第九話 「継続は力なり」
ちょっとばっかし物足んねぇ量の食事を良く味わって食い、俺は空になったトレイを片手に立ち上がった。
「悪ぃけど、先に戻ってんぞ?」
「んむぐ」
まだ飯の途中のキイチが、イカリングをムグムグしながら可愛く返事をした。
思わず笑みを浮べながら手を上げた俺は、一足先に食堂を出る。
別に寮の食堂はおかわり禁止になってるとかそういう訳じゃねぇ。…まだダイエット中なんだよ…。
我ながら今度のダイエットは長続きしてると思う。
最近は間食も控えてるし、寝る前は何も食わねぇようにしてる。
体重はなかなか落ちねぇが、努力の甲斐はいくらかあった。…らしい。触診してくれたキイチがそう言うんだからたぶんそ
うなんだろうけどよ、継続は力なり、だなぁ…。
部屋に戻ったらまずは柔軟して、軽く腹ごなし。それから筋トレ。
キイチはこの間にパソコンで資料や予定表を作ったりしてる。
俺と主将の為に、去年までの大会の上位入賞者のリストや、大会記録を見やすく纏めてくれてんだ。
…なんつぅか…、申し訳ねぇけど凄ぇ嬉しい。こう…、つくされてんなぁって感じがこうっ…!
…で、その後は一緒に風呂に行って、それから俺は家事。キイチは作業に戻る。
日によっちゃその時間帯に隣のウッチーとオシタリが顔見せる。
大概、ウッチーがオシタリの勉強を見てやってて、途中で衝突した流れで乗り込んで来るんだけどよ…。
これが今の俺達の普段の生活だ。宿題なんかがありゃまた少し変わるけどな。
こうやって見ると何とも味気ねぇ生活に見えるだろうが、休憩した時や、時には他に何かしながらも話をしてるから、退屈
もしねぇし毎日が楽しい。
でもって、キイチが疲れてねぇ時は、寝る前に夜のお楽しみもあるしな!
…ん?勉強してねぇって?…うん。まぁ、そう…だなぁ…。
いつもなら勉強に時間を割くキイチは、今はマネージャーの仕事を中心にやってる。
高体連直前までは、練習試合やスケジュールの調整で、しばらくは忙しいだろな。
まぁ、はっきり言ってキイチには自主勉強が特に必要ねぇ。
馬鹿みてぇに頭が良いから、授業で一回聞けば完全に理解できるらしいからな。
俺はその…、あれだ。今は部活と、鈍った体を鍛え直すのに集中してるし…、勉強はまた手が空いた時で…。高体連が終わ
るまでは柔道に集中してぇしなぁ…。
俺は阿武隈沙月。星陵ヶ丘高校一年、柔道部所属。茶色い被毛で、胸に月の輪がある熊だ。
「まだ上がらないの?」
「おう。もうちっと汗かいてくから、先に上がっててくれ」
「うん。無理はしないでね?」
汗まみれになった顔をタオルで拭い、俺はキイチに片手を上げた。
今日もいつも通り、空いてる時間帯を選んで入ってるから、浴室に他の寮生は居ねぇ。
風呂で汗かいて体を絞る。これも減量の一つだ。
長く浸かってから湯船を出て腕立て。また長く浸かってから湯船を出てスクワット。
体温上げたまんまでやれるから、もぉ面白ぇぐれぇ汗かく汗かく…。…ってか、こんだけ水太りしてるって事か…?
