第十五話 「ご褒美!?」

うっす!俺の名前は阿武隈沙月。東護中三年。胸周りの白い月輪が特徴の、熊の獣人だ!…ん?今回は機嫌が良いなって?

ふふん、まあな!

今日から三日間は文化祭だ。ウチのクラスの出し物、喫茶店は初日から大繁盛!キイチの頼みで作るのを手伝った喫茶店用

のテーブルや椅子、カウンターは評判が良く、乗り気じゃなかったとはいえ鼻が高い。

ちょっとしたアクシデントでキイチが指に打撲を負ったが、幸い大した事は無く、もうすっかり元通りだ。

まあ、最初はあんまり興味が無かったわけだが、こうやって皆に喜んで貰えるとまんざらでもねぇ気分だな。

それとキイチから聞いたんだが、俺が文化祭の準備を手伝うのを断ったら、シンジあたりを負傷させて、メンバー不足になっ

たのを見かねた俺が自分から手伝うように仕向ける…、というナギハラの回りくどくも危険な計画があったらしい。…無茶苦

茶だなあいつ…。まぁ今に始まったことじゃねぇが…。

そんな事になっていたとは知らなかったが、結果的にはシンジ達は怪我をしねぇで済んだし、俺もキイチの顔を潰さずに済

んだわけだ。喫茶店も上手く行ってるし、万々歳だな。

だが、ムードメーカーでありトラブルメーカーでもある高槻信二と石森拓也を擁するウチのクラス。そう穏便に事は進まな

かったんだな、これが…。



二日目の朝、念のためにカウンターやテーブル、椅子なんかをチェックしとこうと思って、俺は朝早くに登校した。

一応俺が作ったもんだからな、痛んでて怪我とかされちゃあ、俺を引き込んだキイチの面目を潰しちまう。

一番乗りでやって来たはずの、教室のドアを開けた瞬間、俺は、そこで行われていた作業を目にして唖然とし、固まった。

カウンターにひっついていたシンジとタクが、俺を見て硬直していた。その手には、木材に丸く穴を開けるための工具と、

なにやら機械が…、あれ?これって俺がエコジマにハメられて追試受けさせられた時に、映画同好会が使ってたのと似てるよ

うな…。

「…おい。小型カメラなんぞ、どうするつもりだ?」

尋ねると、シンジは引き攣った笑いを浮かべた。

「え?あ、いやぁ!来年の為に今年の様子を録画しとこうかと…」

「…来年俺達居ねぇだろうが…」

「あ?う?い、いやほら後輩達の為にだなぁ!うん!」

タクがヘラヘラと笑いながら応じる。が、その頬を汗が伝い落ちていった。

「うそつけ。カウンターに仕込んで盗撮するつもりだったんだろ?」

「む、むう!?ばれちゃ仕方ない!」

「いかにもその通りだっ!」

開き直ったのか、二人は胸を反らし、声高に認める。…次の瞬間、俺の二つのゲンコツが火を噴いた。

「キダ先生にゃ黙っといてやる。が、文化祭が終わるまでカメラは預かる。いいな!?」

『…あ〜い…』

二人は頭を抱えて蹲ったまま頷いた。…まったく、程ほどにしとけっての…。これ立派な犯罪だろうが…。

…だが、俺は甘かった。こいつらがカメラ没収程度で諦めるはずなんぞ無かったんだ…。



文化祭最終日。皆で開店準備に取り掛かっていた時。ウェイトレス役の女子達が、更衣室から戻ってきた。ずいぶん早いと

思ったら、なにやら様子がおかしい。

「見てよこれ!エプロンが全部…!」

一応、雰囲気作りとしてユニフォームは必要だろうという事になり、ウェイトレス役は制服の上に、家庭科で使うエプロン

を身に着け、それをユニフォームにして客に対応している。が、真っ白なエプロンは…、墨汁か何かでまだらに染め上げられ

ていた。

「昨日、コーヒー零したりした?」

ナギハラが訝しげに尋ねるが、皆は揃って首を横に振る。

「こんなになってたら、その場で気付くよ!」

「そうよ!そもそも、全員が全員コーヒー零したりなんてあると思う!?」

「それと、ウェイトレス役じゃない子のも全部こんな具合なの!一体誰の仕業!?」

……………。

「どうしたのサツキ君?きょろきょろして」

「ああ…、いや、なんでもねぇ。…と良いんだが…」

キイチに応じつつも、俺は犯人を確信しながら教室を見回していた。そして、ある顔ぶれがこの場に居ない事を確かめた。

…やっぱりか…。

「ああ〜!これはひどいなぁ〜!」

白々しい声と共にドアを開けて現れたのは、シンジとタクだった。その手には…。

「こんなアクシデントもあろうかと、僕達が代わりのユニフォームを用意しておいた!さぁ!着たまへ!」

…ああ…。あれがメイド服ってヤツなのか?初めて見た。

教室を、静寂が支配した。女子達の冷たい視線が二人に集中している。クラスの男どもも、もはやあいつらに味方するなん

て恐ろしいことはできねぇ雰囲気だ。

なんつぅか、…すげぇ…。もちろん良い意味じゃねぇけど…。普通ここまでやるか?

袖を引っ張られ、ふと横を見ると、キイチが何か訴えかけるような目で俺を見上げていた。その手が指し示す先では…。

ナギハラが床に屈み込み、俯いたまま上履きをきっちりと履き直してた。

…やべぇ!付き合いが長ぇから分かる。あいつ、間違いなく二人を蹴り殺すつもりだ!

