第三十九話 「しばしの別れ」

俺、阿武隈沙月。東護中三年の熊獣人で、全身を覆う濃い茶色の被毛に、胸元の白い三日月が特徴だ。

ってまぁ、特徴とかトレードマークとか毎回言ってる割にゃ、服着てると見えねぇんだよな、この月輪…。

実際に他人に見せる機会なんぞ、プールの授業と着替えの時ぐれぇだが、インパクトはあるらしく、俺の胸に月輪があるっ

て事は皆が知ってる。

そしてこの白三日月、見せる事も少ねぇが、両親も含め、誰かに触れさせる事はもっと少ねぇ。

今現在、この月輪に触れさせるのは、愛しのキイチただ一人だけだ。



「しばしの別れ、か」

俺の言葉に頷く代わりに、キイチは俺の胸にくっきり浮かぶ、真っ白い三日月に顔を埋めて、息を吹き込んだ。

こいつはどうもこの月がお気に入りらしい。愛撫する時、唇の次に手で触れるのは、大概ここか股間かのどっちかだ。

キイチは、仰向けに寝転がっている俺の上に、もたれかかるように腹ばいになって、胸に顔を埋めてる。

そんなキイチの背中に、俺は両腕を回して軽く抱き締めてる。

…こうやって一緒に寝られんのも、今日が最後なんだよな…。

キスを交わした俺達は、普段ならそのままお互いの体を愛撫しあう所なんだが…、今日は、こうしてただくっついてる。

キイチは三日月に頬ずりして、耳を当てる。その奥で動いている、俺の心臓の音を聞いてるんだろう。

息を殺して注意すれば、キイチの胸とピッタリと密着した俺の腹にも、こいつの鼓動が微かに感じられる。

一緒に居る。確かにここに居る。くっついてるっていう一体感…。

離れれば途端に心細くなんのは、心も体も同じだ…。ひっついてる時間が長けりゃ長ぇほど、それは深く、辛くなる…。

明日からの俺は、この部屋で、一人で眠るんだよな…。

…キイチだって同じか。あいつも自分の部屋で、一人で眠るようになる…。

キイチが一人で眠る部屋を思い浮かべていた俺は、ある事を思いついた。

「…親御さんのトコに越したら、ケントの部屋を貰うんだったか?」

「うん。そういう事になってる」

…確か、あいつの部屋は一階だったな…。

「寝る前にゃ、窓の鍵、開けといてくれよな?」

「なんで?」

不思議そうに顔を上げたキイチに、俺はニヤッと笑って見せる。

「ちょくちょく夜這いに行くから」

「…やだこのスケベ…」

キイチは眉間に皺を寄せて、また俺の胸に顔を埋めた。

そしてまた、俺達は押し黙る。

でも、居心地の悪い沈黙じゃねぇ。言葉を交わす必要もなく、お互いに、今一緒に居られる幸せを噛みしめてるんだ。

「キイチ」

「うん?」

「今の内に、親御さん達にいっぱい孝行しとけ。でもって、いっぱい甘えとけよ…」

「…うん…」

「俺達は、四月からも一緒に居られるんだからよ…」

「…うん…」

「…キイチ…。幸せになれるんだぜ?そんな顔すんな…。もうちっと嬉しそうな顔しろよ」

「…顔を伏せているのに、なんで僕の顔が分かるのさ…」

「お前なぁ…、人の胸を涙で湿らせといて、分かんねぇとでも思ってんのか?」

キイチはピクリと体を震わせて黙り込む。

「惚れた相手が自分と同じような顔してるって事ぐれぇ、見ねぇでも分かるよ…」

キイチは顔を上げ、俺を見つめた。…目の周りが涙で…グショグショになってた…。

「…いざとなったら、やっぱり寂しいね…。さっちゃん…」

寂しい…か…。我慢強ぇこいつが口にするんだ…、よっぽどだよ…。

そんだけ俺を好いてくれてるってのが解るから、こそばゆくて、切なくなる…。

「…言うなよ…。俺だって寂しい…」

「…ありがとう…。伝えきれないくらいに、ありがとうって思ってる…」

キイチは俺の胸に頬ずりして、名残を惜しむように白い月を指で撫でた。

「俺も、腹の底から感謝してる…。お前が居てくれたから、ケントの事でもくよくよしねぇで済むようになった。お前が居て

