インターミッション「レッツ・グルーミングアップ!」

僕、根枯村樹市。東護中三年生の、クリーム色がかった白い猫。

そんな僕は今、幼馴染みであり、恋人のサツキ君の家にお邪魔している。

目前に迫った中学校最後の大イベント、修学旅行について、色々話をしている最中。…だったんだけど…。

大きな熊は、あぐらをかいた上に座らせた僕を抱っこしたまま、肩に顎を乗せて、幸せそうな顔でスリスリしている。

持って行く物を確認して、見たい場所をあげたりして、話が一通り済んだら、もうこの調子…。

先日、僕が幼馴染の森野辺樹市だっていう事が、ついにサツキ君に知られてしまった。

僕の家の事情も、これまでにどうして来たのかも、全部話した。

それでも、彼は今までと変わらず…、ううん、むしろ今までよりも、こんな感じでベッタリして来るようになってる…。

幼馴染だっていう事が、解ったからなのかな?

サツキ君、くっついたときに、今まで以上に頬ずりしたり、キュってしたりするようになった。

こういう甘えてくるような仕草を見ると、体はそのままで、気持ちだけ甘えん坊のあの頃に戻っちゃってるような感じで、

なんだかちょっと可愛らしい。

「キイチ、毛ぇ…」

僕を後ろから抱きかかえていた大きな熊は、僕の後頭部の毛をつまみ、軽く引っ張った。

首を巡らせてみると、サツキ君の太い指に、白い毛が一房つままれている。

「やっと抜け替わりが始まったな?」

「みたい…」

僕ら獣人は、種族によって違うけれど、主に春と秋に、被毛が大量に抜け替わる。

もちろん、猫の獣人である僕も、その傾向は顕著だ。

さすがに本物の動物程じゃないけれど、この時期は服に毛がついたりして結構大変。

僕なんかは毛が白いから、学生服につくとすごく目立つしね…。

抜け替わりの時期や程度には個人差があって、二、三日で一気に抜けて、あっという間に替わっちゃう人も居れば、ちょっ

とずつ抜け替わって、済むまで数週間に及ぶ人もいる。

ちなみに、僕は比較的期間が長い方。そしてサツキ君は一気に抜け替わるタイプ。

サツキ君なんか元々モサモサだし、体表面積もあるから、時期になるとかなり大量に抜ける。

「ゴミ袋に集めたら、一日分でバスケのボールぐれぇになったぜ?」

と、何故かちょっと自慢げに言っていた。

もう派手な抜け毛がおさまってるサツキ君は、夏毛の時期と比べて、さらにふっくらしてる。

…冬毛になったせいだけじゃないような気もするけれど…。

「良いよねぇ、さっちゃんみたいにすぐに済むと…」

これから毎朝の毛繕いの手間を考え、ちょっとげんなりしながら呟いた僕に、

「ん?キイチも小せぇ頃は早かったじゃねぇか?」

と、サツキ君はキョトンとしながら言った。

「あれ?そうだった?」

「おう。俺やケントとそう変わんなかったはずだぜ?」

あまり覚えてないけれど…、確かに、小さい頃は抜け毛で苦労した記憶があまりない。

「何で早かったんだろう?僕、ずっとこうだと思ってた…」

首を捻った僕に、サツキ君は不思議そうな顔で尋ねて来た。

「お前、抜け替わり時期のグルーミングとか、どうしてんだ?」

「どうって、別に特別な事はしてない。いつも通りだよ?」

僕の返答を聞くと、サツキ君は「なるほどなぁ」と、納得したような顔になる。

「知ってるとばっか思ってたんだけどよ…。早く済ませるコツがあんだよ」

「コツ?」

「おう。覚えてねぇか?お前のお袋さん人間だったから、コツが良く解んねぇとかでさ、ウチのお袋がやってたんだけどよ」

言われてみれば…と、僕は記憶を手繰った。

確かに、抜け替わりの時期になると、けんちゃんやさっちゃんと一緒に、おばさんにガシガシ洗われてたかも…。

「ねぇ?それどうやるの?それをやれば、僕の毛もすぐに抜け替わりが済む?」

「ああ、たぶんな!」

「ほんと!?ねぇ、教えて!」

サツキ君の大きな手を、僕は両手で握ってせがんだ。

この鬱陶しい抜け毛が早く済むなら、こんなに有り難い事はない!修学旅行中も気楽になるし、苦手な早起きもしなくて済む!