「あ〜…。あのさ」

仕方なく口を開くと、皆が一斉に俺を見た。

「よそのクラスのエプロン、借りられねぇかな?お隣さんは確か学校の歴史展示だったろ?エプロン使わねぇだろうし」

皆が「あっ!」と声を上げた。…普通なら誰でも気付くんだろうが、あまりの出来事に動転してたんだろうな…。

「な!?し、しまった!その手が!?買ってまで墨汁を塗りたくった意味が!?」

「それよりも、せっかくドソキホーラからメイド服を調達して来たのにっ!空振りの出費がでかいっ!」

シンジとタクは声を上げる。そして「しまった!」というように口を押さえた。

「…キイチ。悪ぃけど、サカキバラに頼んでみてくれねぇか?俺が頼みに行ってエコジマの目に止まると、まためんどくせぇ

事になりそうだし」

「うん。分かった」

キイチは頷くと、ナギハラに何やら声をかけ、一緒に出て行く。

ナイスだキイチ!今は少しでも落ち着かせた方が良い。…でないと血の雨が降る。

…さてと、あとは…。

俺はシンジとタクを睨みつける。ビクリと身を硬くした後、二人は頭を掻きながら微妙な半笑いを浮かべた。

俺はゆっくりと歩み寄りながら、ぽきぽきと指を鳴らす。

「…お前ら。ちょっと保健室で寝ててくれるか?でねぇとナギハラがお前らを蹴り殺しかねねぇからよ…」

俺と、その後ろで怖ぇ顔をして睨んでいる女子達の顔を目にしながら、二人は恐怖の叫びを上げた。



文化祭最終日もなんとか無事(?)に終了。

まあ、俺は裏方だから、何か壊れた時に修理したり、足りねぇもんを追加で作るだけだ。いったん始まっちまえば、出番そ

のものは殆ど無くて楽なもんだった。

いつものようにキイチと一緒に下校していると、額に(俺が)コブを作ったシンジとタクが声をかけてきた。

「アブクマ。ちょっと良いか?」

「…何か用か?」

少々げんなりしながら応じると、

「いや、用って程じゃねぇけど…」

シンジは素早く周囲を見回し、誰も会話を聞いていないことを確認してから、小指を立てて見せた。

「今日はコレ、どうした?」

「どうしたって…」

俺は首を巡らせ、背中側に居たキイチに視線を向ける。その視線に気付いた二人が左右に一歩動き、キイチに気付いた。

「あ、悪い。見えなかった…」

「お前忍者かネコムラ?」

小柄なキイチは俺の図体にすっぽり隠れて、二人には見えなかったらしい。俺は思わず小さく吹き出し、キイチは少し怒っ

たように頬を膨らませ、俺の顔を見上げた。

この二人は、俺達が付き合ってる事を知ってる。

つい先日、キスの瞬間を目撃されちまってバレたんだが、二人とも気味悪がるどころか、俺達に理解を示してくれた。それ

からも以前と態度を変えねぇで接してくれるのが有り難い。

「で、何か用なんじゃねぇのか?」

「いや、暇だったら明日辺りちょっと付き合って貰えないかなと思ってさ」

「何にだ?」