くれたから、高校を目指すつもりになれた。お前が居てくれたから、入試も越えられた。借りが多過ぎて、でか過ぎて、なん

て礼を言や良いのか分かんねぇよ…」

キイチは俺の胸にギュッと頬を押し付けた。

「僕だって、君が居てくれたから、今、こうして居られる…。新しい両親の事も、クマイ君と仲直りできた事も、高校に進学

できる事も、全部の事の根っこに君が居た…。サツキ君が、全部引き寄せてくれたんだ…」

俺はキイチの頭をぐしゃぐしゃっと、ちょっと乱暴に撫でて、微笑みながら言ってやった。

「お前が自分で引き寄せたんだよ。思い出してみろ。あの日、図書室で困ってた俺に声をかけてくれたのは誰だ?あれが、今

ここに居る俺達の始まりだったんだぜ?」

キイチはしばらく、無言のまま俺に頭を撫でられていたが、不意に首を起こし、悪戯っぽく笑った。

「その事も、やっぱり発端はサツキ君だよ。君が赤点を大量生産しなかったら、偽装追試事件も起こらなかった訳だしね?」

「たはぁ〜!厳しいなぁ…」

「赤点をとってくれた事にも。ありがとう!」

「あんまし虐めねぇでくれよぉ…」

痛ぇとこを突かれて苦笑いした俺に、キイチは目を細めて微笑んだ。



唇を重ね、舌を絡ませ、俺達はいつにも増してお互いを求めあった。

胸に舌を這わせるキイチの耳を甘噛みする。「あっ…」と小さく声を上げたキイチの体を抱き締め、頬からうなじに向かっ

て舌を這わせ、鎖骨を軽く噛む。

俺の愛撫に身を任せ、体を震わせてか細い声を上げるキイチが、愛おしくて堪んねぇ…。

快感に身を震わせながら、キイチは俺の股間に手を伸ばし、優しく握った。

背筋を駆け上る快感に酔いながら、俺は口を休める事無く、キイチの体を舐め続ける。

俺がそれに気付いたのは、薄い胸に鼻面を寄せ、傷痕を舐め上げようとしたその時だった。

「…どうしたの?」

俺が動きを止めたのに気付いたキイチは、快感に耐えるように瞑っていた目を開けて、手を止め、不思議そうに俺の顔を見

つめた。

「キイチ、悪ぃ。ちっと待ってくれ…」

俺はキイチの体を離し、ベッドを降りて部屋の灯りを付ける。

薄暗い部屋になれた目が、強い光に軽い痛みを訴えた。

キイチはベッドの上に正座を崩した格好でぺたんと座って、眩しそうに目を細めている。

うおぉ!か、可愛いなぁおいっ!…じゃなくて…!

キイチの前で屈み込み、俺は胸の傷を凝視した。…やっぱりだ!

「キイチ!お前、傷痕に毛が!」

キイチの傷痕に、うっすらとだが、僅かばかり毛が生え始めてる!

さっき傷痕を舐めようとした時に俺の鼻をくすぐった感触は、赤ん坊の産毛のようなそれだったんだ!

「うそ!?」

キイチは驚いた様子で自分の身体を見下ろした。

俺達獣人は毛に覆われてるせいで、産毛みてぇな微細な毛の感触が分かりづれぇ。俺は鼻先で触れたから気付けたんだな。

微かに薄黄色を帯びた細かい毛を認めると、キイチは怖々と指先で触れた。

「信じられない…。五年以上もの間、生えてこなかったのに…」

「なんだよ、喜べって!…まてよ?一ヵ所だけか?」

俺はキイチの体に顔を寄せ、全ての傷痕をチェックする。

その結果、なんと五ヵ所全部で毛が生え始めてるのが確認できた!

「もしかして、このまま、傷痕が消えたりするのかな?」

キイチは戸惑ってるようにそう言った。

その口調は、本当に恐る恐るっていった感じで、まるで、口にすりゃあ実現しなくなるとでも思ってるみてぇだった。

「消えるんだろうな。俺の傷みてぇによ」

俺達獣人は、人間と比べて生命力が強ぇ。深い傷でも殆どの場合は痕も残らずに消える。

五年経っても生々しく残ってるキイチの傷痕は、ある意味珍しいとも言えるんだ。

「でも、なんでそこだけ黄色に…?」

俺はキイチの体をまじまじと眺め回した。…そうだ、もしかして…?