「お、教えんのは良いけど…」

僕が握った手を見つめながら、何故かちょっとドギマギしてたサツキ君は、眉根を寄せて何事か考えた後、ポンと手を打った。

「そうだ。実践してみようぜ?俺、口で説明すんのあんまり得意じゃねぇし、ちょうどよくお袋居ねぇし」

「実践?って…」

戸惑いながら聞き返した僕に、サツキ君は耳を伏せて、ちょっと恥かしそうな、でも喜んでもいるような顔で、ニマ〜っと

笑いかけた。

「おう!風呂場でガッチリ実技指導だ!」



俺、阿武隈沙月。東護中三年の熊獣人だ。濃い茶色の体に、胸元の白い三日月がトレードマーク。

その三日月をさらして、素っ裸で風呂場に入った俺は、脱衣場を振り返った。

開けっ放しのドアの向こうで、幼馴染で、愛しの恋人でもあるキイチが、恥かしそうにモタモタと上着を脱いでる。

細っこい、綺麗な色をしたその胸や腹には、五つの傷痕…。

最初に見た時は驚いた。けど、キイチが全部話してくれた今、こいつの体に刻まれてる傷痕は、前程気にならなくなった。

気にならなくなったのは、傷への興味が失せたからってわけじゃねぇ。

俺、頭悪ぃから上手く説明できねぇんだけど、その傷痕があるのがキイチなんだって、認識が固まったっつぅか…。

そりゃあ、傷痕はいつか消えれば良いと思うし、そうなりゃキイチも喜ぶんじゃねぇかと思う。

けどキイチは、もう何年もずっと消えねぇその傷痕を、一生でも抱えて行く覚悟を決めてる。

傷を抱えて、目を逸らさねぇで生きてくってキイチの姿勢を、覚悟を、そのまんま受け入れられた。

だから気にならなくなった。そういう事なんだろ、きっと。

「どうしたの?じっくり見ちゃって…」

俺の視線に気付いたキイチが、モジっと身じろぎした。もう全部脱ぎ終わって、アソコを両手で隠してる。

前をしっかり隠しながら浴室に入って来たキイチを、俺はギュッと抱きしめた。

スリムで小せぇキイチと、無駄にでかくてデブな俺とじゃ、縦も幅もかなり差がある。

立ったまま抱きしめると、キイチの顔は俺の鳩尾の辺りに埋まる。

柔軟であったけぇ、最高の抱き心地…。

「ど、どうしたの?急に…」

ちっと戸惑ってるみてぇだったけど、キイチは肩から背中側に回った俺の腕に手を這わせて、俺の胸に頬ずりしてきた。

「ぬはは!何でもねぇ!」

細くて小せぇ、一見頼りねぇ見た目してんのに、気持ちが、考え方が、心が…、こいつは凄ぇしっかりしてる。

そんなキイチの全部が、好きで好きで仕方ねぇ。

…でも、口に出して言うのは、なかなかに照れ臭ぇんだよなぁ…。

「さてと!さっさと始めるか!」

キイチを放した俺は、浴室の角にある、シャンプーやら石鹸やらスポンジやらを納めたラックから、グルーミング用の金属

櫛を掴み上げた。

歯先が丸まったその櫛は、歯の間が狭くて、抜け毛を挟み取りやすくなってる。

「俺んちは全員熊だかんなぁ…。キイチにはちっとでけぇかもしれねぇけど、我慢してくれよな?」

「それは良いけど…。コツって、金櫛の事?だったら僕も使うけれど…」

「違う違う。こいつは下準備だよ。先に取れる分だけ取っちまうんだ」

戸惑ってるキイチを椅子に座らせて、俺はその真後ろに腰を降ろす。

「それぐらいは自分でやれるよサツキ君」

「良いって。俺にやらせろよ」

断ろうとしたキイチの頭に櫛を当てた俺は、背中側に向かってすいて行く。

櫛の歯に生クリームみてぇな色の毛が挟まって、面白ぇほどスカスカ抜けて来る。

キイチの毛は、俺ら熊と違って、ちょっと短めで細くて柔らけぇ。

俺の胸や腹側の毛より、キイチの背中側の毛のほうがよっぽど柔っこい。

なるほど…。キイチに頬ずりした時のあのポヤポヤした感触は、毛の質がこんなにも違うからかぁ…。

にしても、スースー抜けて来んなぁ…。…やべぇ、なんか楽しくなってきた!