「カラオケに。喫茶店大成功の打ち上げって名目でさ、女子誘って行こうと思ったんだけど…」

「俺達、な〜んか信用されてねぇみてぇなんだわ。で、明日お前から声かけて回ってくれねぇかなと思ってさ。な、良いだろ?

頼むよっ!」

文化祭の出し物にメイド喫茶とかノーパン喫茶とか意見を出し、あげく犯罪同然の裏工作でメイド服を着せようとするよう

な奴らを信用しろって方が無理あんだろ…。

「悪ぃけどパスだ。知っての通り女子には興味ねぇしな」

俺はそっけなくそう告げると、キイチを促して歩き出した。

そもそもカラオケなんて、キイチが音楽自体あんまし聴かねぇから、部活の後輩のジュンペーや、古馴染みのイイノと数回

しか行った事がねぇ。それに、ジュンペー曰く、どうにも俺のレパートリーは偏ってるらしい。カラオケ行ったって盛り上が

らねぇよ。

二人は少々しょげてるようだったが…、まぁ、いい薬だ。これに懲りたらあいつらのセクハラ行為も少しは減るだろう。

「けど…、何だって俺にあんな事頼むんだ?うちのクラスにゃ女子にもてそうな顔の良い奴が結構居るってのに…」

キイチは足を止め、俺の顔をまじまじと見つめた。

「どした?」

俺も足を止めて尋ねると、キイチは訝しげに首を捻る。なんだか不思議そうだ。

「本当に気付いてないの?」

「何にだよ?」

再び尋ねると、キイチは肩を竦める。よく分からねぇが、なんだか呆れてるようだ。

「サツキ君、女子に人気あるんだよ?」

予想外の言葉に、俺は目を丸くした。

「…は?冗談だろ?」

「いや、本当だよ?」

もちろん知らなかったし、初耳だ。

「頭も顔も悪くて、デブでモサモサ暑苦しくて、色々と妙な噂がある俺が?」

「ん〜…それらの六割は否定しないけど…」

グサァッ!…いや、自分で言っといてなんだけど否定してくれよ…。ってか否定できる四割ってどこら辺だろう?

「女子の間じゃスポーツ万能で、頼り甲斐があって、硬派で誠実で、他の男子みたいにエッチじゃないって、概ね好評みたい

だよ?」

「硬派とか、エッチじゃねぇとか言われても…、そりゃ単に俺が男の方が好きだからで、女子に興味がねぇからだぞ?」

「でも、女子にはそう見えてるって事。下級生にもファン多いんだよ?」

「普通なら喜ぶトコなんだろうが…。俺としちゃ正直微妙だな…」

「もったいないねぇ。でも、僕としてはちょっと鼻が高いかな」

「何でだよ?」

「だって、そんなに人気があるサツキ君が、女子には目もくれず、僕に告白してくれたわけだし」

微笑むキイチに何と答えれば良いか分からず、俺は鼻の頭を掻いた。

「ところでさ。今日はおじさん達、居る?」

「いや、お袋は来週帰ってくるみてぇだし、親父は仕事だろうから居ねぇはずだ」

「それじゃあ、今日もお邪魔して良い?」

キイチは上目遣いに俺を見つめた。

…ん?ここんとこずっと家に来て勉強見てくれてるってのに、何だって今日はわざわざ確認取るんだ?