時間がありゃサウナの方が良いんだろうけど、一番近い銭湯は川向こうだし、何よりタダじゃねぇからなぁ。
…それに、銭湯だとキイチも周りの目が気になんだろうし…。
練習試合もだいぶこなしたけど、去年の中体連の頃と比べて、俺の体はいまいち絞り切れてねぇ。
半年以上の不摂生が、想像以上に祟ってんなぁ…。
こっちは地元じゃねぇから、どんな選手が居るか全然判らねぇ。同階級に出る連中のレベルも気になるし…。
…気になるって言やぁイワクニ主将だ。
最初に立ち会ったあの日、構えも形もえらく綺麗なのに、どういう訳か全然歯応えが無くて面食らった。
俺の見立てじゃ相当上手そうだったから、どうにも不思議だったんだよなぁ…。
しばらく一緒に稽古してて判ったんだが、主将は技のかけ方やかけられた時の対応、技のタイミングなんかについても隅々
まで研究してる。
基礎練やってる時の動きも、身ごなしも、受身だって綺麗。相当繰り返して、体の芯まで染み付いてる。
なのになんで試合じゃ全然勝てなかったのかって言うと、何のことはねぇ、基礎体力の不足だ。
こいつぁ、理事長から頼んで貰って、保健の先生に特別に計測して貰って判った事なんだけどよ、主将は先天的に筋組織が
少ねぇ体質らしい。
つまり、普通の選手と同じメニューで鍛えても、つく体力に差がでちまう。
主将はその事が原因で、自分は柔道に向いてねぇんだって、そう勘違いしちまってたみてぇなんだ。
そして、稽古をしても結果が出ねぇって事が、自分に自信が持てねぇ事にも繋がってる。
…まぁ、それでもずっと一人で頑張って、稽古を続けて来たんだ。ある意味鋼の精神だよなぁ…。
で、これについての打開策は見つかった。内容は単純、メニューの内容をキツ目にする事。
実際、俺がキダ先生とオジマ先輩に散々仕込まれた体力強化メニューをやってみたら、主将の動きは見る見る良くなった。
主将は反応も良いし、ビデオなんかで試合を見るのが好きらしいから、試合の運びや技への対応、攻め際引き際の判断が上
手い。俺が知ってる中でも屈指の勝負上手って言って良い。
他の連中より体力作りに割く時間が多く必要ってハンデはあるけど、階級別で同じような体格の相手とやりあうんだ、ある
程度筋力が確保できて、技術面がしっかりしてりゃあカバーできる。あとは実戦で自信をつけるだけだ!
…つってもこれ、俺が考えた訳じゃなくて、先輩に電話でアドバイス貰ったもんなんだけどな…。
最後の大会はもうじきだ。それまでには何とか仕上げ切って、万全の状態で臨んで貰いてぇなぁ…。
稽古相手が俺だけじゃ不安は残るけど、幸い助っ人も見つかった事だし…。
首を回してほぐし、鼻の下まで湯船に浸かり直す。
一人でただ浸かってんのも暇だから、ついでにあれこれ考えてみる。
…そうそう、こんな事があったっけ。一週間以上前だな…。
キイチが手にした小さなプラスチック容器を見つめながら、俺は目をまん丸にしながら訊いていた。
「何処で売ってんだ?そんなもん…」
「僕はネット通販で買ったの」
キイチの説明によれば、それはある事に使うローションらしい。
…何に使うのかと言えばだ…。
俺はゴクリと喉を鳴らし、キイチに再確認した。
「…本当に…、それで、ちゃんと剥けるようになんのか…?」
「っていう話だけど…」
キイチは親指くらいの大きさの容器を見つめる。
「これを使ったら、あまり苦労しないで、しかも自前で真性包茎が治せた。って、レビュー書き込んであったから…」
これを聞いた俺は、ネットというヤツの便利さを初めて実感した。
偉大だぜインターネット!…使い方は相変わらず良く判らねぇけど…。
「ちなみに、商品名はズルムケローション」
「…使ってみる…!」
勢い込んで頷いた俺に、キイチは取扱説明書を読み上げた。
「本製品は、なかなか剥けるようにならずに悩んでいる…。かといって病院にもあまり行きたくない…。そんな貴方に最適の
ローションです。人肌に温めた当ローションを塗り込みながら剥がしてゆけば、メスを入れずに貴方もズルムケに!」
「くぅっ…!なんて夢みてぇな商品なんだ!」
思わず拳を握り込む俺に、キイチは付け加えた。
「注・効果には個人差があります。なお、使用に際して皮膚にかぶれ等の症状があらわれた場合、直ちに使用を中止し、医師
に相談して下さい」
…後半がちょっと気になるな…。まぁ体につけるもんはみんなそうか…。
「剥き方の指南も書いてあるから、これならすぐに実践できそう」
「おし、早速やってみるか!」
キイチはプラスチック容器を湯につけて人肌程度に温めると、ベッドに座ってブリーフを脱いでる俺の所に持ってきた。
「それじゃあ、大人しくしててね?」
「おう」
…ん…?