「痛かったら遠慮しねぇで言えよな?丁寧にやるからよ!」

「ん、大丈夫。それにしても、上手だねサツキ君…。何だか気持ちいい…」

キイチは体を動かさねぇようにしながら、耳をプルプルっと震わせながら言った。

お世辞じゃなく、本当に気持ち良いらしい。

遠慮してたせいか、さっきまでちょっと緊張気味だったキイチの体からは、今はすっかり力が抜けてる。

俺が鼻歌交じりに背中をすいてる間に、キイチは妙な動きを始めた。

「あ!?お前いつの間に!?」

キイチはいつ手にしたのか、親父の櫛で胸や腹を自分ですいてた。

「ごめん、借りてた。こっち側は自分でやるよ。二人でやった方が早いでしょ?」

「…う、うん…。そう…だよな…」

実に合理的なキイチの回答に、俺は内心がっかりしながら、仕方なく頷いた。

…本当は…、前も、下も、全部俺がやりたかったのに…!



「うおぉ…!こんだけ抜けると爽快だなぁ!ぬははっ!」

浴室の床に散らばった、僕の体から抜け落ちた毛を眺め回して、サツキ君は気分良さそうに笑った。

「ご、ごめんね!?なんだか凄い有様にしちゃって…!」

…なんだかちょっと恥かしいよぉ…。

まさかこんなにも抜けるとは思ってもみなかった。

考えても見れば、櫛で体をすくのは、普通に体を洗うのとは訳が違う。

サツキ君がやってくれた背中側は、普段はちょっとおろそかにしていたかもしれない。

実際、サツキ君側、およびサツキ君の体に落ちた毛は、僕が自分でやった前側よりも随分多い。

…なお、尻尾だけは握られないよう死守した。

僕が太ももや足をすいている間に、肩や脇腹(かなりくすぐったい!)まですいてくれたサツキ君は、

「おっし!こんなトコか?」

と、満足気に息をついた。

「んじゃ一回流すぞ?」

サツキ君はシャワーを出して、自分の手で湯加減を確認してから、僕の体にかけ始めた。

サツキ君の丁寧なグルーミングで、すっかり気持ちよくなっている僕は、抵抗する気力も失せて、されるがままに大人しく

体を流される。

排水溝に溜まった、湿って纏った僕の毛を、サツキ君は時々摘み上げて、隅っこに退けていた。

毛を洗い流している途中で、体を優しく撫でてくれていたサツキ君の手の動きが、ちょっとずつ変わってきた。

「何してるの?」

「ん?あぁ、こいつがコツってヤツなんだ」

首を巡らせて問いかけた僕に、サツキ君は手を動かしながら応じた。

サツキ君の太い指が、僕の毛の中に割って入って、軽く皮膚を、肉を、摘むようにして、指圧するようにして揉んで行く。

「こうやって皮膚を刺激してやるとな?抜ける毛が、もう自分は抜ける頃なんだって、解るんだってよ」

サツキ君は指を丹念に動かしながら、そう説明してくれた。

まるで毛を人みたいに比喩しているのが、なんとも優しい感じがして実に彼らしい。

「元々は、俺達の体って温度差なり何なりの刺激を受けて、毛が生え替わる物なんだとよ。でもよ、昔と違って今は、暖房だ

冷房だって便利になって、過ごしやすくなってんだろ?」

「うん」

「そんで、体がそういうのに慣れちまって、はっきり刺激を受けられねぇから、毛の方でも抜けようかどうしようかって、迷っ

ちまうんだとさ。そういう迷ってる毛が、長々と時期をおいて抜けてくんだってよ」

確かに、僕は冷暖房に凄く頼ってる。そのせいで抜け替わりが長引いてるのかな?サツキ君の言葉を借りるなら、毛の方が

迷っちゃって…。

「有り難う。凄く勉強になった!」

「いや、こいつぁお袋の受け売りだからよ…」