「どうしたんだ?今日は改まって…」

「忘れちゃった?」

「あれ…?なんかあったっけ?」

俺が首を傾げると、キイチは苦笑を浮かべて手招きし、口元に手を当てた。俺が少し屈んで耳を貸すと、キイチは、

「協力してくれた、ご・ほ・う・び…!」

と囁いた。

「ご褒美!?」

ああ!そういえば文化祭の準備手伝ったらご褒美がどうとか言ってたっけ…。でも一体何だご褒美って?

家に着くまでに何度も聞いたが、キイチは笑ってはぐらかすだけで、結局教えてはくれなかった。



「色々、勉強してきたんだ」

いつものように俺の部屋に入り、向かい合って床に腰を降ろすと、キイチはそう言って意味ありげに微笑んだ。

「勉強って、何を?」

俺が尋ねると、キイチは少し恥ずかしそうに言った。

「そのぉ…、気持ち良い事…」

何を意味しているのかは、すぐに分かった。分かった瞬間に顔が熱くなった。

キイチは身を乗り出して俺ににじり寄ると、あぐらをかいた俺の両脚に手をつき、唇を重ねて来た。なんか今日はいつにも

増して積極的…!

キイチは長いキスの後、口を離して囁いた。

「ね、ベッドに上がって、服を脱いで…」

キイチの声はなんとも魅惑的…。抗い難い魔性の囁きだ。まぁ惚れてるからそう感じるんだろうなぁ…。俺は素直にベッド

に上がり、ティーシャツを脱ぐ。

ふと気がつくと、キイチは俺の胸元に視線を固定していた。そこには、親父譲りの白い三日月マークがある。

毎回の自己紹介では言って来たが、服を脱がねぇと見えねぇから、柔道部の仲間とクラスの男子連中以外には、あんまり見

せる機会ねぇんだわこれ。キイチも、たぶん間近でじっくり見るのが初めてでびっくりしたんだろうな。

俺の濃い茶色の体の中では、口周りと胸の三日月だけが白い。まるでペンキで塗ったみてぇにくっきりしてて、自分でも結

構見栄えが良いと思ってる。

「ね。ちょっと触ってみても良い?」

「おう」

キイチは俺の胸に触れ、白い月の輪を撫で回した。

「…綺麗だね…」

ぬははっ!面と向かって誉められたら照れちまうって…!

キイチはしばらく俺の胸を撫で回した。

…やべぇ。なんかすげぇ気持ち良い…。こうやってじっくりとキイチに体を撫で回されるのって、初めてだよな…。

やがて満足したのか、キイチは俺の胸から手を放す。もうちょっと撫でていて貰いたかったなぁ…、とか考えていると、俺

の顔を見上げて微笑んだ。

「それじゃあ、下も脱いでね」

「お、おう…」

だいぶ慣れてきたとはいえ、やっぱりちっとばかり恥ずかしかったりする…。

「仰向けに寝てくれる?」

大人しく従うと、すでに興奮した正直者の股間が、天井を指して激しく自己主張した。…いつもながら、そんなに飛ばして

るとあっというまに…。

キイチが俺のチンポをそっと握った。ビクリと体が震える。

かるくしごきながら、キイチは俺の胸に手を這わせた。

「あっ…!」

その指先が乳首をつまんだ瞬間、俺は思わず声を上げていた。初めての感覚!こんな場所を触れられて、こんなに感じると

は思わなかった。

その後、耳をあま噛みされたり、首筋にキスされたりしたが、どれも初体験する快感を伴い、俺はその都度声を上げていた。

「サツキ君…、こんなにかわいくなっちゃって…」

キイチは俺の耳を軽く噛み、耳元でそっと囁く…。繰り返し与えられる快感に、もう俺のアソコは…!

「ご、ごめっ!キイチ、もう限界っ!」

俺はそう言って跳ね起きると、ビンビンになったチンポからキイチの手を引き離した。

「ちょい休憩!タッチ交代!ね?」

や、やべぇ…!あやうくソッコーでイかされるトコだった…。凶悪な威力を伴う新技の数々…、恐るべしっ!