「じ、自分でやるんじゃねぇのか?」
「え?お腹が邪魔になって見え辛くない?」
ぐさぁっ!
「…さ、さすがにそんな事はねぇよぉ…」
「そうなんだ?爪先見えないんだからてっきり見えないかと…」
「…気をつけの姿勢の時は…そうだけどよ…」
泣きたい気分になってる俺を前に、全く悪気無くド鋭ぇ言葉を吐いたキイチは、窺うように俺の股間のソレに視線を向けて、
屈み込んで顔を近付けた。
「僕が間近で見ながらやった方が良くないかな?ねぇ?」
「ドコに訊いてんだよキイチ…」
…いや、どうなんだろう?でも普通は一人でやるんじゃねぇのか?
さっき聞いた説明からは、悩んでるヤツがこっそり剥く為にあるような印象を受けたんだけどよ…。
「…ステップ1、まずは剥ける所まで剥いて、ローションを塗る、か…」
キイチは俺の返事も待たずに、注釈を読みながらローションを手の平に零す。
「あの、キイチ?やっぱ自分で…」
「じっとしててね?」
俺の言葉は無視され、キイチの手は俺の股間に滑り込む。
「んあっ!」
先っちょを剥かれる皮、次いでぬるっとした生暖かい感触が亀頭に触れる。
「ちょっとじっとしててね?剥ける所まで剥…」
「いっつ!ままま待って!もぉダメ!もぉそこらが限界!」
「え、もう?…先は長いかも…」
キイチはちょっと気になる事を言いながら剥くのをやめ、再び説明書きを眺めやった。
「えぇと、ステップ2、マッサージするようにまんべんなく塗り込む、と…」
「あっ!あっ!き、きっちゃん!ちょ、まっ、あぁんっ!」
指で亀頭をくりくりとマッサージされ、俺は堪らず声を上げた。
腰から力が抜け、快楽を求めるように股が勝手に開く。正直な自分の体が恨めしい!
な、なんかこう…、ヌルヌルが…、き、気持ち良い…かも…!
「ステップ3、入念にすりこんだ後、包皮を戻し、中にローションを注ぎ込む…。ステップ4、その後、馴染ませる為に良く
揉む。ふむふむ…」
キイチはマッサージを中断すると、皮を引っ張り亀頭を覆わせて、先っぽにローションを垂らし始めた。
何とも言えねぇ妙な感触に、俺は細かく体を震わせながら耐える。
…なんか…、無茶苦茶恥ずかしい…。
「注意、勃起してしまうなどして完全に皮が被らない場合でも、包皮と亀頭の間にローションを多めに垂らして下さい…。良
かった、この点は心配ないね?勃ってても先っぽまでスッポリだもん」
そこが良くねぇんだろっ!?とは思ったし、ちびっと傷付いたけど、今は黙っとく…。口を開くと喘ぎ声が漏れちまいそう
だったから…。
キイチはすでに皮を被せた上から亀頭を揉み始めてる。
亀頭と皮の間に入ったローションが、クチュクチュと、何かヤラシー音を立てた。
…やばい!これ、しごかれるのとはまた別の刺激が!
ただでさえ刺激に弱ぇ俺のチンポはもぉギンギン。このままじゃ、そのうち射精しちまいそうだ…!
「そろそろ良いかな?次行くね?」
行くってか、その前にイっちゃいそうだよぉきっちゃぁああああん!