感心しながらお礼を言ったら、サツキ君はボソボソッと、照れ臭そうに応じた。

それにしても、凄く気持ち良い…。

サツキ君は大変な力持ちなのに、僕の体をマッサージしていく太い指は、とても優しく、丁寧に動いてく…。

なんだか…、このまま眠っちゃいたいぐらいの心地良さ…。

すっかり忘れていたけれど、誰かと触れ合って、優しくして貰うって、こんなにも気持ちの良い、幸せな気分になれる事だっ

たんだ…。

僕が幼馴染だってバレちゃった時、もうどうしようもないくらいパニックになって、逃げ出しちゃったけれど…、全部打ち

明けて良かった、本当に…。

ごめんね?さっちゃん…。打ち明ける勇気が持てなくて…、いっぱい心配かけちゃって…。

嫌われるかもって、怖くって…、結局、君を心底信用できていなかったんだね、僕…。

「さぁて…。次は前な?」

「うん…。…うんっ!?」

不意に声をかけられて、考え事から現実に意識を戻された僕は、一度頷いてから、慌てて聞き返した。

のっそりと前に回り込んだサツキ君は。ニカッと笑う。

「全身、余すトコ無くやんねぇとな!」

「い、良いよ!前は自分でやるから!」

慌てて立ち上がろうとした僕の肩を、サツキ君は笑顔のまま、その大きな両手でガシっと掴んだ。

「…今度は逃がさねぇ…!」

「今度って何!?」

「いやこっちの話…。とにかく!大人しくしてろよなぁ!」

さすがにそれはちょっと恥かしい。だ、だだだって…!前もって事は…!

身を捩って逃げようとした僕を、サツキ君は「うりゃ!」と言いながら抱きかかえて、そのままゴロッと、一緒に床の上に

寝転んだ。

僕の上になって、両手と両膝で体重を逃がしながらも、軽く僕に重みをかけて逃がさないようにするサツキ君。

この辺りはさすが柔道家。僕がどんなにもがいても、もはやビクともしない!

「いつもとちょっと違う場所で、ちょっと違う事やるだけだって…。な?いいだろ?」

サツキ君は僕の顔を間近で覗きこみながら、ちょっと照れ臭そうに囁いた。

こんなにおっきいのに、その表情は何とも可愛らしい…。

僕の胴を押さえつけている、呼吸で上下する、柔らかな、むっちりしたお腹と胸から、サツキ君の息遣いと鼓動が伝わって

来る…。

…幸せ…だな、僕…。

「…ん…」

照れ笑いしながら顎を引いて頷くと、サツキ君は嬉しそうに微笑んで、僕の上から体をどかした。

「そのまま仰向けでいてくれよ。その方がやりやすいから」

大きな熊は、僕の上に覆いかぶさりながら、丁寧にマッサージを始めた。

喉から胸からお腹から、余すところ無く指で刺激されて、僕はあまりの心地良さに体を震わせる。

元々嘗め回すのが好きなサツキ君だけど、こうやって指の方で刺激するのも上手過ぎて…。

「き、キイチ…。可愛い…」

って、あ、あれ?サツキ君、なんかトロンとした目になって、息が弾んで…?

「あ!ちょ、ちょっとまってサツキく…あにゃっ!」

脱力し切っていた僕は、それに気付いてストップをかけようとしたけれど、遅かった…。

サツキ君は僕の股間に手を這わせて、おちんちんを軽く握った。

身じろぎした僕を見下ろし、サツキ君はふぅふぅと、荒い鼻息を漏らしながら、

「ご、ごめ…、俺…、が、我慢…できなく…なっちゃったぁ…!」

がばっと僕に覆いかぶさり、唇を重ねて来た。

「んむぅううううううっ!」

むにっとしたボリューム満点の体で圧迫されながら、僕は塞がれた口からくぐもった声を漏らす。

ぼ、僕が気持ち良くて身じろぎしたり、息を荒げたりしてたから?サツキ君、火がついちゃったみたい!