「今日はご褒美なんだから、僕にしてくれる必要は無いのに」

キイチはそう言って苦笑したが、俺はキイチのズボンに手をかけながら言う。

「一緒に気持ち良くなって貰った方が、俺も嬉しいし…」

言いながらズボンを下げ、トランクスも下ろしてあいつのチンポを引っ張り出す。

…キイチも興奮してたんだ。もうかなり元気になってる…。…それにしても、いつ見てもご立派…。比べると情けなくなる

やね…。

キイチをベッドに座らせ、俺は立派なチンポを軽くしごく。

「んっ…!」

俺は今してもらった事をしてやろうかと、上着を脱がせようとしてキイチのシャツのボタンに手をかけた。が、その手にキ

イチの手が素早く添えられる。

「だ、だめっ!服は、そのままで…!」

力はあまり篭ってなかった。というよりも、元々力が弱いキイチの手には、俺の腕を押しのける程の力はねぇ。だが、なん

となく必死さを感じる拒絶だったので、俺は大人しく手を引っ込める。

たぶん、まだ恥ずかしいんだろうな…。俺と違って部活なんかもやってねぇし、裸を見られることに抵抗があるんだろう。

亀頭を口に含んで嘗め回すと、キイチが小さく声を上げた。その表情がまた、たまらなく愛しい…。

俺とは対称的に、キイチは持久力がある。俺がかなり長く愛撫を続けた後、キイチは少し震えながら口を開いた。

「サツキ君…、僕、そろそろ…!」

よしきた!俺は舌で亀頭を入念に嘗め回し、キイチを刺激する。

「…あっ!だ、め…!出るっ!」

そう小さく喘ぐと同時にキイチのチンポから、咥えている俺の口の中に、暖かい液体が吐き出された。

最後の一滴が出尽くすまでチンポを吸い、それから飲み込む。苦いのは相変わらずだが、これにもだいぶ慣れた。

チンポから綺麗に精液を舐め取っている間、キイチは俺の頭を押さえて、時折小さく声を上げながら身を震わせていた。

やがて、作業を終えた俺が顔を上げると、キイチはトロンとした目つきで呟いた。

「今度は、僕が続きをするね…」

キイチは微笑むと、俺と唇を重ねた。今日のは良かったのかな?少し息が上がってる。

…可愛いなぁ…。見てると胸の中からぽわんとするこの笑顔…。俺、やっぱりこいつにベタ惚れしてんだよなぁ…。この感

覚を味わう度に、改めてそう実感する…。

位置を交代すると、キイチはさっきより少し落ち着いた俺のチンポに触れてきた。それだけでビクンと反応する股間…。敏

感過ぎるだろお前!

インターバルを置いたにも関わらず、軽くしごかれただけで、俺のチンポは再び元気に反り返った。

あれか?キイチのを弄ってる間、ずっと興奮しっ放しだったからクールダウンできてねぇのか!?やばいっ!このままじゃ

また…!

「き、キイチっ、俺…、ま、またっ…、出そうっ!」

「え?また?」

キイチはかなり驚いていた。…呆れてるだろうな…。

チンポから手を離すと、キイチは少し考え込むようにしてじっと俺の股間を見つめた。

「サツキ君。そのまま、また仰向けに寝てくれる?」

「こ…こう?」

俺がベッドの上に背を投げ出すと、キイチは俺の太ももに手を当て、左右に広げた。

こ、この体勢…、股間丸見えだよな…?キイチの顔が見えねぇ分敏感になってるのか、なんだか視線を感じてドキドキする…。

「ねえ、ベッドの上に足を上げて、膝を立ててくれる?」

「…うん…。…こんな感じ?」

「うん、そう」

キイチの返事と同時に、尻の辺りに微かな空気の流れを感じた。次の瞬間…。

「ぅひっ!」

俺は思わず変な声を上げていた。尻の穴を、湿った何かが撫で回して…、いや、これはもしかして、嘗め回してる!?

