やめてぇっ!すとっ…ぷぅっ!」
懇願する俺の声にも、しかしキイチは動きを止めない。…ってかすっかり夢中になってるよきっちゃんっ!
「ま、待って!待ってぇっ!こすっ…れてっ…!胸と…!チンっ…!はぎゅ!」
俺が声を途切れさせて身震いするのと、「え?チン?」と、ようやく顔を上げたキイチが呟くのは、全く同時だった。
顔を上げたキイチが硬直し、その目がゆっくり見開かれ、まん丸になる。
その胸の下では、限界が来た俺のチンポが溜めに溜め込んでた精液を…。
ビクビクッと射精の痙攣に続き、荒い息を漏らしながらぐったりした俺の上で、キイチが戸惑い顔で身を起こし、
「あららぁ…」
俺のチンポと擦れて、精液でグショグショになった自分の胸元に視線を向け、途方に暮れたような声を漏らす。
白濁した精液で汚れたクリーム色の被毛が、なんかやらしい…。って俺のせいだった…。
「ご、ごめっ…!ひぃ…、ふぅ…、む、胸と…擦れてて…、興奮してたからっ…、俺…」
胸の前で手を組み、もじもじしながら、情けねぇ気分で「で…出ちゃった…」と呟いた俺は、上目遣いにキイチの顔を窺う。
「擦れてただけだったのに…、感度良過ぎだよさっちゃん。よっぽど溜まってたんだね?」
困ったような顔で、しかし可笑しそうに口元を緩めたキイチは、「満足できなかったんじゃないの?」と、ぐったりしてる
俺の上に登り、こんもり山になってる腹に馬乗りになりつつ訊ねて来た。
「直接しごいてないし、お尻も弄ってないし、物足りないんじゃない?」
「い、いや…、今はいいよぉ…」
息を乱したままそう答えた俺は、キイチが突然「あっ!」と大きな声を上げたせいで、ビクッと体を震わせる。
「弄る時に塗るつもりだったから、ローションマッサージしなかった…。忘れる前にやっちゃおうね?」
「うぇ!?い、いい今はいいよぉっ!」
精神的に余裕がねぇ俺がそう繰り返すと、
「継続は力なり!一見地味なようでも、地道な繰り返しが未来を作る!」
キイチはそんな格言めいた事を言う。
「…という訳で、ローションつけるね?」
…この後俺は、イったばかりで普段にも増して敏感になってるチンポを弄くり回され、悲鳴を上げさせられた。
刺激が強過ぎて小便漏らしそうになった俺の懇願は、しかしボロボロと涙を零しながら訴えるほど悪化するまで、キイチに
聞き届けて貰えなかった。
…あれ?ご褒美だったはずなのに…、途中から拷問っぽくなってねぇ…?