「きっちゃん…。いい…?」

口を離して、おずおずと問い掛けるサツキ君。

一応確認ではあるものの、我慢できなくなっているのは明らか…。

また、昔のように「きっちゃん」と呼んでくれたサツキ君の目を見つめ返しながら、僕は小さく頷いた。

僕が頷くが早いか、サツキ君は僕の鎖骨の辺りに舌を這わせて、軽く噛んできた。

サツキ君は、鼻の奥から「んん〜…!」と、甘えるような声を漏らしながら、僕の体に鼻先を擦りつける。

熱くて荒い鼻息が、被毛の中に吹き込まれてこそばゆい…。

甘噛みの刺激でゾクゾクして、僕の濡れた被毛が逆立つ。

サツキ君の口は、そのままゆっくりと下に降りて行った。

胸の被毛の中を舌でまさぐり、探り当てた乳首を甘噛みして、強く吸う。

「んぅっ…!」

堪らずに声を漏らした僕の脇の下から脇腹を、あばらのラインにそって、太い指が撫でて行く。

夢中になって、僕の体を貪るように舐め、吸い、甘噛みするサツキ君の顔が、堪らなく愛おしい…。

刺激と快楽に耐えながら、押し殺した声を漏らす僕の股間では、おちんちんが痛いほどに怒張している。

僕の鳩尾に舌を這わせて、傷痕を舐めてくれていたサツキ君は、そこからさらに顔を下ろそうとして、反り返ったその先端

に、顎をぶつけた。

少し顔を離して、ソレを見つめた後、サツキ君は懇願するような視線を僕に向ける。

耳を伏せて、上目遣いに見つめて来るその目が、「ちょうだい?」と言っていた。

もうこうなったら文句なんて出るはずも無いのに、好きにしてくれて良いのに、それでも律儀に確認して来るさっちゃんが、

可愛らしくて仕方ない…。

良いんだよ?僕に遠慮なんてしなくて…。僕は君に、自分の全部をあげても構わないんだから…。

心の中で呟きながら頷いて見せると、サツキ君は伏せていた耳をピクッと動かし、眼を細めて緩んだ笑みを浮かべた。

そして、何を思ったか体を起こすと、膝立ちでのそのそと、仰向けになっている僕の頭側に移動する。

「んぶっ!」

サツキ君は、僕の上にばふっと倒れ込んできた。

僕の顔は、サツキ君の大きなお腹に埋没する形になっていて、僕の股間は、身動きが取れない状態で、無防備にサツキ君の

眼前に晒されている。

…あ、あれ…?もしかして、また押さえ込まれた?

何故わざわざこうやって動きを封じて来たのか解らず、僕はムニッと柔らかいお腹に埋まった顔を横に向け、サツキ君に声

をかけようとした。

が、僕の口から出たのは、「何するつもり?」という問い掛けじゃなく…、

「はっ!?はにゃぁぁあああああああああっ!」

という叫び声だった…。

僕の上に覆い被さって、動きを封じたサツキ君は、おちんちんの皮を剥いて、しゃにむにむしゃぶりついて来た。

「あ!あふっ!ま、まっ…!さっ…、あにゃふっ!」

よっぽど我慢していたのか、サツキ君は亀頭をベロベロベロベロ舐め捲った後、ソレをカポッと咥えて…、

あ…?あれ?あれれ!?あっ!?な、なんかヤバい予感!?

ぢるるるっ!ぢゅるっ!ぢぅううううっ…!

「あふぁあああっ!?あっ!あひにゃぁぁぁああああっ!」

サツキ君はソコを、音すらたてて思いっきり吸い始めた…!

強烈な刺激に逃げたくなるけれど、大きな熊の下になっている僕は、もがくだけで精一杯!

手遅れだけど今になって解った。さっちゃん、抵抗にあう事を見越して、この為に押さえつけたんだ!

逃げる事もできない僕は、サツキ君のお腹にしがみつき、声を上げながら悶絶する。

快感が強すぎて、もはや拷問に近い…!

「あっ!あっ!あふぁ〜っ!」

急速に昇り詰めた僕は、一瞬たりとも堪える事ができないまま、サツキ君の口の中へ精を放った。

ソレを飲み込みながら、サツキ君はさらにぢぅぢぅとおちんちんを吸う。

荒い呼吸で波打っている柔らかなお腹に、腕がめり込む程にきつく抱き付きながら、僕は、さっちゃんの喉が鳴っている音

を聞いた。

そうやって、最後の一滴まで吸い取られるようにして、僕は二日ぶりの射精を終えた…。



口の周りを舐め回しながら、キイチの体の上から身を退ける。

イったばっかでぐったりしてるキイチは、恨みがましい目で俺を見た。

…あれ?もしかして、夢中んなって、やり過ぎた…?