「き、キイチ!な、何やっ、…っあ!」

恥ずかしさと同時にやってきた奇妙な快感に、俺は思わず声を上げていた。

「…キイ、チ…!だめっ!そこっ、はっ…!」

腰がガクガクし、声が震え、勝手に喘ぎが混じる。

「平気だよ。それより、ちょっと力を抜いててね…」

次の瞬間「ぬぷっ」という音が微かに聞こえた。同時に圧迫感。…け、ケツの穴から何かが入ってくる!?これって、もし

かして…!?

「き、キイチっ!今、尻に…!」

「うん。指を入れてみたけど…」

「ゆ、ゆゆ、指っ!?指って何…、うっ!」

「気持ちよくなるはずだから…、少しだけ我慢してね?」

「気持ちよくって…、そ、それで…?っあ!?」

言葉が続かなかった。ケツの穴を擦りながら指が中に入って来る音が、体の中を伝わって聞こえ、初めての感覚に、高い声

が出てしまう。

「大丈夫?痛くない?」

「…う、うんっ…」

キイチの指が少しずつ、ケツの奥に入ってきた。ケツの穴には相変わらず異物感があるし、正直、少し苦しさも感じる。

「凄い…、締め付けてくる…。もう少し力を抜ける?」

「ん、うっ!やって、みる…」

とは言ったものの、ケツの中に異物を感じるせいか、勝手に力が入ってしまい、力を抜くまでしばらくかかった。…なんか、

えらく恥ずかしい…。

「平気?痛かったらすぐに言ってね?」

さらに奥へと指を入れながらキイチが尋ねる。勉強してきたとは言っていたが、キイチも初めてなんだろう。声がなんとな

く不安そうだった。

「へ、平気…、でもない、かも…、なんか、変な気分、に…。あっ!」

キイチの指が尻の中で動いた。快感が腹の中から脳天まで突き上げ、自然に声が洩れる。

「ご、ごめん!痛かった!?」

「い、痛くないよ。…き、もち…、良い…、かも…」

俺の腹の中を、キイチの細い指先がまさぐる。

「ここはどう?」

「あふっ!」

「こっちはどうかな…」

「ひうっ!」

「ここなんかどんな感じ?」

「んっく!」

キイチの指が動き、内側から腸内を刺激する度、快感が俺の身体を突き抜ける。勝手に声が洩れ、チンポがピクピクと反応

する。先っぽから汁が溢れ、腹の上に垂れた。

「サツキ君…、すごく可愛い…」

…やばい、もう本当にイキそう…!

「き…キイチぃ…!…お、俺…、もうっ、だ、ダメっ…で、でっ、出ちゃ…ふぐぅっ!」

必死に堪えたが、俺はもう臨界点に達していた。…もっ、もうだめぇっ!

キイチが俺のチンポを咥えた瞬間、俺はキイチの口の中に勢い良く射精していた。



「どうだった?」

「…ん…。ちょっと恥ずかしかったけど…、気持ちよかった…」

ちょっと照れて、視線を逸らしながらそう答えると、キイチは小さく吹き出した。

「…何?」

「だって、さっきのサツキ君、すごくかわいかったんだもん」

「…そ、そうだった?」

「うん。僕も初めてだったからちょっと心配だったけど、かわいい声を聞いてる内に夢中になっちゃった」

キイチはそう言って笑う。…なんだかすげぇ恥ずかしい…。考えてみれば、俺、キイチにケツの穴見せただけじゃなく、舐

められて、指も入れられてんだよな…。

「なんでも、慣れてくると、指が三本くらいまで入ったりするらしいよ」

「うぇ!?裂けちゃったりしない?」

「どうなんだろう…?まあ、慣れればの話だからね」

慣れればって、慣れるまでこれ続けるのかな…。…まぁ、き…気持ちよかったけど…。

それと、慣らしてどうすんだ?指の本数が増えるともっと気持ち良くなんのか?

「それにしても、サツキ君」

「何?」

「喋り方もだいぶ可愛くなっちゃってるよ?」

むう…?言われてみればそうかも…。

俺は照れ隠しに頭を掻き、キイチはそんな俺を見ながらクスクスと笑い続けていた。

…まあ、嬉しいご褒美だった…かな…。