…が、天国はそう長くは続かなかった…。
「最後のステップ5、包皮をめくり、根本に向かってゆっくりと引っ張ります」
キイチは広げた説明書を読みながら、俺のチンポを剥いた。そして…、
「あっ!きっちゃん!ちょっと痛い…!」
「え?う〜ん…、ちょっとならまだ大丈夫かな?」
いや、「大丈夫かな?」って…あ、ちょ、待っ…、
「い、痛っ!いたたたたた、いだぁああああああああああっ!」
「我慢ね、さっちゃん」
俺の悲鳴を無視し、キイチは容赦なく皮を根本側へ引っ張る。
「いだぁぁぁあああ!だめっ!やめて!裂ける裂ける裂ける裂けちゃうぅうううっ!」
「ちょっとの我慢でちゅよぉ〜」
キイチは何故か赤ちゃん言葉で優しく言いながら、しかしその手には全く優しくない力を込めて皮を引っ張る。
錯覚かも知んねぇけど、ミリミリっと、…皮が剥がれてく音が聞こえるような気がするっ…!
「痛い痛い痛い!ひぃいいいっ!だめぇ!きっちゃんやめてぇえっ!」
思わず股間に手を伸ばし、キイチの手を掴んだが、
「駄目だよさっちゃん、じっとしててってば」
ずぷっ!
「んあうっ!?」
ケツの穴にローションでヌルヌルになった指を突っ込まれ、俺はビクンと硬直した。
肛門から入り込んだ指の腹が、俺の抵抗を牽制するように俺の内側をゆっくりとなでた。それだけで体がガックガクになっ
ちまう…!
だ、だめだ!俺の弱点が全部モロバレのキイチに、この状態で抵抗するのは無理っ!
抵抗を試みるたびに、クックッと指先で尻の中を刺激されて、ビクってさせられるぅっ!
「いだっ!いだいいだいいだいぃぃいいいっ!ひぃっ!だめぇ!赦してぇええええ!いだぁぁぁああああああいっ!」
間断なく襲ってくる快感と痛み。…もっとも、痛みの方が強烈にでかい…!
恥も外聞も無く泣き叫ぶ俺を宥めながら、キイチは皮を根本に向かって引っ張り続けた。そして、
「あ!」
と声を上げ、動きを止めて手を放した。
「ひっ、ひぃぃん!ぐすっ!ひぃ、ひぃぃぃん…!」
痛みのあまり、俺のチンポはもうすっかり萎えてる。
ジンジン痛むチンポを両手で押さえ、情けなく泣き続ける俺の前で、キイチは説明書を凝視しながら固まってた。
「え、えぇと…」
キイチはギギギッと首を巡らせ、俺に笑顔を向けた。
その笑顔は…、なんかちょっと引き攣ってる…。
「…な…なにぃ…?」
まだ何かされんのかとビクビクしながら尋ねた俺に、キイチは説明書を読み上げた。
「ご、ごめん…。「強い痛みを感じるような引っ張り方はしないで下さい」…あと…「以上の手順を日々繰り返し行う事で、
徐々に剥けるようになります」…だって…。どうりでお試しセットだけで5本も入ってた訳だね…。一回でズルっといく訳じゃ
ないんだ…」
……………。
「ひ、ひどいよきっちゃん!う、うあっ…!うあぁぁぁぁぁあん!」
「ご、ごめん!本当にごめん!ごめんってば!」
「あぁぁぁぁああん!うあぁぁぁぁぁああん!」
子供のように泣きじゃくる俺に、キイチは必死になって謝り続けた。
…思い出したらチンポ痛くなってきた…。
俺は湯船の中で股間に手を伸ばし、殆ど無意識の内のチンポを押さえてた。
まぁ、ズルムケローション(今更だけどすげぇ名前だよな…)の効果は確かっぽい。
もう一週間以上使い続けて、毎日ちょびっとずつ剥いてるが、確かに剥ける範囲が大きくなってる。…ような気がする…。
この分なら俺のチンポも、いずれは全部剥けるようになるはずだ。
しっかし、キイチにはかっこ悪ぃとこ見せちまったなぁ。
…見られたのが他の誰かだったら、たぶん立ち直れねぇなアレ…。
あ〜、あれ…?なんか…頭がクラクラして来た…。
なんだか鼓動もかなり速くなってきてるな…。長距離走の後みてぇだ。
…ん?耳鳴りがする?