「あ、ご、ごめ…!気持ち良く…なかった…?」

その逆さまの顔に、俺は耳を伏せながら謝った。

「ううん…。気持ち良かったけどさ…」

キイチはそう応じてから、ニヤッと笑った。

「次、僕の番ね?」

「え?」

身を起こしたキイチは、「え?じゃないよ」と頬を膨らませた。

「交代!今度は僕の番!」

反論する暇も与えねぇで、キイチは俺の股間に手を伸ばした。

長い毛に埋もれるような、俺の短小包茎チンポが、細くてしなやかな指につままれる。

「んっ!」

「あ〜あ〜…、すっかり硬くなって、こんなに湿ってる…」

声を漏らした俺のチンポの先、スッポリ被った皮の先っちょから、キイチはちょっとだけ指を入れた。

俺の体の中で最も敏感な部分の一つ、亀頭を、指先でクチュクチュされて、ビクッと体が仰け反る。

「あ…、あ…、あふ…!」

腰から力が抜けて、膝ががくがくになる…!

「ちゃんと、気持ち良くしてあげるからね?さっちゃん…」

 …あぁ…。また昔みてぇに、「さっちゃん」って呼んでくれんだな?

幼馴染の甘い囁き声に、もちろん俺は頷いた。

浴槽に背中を預けて、股を広げて座らせられた俺は、横にペタンと座ったキイチに、まずは唇を奪われた。

口の中を舌でまさぐられた俺は、頭の奥が痺れるような快感に、体をピクンと震わせる。

唇を重ねるキイチの手が、俺の胸に触れて、被毛に中に指先が潜り込む。

被毛に分け入って来た指先が、皮膚を押し、摘み、むにっ、むにっと、ちょっとずつ移動してく。

さっき俺がやってたみてぇに、キイチのしなやかな指は、俺のたるんだ体を刺激して…。き、気持ち良い…。

キイチが唇を離し、「どう?」と問い掛けて来た。

俺はもうすっかり参っちまってて、口を半開きにしながらちょっと頷くだけでいっぱいいっぱい…。

胸を撫でられ、腹をさすられながら、俺は体を傾けて、キイチの肩に頬を寄せた。

頬ずりする俺の顎の下に手を入れて、ゆっくりと優しくさすってくれたキイチは、

「可愛いね、さっちゃん…」

と、小さく笑いながら呟く。

俺は恥ずかしくて、ちょっと嬉しくて、耳を伏せて目を細くした。

きっちゃんは、こんな俺でも、可愛いって言ってくれるんだよな…。

最後に顎の下をすすっと撫でて、手を離したキイチは、その手を今度は下に持っていった。

来るか!?そう思って目を閉じて身を固くしたが、キイチの手は俺の下っ腹に触れる。

「どうかした?」

恐る恐る目を開けてみると、キイチは確信犯の笑みを浮かべて、首を捻った。

…うわ、フェイントかよ…!

段がついた腹の下に手の平を当てて、キイチは笑いながら、俺の出っ腹を軽く揺すった。

俺自身の不摂生が原因なんだけど…、たぷたぷと弾むみっともねぇ腹が、ちょっと恥ずかしい…。

「わ…。ここ、体を起こしたまま触ると、凄くやわらかぁい…」

キイチは俺の腹を、下から支えるように上に押し上げ、可笑しそうに微笑んだ。

「き、きっちゃん…、俺…、そ、そんな事されたら、恥ずかしぃよぉ…」

耳を完全に寝せながら口を開いたら、我ながら情けねぇ調子の声が漏れた…。

「可愛いね、さっちゃん…」

甘い囁きが耳を撫でて、しなやかな指が下に滑る…。

俺の勃っても小せぇチンポを、そっと掴んだキイチは、

「じゃ、さっきのお返しね?」

と、ぼそっと呟くやいなや、キスで俺の口を塞いだ。

キイチの舌が口の中に滑り込むと同時に、その指は、俺のチンポ…、余った皮の先からギュニっと入って来る。

そして、指が皮の中で動いて、亀頭の先っぽをグリグリ擦り始めた。

「んむっ!?んぶふっ!んぐうぅううううっ!?」

口を塞がれたまま、くぐもった声を上げる俺は、間近で見つめ合うキイチの目が、悪戯っぽい光を帯びてる事に気付いた。

き、きっちゃん…!?「お返し」ってまさか…、さっき押さえつけて一方的にしゃぶった事へのお返し!?