なんか目が霞んで…、薄暗く…、
……………。
「………君!…ツキ君!」
「んあ…?」
誰かに呼ばれてる事に気付き、俺は薄く目を開けた。
逆さまにぶら下がったキイチの顔が、俺の顔のすぐ前にあった。
…ん?違うな?俺、仰向けに寝てんのか。キイチがそれを覗き込んでんのか。…で、なんでだ?
目を動かして辺りを見れば、ここは浴室だった。俺はタイルの上に仰向けになってるらしい。
今気付いたが、ウッチーとオシタリも俺の顔を覗き込んでる。なんでか二人とも呆れ顔だ。
「大丈夫?僕が判る?」
キイチは心配そうに俺の顔を見つめていた。
「…あれ?お前ら何やってんだ?キイチ、先上がってなかったか?」
ウッチーが呆れ顔のままため息をついた。
「何やってんだ?じゃないよ…。自分がどうなったか判ってないのか?」
「…どうなったか?…つっ…!」
訳が判らねぇまま起き上がろうとしたら、ひでぇ頭痛がした。
「無理しないで、まだ横になっていた方が良いよ」
キイチが俺の肩をそっと押さえて、心配そうな顔で言う。
「サツキ君、お風呂に浸かったままのぼせちゃったんだよ…?ウツノミヤ君とオシタリ君が来た時には、湯船のへりにもたれ
かかってぐったりしてたって…」
へ!?…そ、そうだったのか…!?
視線を向けると、ウッチーが苦笑いした。
「感謝して欲しいな。引っ張り出すの大変だったんだぞ?」
オシタリが仏頂面で呟く。
「まったくだ。くそ重てぇ図体しやがって…。コーヒー奢れよ?」
「…うぅ…、面目ねぇ…」
俺は耳をぺたっと倒し、ただただ小さくなった…。
「あう〜…、気持ち悪ぃ〜…」
パンツ一丁で部屋の床に仰向けになり、呻き声を上げた俺の隣に、キイチがぺたんと座り込んだ。
「無理はしないでって、言ってるのに…」
「悪ぃ…」
冷やした濡れタオルを俺の額に乗せながら、キイチはため息をついた。
「ウツノミヤ君が慌てて呼びに来て…、君が大変だって言うから…、本当に心配したんだから…」
「済まねぇ…」
投げ出していた俺の手を、キイチの手がきゅっと掴んだ。
「もう…、これからは注意してよね…?さっちゃん…」
「…面目ねぇ…」
俺はキイチの手をそっと握り返す。
怒られるかとも思ったけど、キイチはただただ心配そうだった。
その事が、怒られるより堪えた…。
「きっちゃん…、心配かけて、ごめん…」
「…ん…」
頷いたキイチは、軽く微笑んだ。
「一生懸命なさっちゃんも好きだけど…、無理はし過ぎないでね…?…約束…」
「…うん…」
結局、指切りしただけで、キイチは特に叱りもせずに赦してくれた。
…なんか、ここ最近、良いトコねぇなぁ俺…。
「さてと、継続は力なり。そろそろ…」
立ち上がったキイチは、ドアのとこに行って鍵をかけて、一度寝室に向かう。
気持ち悪くて動く気がしねぇ俺は、寝転がったまま、部屋から戻って来たキイチに視線を向けた。
その手にはプラ容器…。
「今日のローションのお時間です」
「お手柔らかに…お願いします…」
もじもじしながら応じた俺を尻目に、キイチはプラ容器を暖めに台所に入る。
しばし待つと、帰って来たキイチは、尻を上げるように俺に告げた。
少し腰を浮かせると、キイチはまずパンツを引っ張り下ろす。んで、次いで素早く下にタオルを滑り込ませる。ローション
が垂れてもカーペットが汚れねぇようにだな。
タオルの位置を調節したキイチは、俺の脚の間にペタンと座って、太腿を掴んで左右に押す。
恥ずかしながらも素直に、それまでより大きく脚を広げた俺は、ちょっと顔を起こしてキイチを見た。
「じゃあ、始めるね?」
「お、おう…」
ヌメッとあったけぇローションが、亀頭に擦り込まれてく。
「うっ!」
なでっと、亀頭の先を撫でられた俺は、堪らずに声を漏らした。
直後、何故かキイチの動きが止まる。
「………」
しばしの無言の後、キイチは俺のチンポを手の平でグリグリナデナデした。
「あっ!ふ…!」
不覚にもそれだけで感じて声を上げると、キイチは左手で勃起した俺のチンポを抑え、ねっとりとローションでぬめった右
の手の平を、ピトッと亀頭の先にあてがった。
そしてキイチは、イイコイイコするように撫で始めた。
ナデナデナデナデナデナデナデナデ…。
「うっ…!?あ、あっ!あああああああっ!?」
チュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュク…。
「ひあぁっ!や、やめっ!きっちゃ…、あっ!あふぅっ!」
コシコシコシコシコシコシコシコシ…。
「ら、らららめぇえええっ!出ちゃう!出ちゃ…うぅううううっ!止めて!赦してぇえええっ!」
小刻みで素早い手の動き!チンポの先から連続して送り込まれる刺激で、下っ腹が苦しくなるっ!