チンポが被った皮の中で、クチュクチュと湿った音を立てて、指が暴れる…!

口の中に入った舌が、俺の舌の付け根をグリグリする…!

「んうっ!うっ!んふぅっ!うぅううううっ!」

亀頭責めとディープキス。上下同時の責めで、許容を軽く越える刺激を与え続けられた俺の体は、もうガックガクで、言う

ことを聞かねぇ…!

涙目になって体を震わせながら、塞がれた口からくぐもった呻き声を漏らし続ける俺に、キイチの目が笑いかけた。

き、きっちゃぁん…!も、もぉ…、勘弁、してぇ…!俺、俺…!どうにかなっちゃうよぉ…!

心の声が届いたのか、きっちゃんの手が、動きを変えた。

指が先っぽから抜かれて、俺のチンポをしっかりと掴む。

そのままピストン運動に移った手に、クチュクチュ、クチュクチュとチンポがしごかれ、俺は体を震わせて快感に酔いしれた。

優しい感じの舌使いで、頬の内側が撫でられる。荒くなった息が、俺達の顔の間で絡み合う。

「んっ…、んふー…、んぅうっ…、んっ…!」

体の真ん中を駆け上って来る快楽が強まって、キイチと長ぇキスを交わしたまま、俺はその瞬間を迎えた。

ひくっと、一回痙攣した俺のチンポが、ピュクっと精液を吐き出した。

ピュッピュと、続けて飛んだ白い体液が、完全に出なくなるまで、キイチはずっとチンポをしごき続けた。

そして最後に、絞り出すようにキュウっと強く握って、俺に高い声を上げさせる…。

ようやく口を離したキイチは、自分の手にたっぷりとついた俺の精液を眺め、微苦笑した。

「もしかして…、かなり溜まってた?」

「ん…、んん…」

何だか楽しそうに笑ってるキイチに、俺は浴槽に背を預けて、ぐったりしながら頷いた。

考えてみりゃあ、キイチがきっちゃんだって気付いたあの日から…、俺、オナニーしてなかったんだよな…。

「シャワー、浴びなおしだね?」

「…うん…」

頷いた俺の鼻を、キイチはクスクスと笑いながらつついた。

「有り難う。気持ちよかった!」

「お、俺も…、気持ちよかったよぉ…」

見せてくれた笑顔がちょっと嬉しくて、ヘラ〜ッと笑った俺に、キイチは笑みを深くして頷く。

「来年の春にはさ、僕もやってあげるからね?」

笑みを返しながら、俺は大きく頷いた。

「う、うん…!また、やろうねぇ…!」

…来年の春…か…。来年の春も一緒に居られるように…、ちゃんと進学できるように…、気合入れて頑張んねぇとな…!

「あ。それとねぇ、きっちゃん?」

「うん?」

大事なことを思い出した俺は、シャワーを掴んで、湯加減を調節し始めたキイチの背中に話しかけた。

やべ、言い忘れるトコだったぜ…。たぶんこの事も覚えてねぇだろうしな…。

「明日の朝、早起きしてねぇ?」

「へ?どうして?」

キョトンとした顔で振り向くきっちゃん。…こういう表情もまた可愛いなぁ…。…じゃなくて!

「皮膚を刺激したでしょ?そのせいで、寝てる間に、毛が一気にモサぁ〜っと抜けるからぁ、明日の朝は結構大変だよぉ?」

「…そ、そうなんだ?」

「うん。でもぉ〜…、二日ぐらい続ければ、抜け替わりは終わるはずだから。きっちゃんも昔は、二、三日で終わってたし…」

「よく覚えてるねぇ?僕、全然覚えてないのに…」

きっちゃんは感心したような顔をしてた。

「有り難う。注意する」

ニコッと笑って頷いたきっちゃんは、シャワーを持って俺に歩み寄った。

「それにしても…、今日は、一段と可愛い喋り方になっちゃってるね?さっちゃん…!」

…あ、あれ?そう…!?