俺の声を無視して作業に没頭しているキイチは…、…あ、あれ…?
はぁはぁと息を弾ませながら、首を起こした俺は、呼吸で上下して震動で揺れてる腹の向こう、俺の脚の間で屈み込んだキ
イチが、目を大きくしながら無表情でじっとソコを見つめ、一心不乱に手を動かしてる姿を目にした。
…なんかこえぇっ!何!?何でそんな夢中になってんのきっちゃん!?
何でかは判らねぇが、集中して執拗に亀頭責めをしてくるキイチ。
止めようとして身を起こした俺は、
「んぁうっ!?」
例によってケツの穴に指を突っ込まれて仰け反り、その拍子に後頭部を床にゴスッとやる。
ローションでぬめったキイチの手、その上向きに挿入された指の腹が、俺のキンタマ側にククっと折れ曲がる。
「…んあっふ…!」
縋りつくものを求めて、ほぼ無意識に両手を上に向かって伸ばしながら、俺はキイチに前後同時に責められて喘ぐ。
ローションでぬめった尻が、チンポが、キイチに弄られてクチュクチュ湿った音を立てる。
亀頭責めで下っ腹が苦しくなるほどの快感。尻を弄って貰って腹の中が熱くなる感覚。
凶悪なコンビネーションでひぃひぃ言わされた俺は、
「き、きっちゃ…!も、もぉ…!ごめ…!もぉ…!でちゃ…、ふんぐぅっ!」
体をビクンと逸らして、ブルルっと身震いした。
飛び出た精液が、亀頭の上を撫でていたキイチの手に当たって止まり、とろとろと垂れる。
ローションと混じって玉袋を伝い落ち、キイチの指が入ったままの尻の穴にまで垂れて行く。
脱力してはぁはぁ言ってる俺は、「…あ」と漏らしたキイチの指がチュプッと抜かれて、また小さく喘いだ。
キイチは腰を浮かせて、股座の間から身を乗り出す。
そして、荒い呼吸で上下する俺の腹に両手をついた。…キイチの手がムニッと、腹の肉に沈み込むのがなんか恥かしい…。
「ご、ごめん、さっちゃん…。ちょっと夢中になって弄り過ぎたかも…。続きするね?」
「え?ま、待って!まってきっちゃん…!今弄られるのは駄目!」
…イったばっかで敏感になってんだ…。この状態で弄られたら失禁するか失神する…!
「え?えっと…。じゃあ、落ち着くまでまっ…うわ!?」
俺は腹の上についているキイチの手を掴み、ぐいっと引っ張り上げた。
仰向けになってる俺の上に、キイチがうつ伏せに寝る格好。
「…じゃあ、それまで俺が…、気持ちよくしてあげる…」
キュッと抱き締めて、キイチの顔をポフッと胸に埋めた俺は、
「…ズボン…、ローションとそれ以外の液まみれになっちゃった…」
ボソっと胸元で囁かれて、自分の股間に乗ってるキイチの太腿がどんな具合になっちまってるか、今更気が付いた…。