改めてまじまじ裸を眺められて、恥ずかしそうに身を縮めたキイチの肩を掴んで、その胸に顔を近付ける。

そしてキイチの胸に指を当てて、白い被毛を左右に寝かせてみる。

指で押さえられて分け目がついた所をじっと見つめた俺は、思わず「おぉ…」と声を漏らしていた。

「今度は何?」

「やっぱり気付いてねぇんだな?」

俺は訝しげな表情のキイチの腕を取って、目の前に持ち上げる。

そして、白い腕の毛を寝かせて毛の生え際を見せてやった。

「…!?」

それを見たキイチは、驚きのあまり口をぽかんと開け、目を丸くした。

キイチの白い被毛の付け根、新しく伸びてくる所や、新しく生え替わってる所が、薄黄色になっている。

「どうして…?昔のより少し色が薄いけれど…、毛が黄色く…?」

そう、キイチの体は元に戻りつつあった。

こいつ自身も気付いてねぇって事は、この変化は最近始まったばかりなんだろう。

「理由はまぁ、何となく察しがつくな」

「え?どんな?」

キイチはキョトンとした顔で俺を見た。

「良く考えろよ。頭の良いお前のこった、俺なんかが説明しなくたって解んだろう?」

キイチは一瞬眉根を寄せた後、半分驚き、半分納得したような表情で頷いた。

キイチの体が小せぇままなのも、傷痕が消えねぇのも、心に負った傷が原因って事だった。

あの事件の後に毛の色が白くなったのも、心理的な衝撃が原因だと医者も言ってたらしい。

キイチは心の中で、ずっとあの事件の事を見つめてたんだ。

目を逸らす事も、忘れる事も、逃げる事もしねぇで、ただじっと見つめ続けてた。

本当に立派な事だと思う。…本当なら、何もかも忘れちまいてぇような体験だったんだからよ…。

きっとそのせいで、いつまでも体に出た変化が治まらなかったんだ。

キイチ自身が忘れる事を頑なに拒んでたってのもあるかもしれねぇが、自分の罪みてぇに思い込んで、抱え込んでたせいで、

心の傷はいつまで経っても塞がらなかったんだ。

でも、キイチはただ見つめる事を止めた。

自分の正体を明かし、過去を打ち明け、キイチは五年もの間じっと見つめ続けてたそれを乗り越えた…。

そして、キイチの身長は伸び始め、傷痕は消え始め、毛は元の色を取り戻し始めたんだ。

「赦されるのかな…。僕は…」

ポツリと呟いたキイチの頭を、俺は軽く小突いた。

「前にも言ったろ?誰が赦さなくたって、俺が赦してやる」

それからその頬を撫で、笑いかけてやった。

「お前は、な〜んも悪くねぇ!」

「…うん…。ありがとう…」

キイチは俯いてそう言うと、いきなり俺に抱き付いた。

「ありがとう…。ありがとう…!ありがとうさっちゃん!僕、僕っ…!幸せになっても良いんだよね!?この傷痕も、白い被

毛も、もうずっと抱えて行かなくて良いんだよね!?」

キイチの震える体を、ギュッと抱き締める。

俺がいつでも、誰よりも頼りにしてるキイチは、本当はこんなにも小さくて、か細くて、温かくて、柔らかくて…、乱暴に

抱き締めたら壊れちまいそうで…。

「当たり前だ。傷も消えて、毛も昔みてぇに黄色くなって…、昔のきっちゃんに戻るんだ…。新しい両親のとこで幸せになっ

て、背も伸ばして、…ずっと俺も…、俺も傍に居るからよ…!」

「うん…!うんっ!ありがとう!ありが…と…!さっちゃん…!本当に…!」

キイチはうれし涙でグショグショになった顔を上げた。

「なんだか、さっちゃんからは…素敵な物を貰ってばかりだね…」

「な〜に言ってやがる。そいつはお互い様だ…!」

そして俺達は、再び唇を重ねた。



「あひっ!」

仰向けに寝かせて、臍を舌でグリグリほじくるというキイチの新技に、俺は妙な声を上げた。

「あ、ごめん痛い?」

「い、いや…、痛く、ない…。なんかこう…変な感じに…」

しどろもどろに答えると、キイチは再び俺の腹に顔を寄せ、舌で臍の中を舐め回した。

「あぁっ!あっ!あっ!あっ!ちょ、まっ、きっちゃん!これヤバい!ヤバいよぅっ!」

慣れねぇ部位を刺激され、妙な感触が下っ腹の辺りへ突き抜ける。

突き抜ける上に、キイチの手が俺のチンポをしごいてる。

「んぁあっ!ら、らっ、らめぇえええええええっ!」

この新技はかなり凶悪で、勝手に漏れる声が押さえきれねぇ!

「さっちゃんの弱点、また一つ見〜つけた」

体を震わせ、小さく声を上げ続ける俺に、顔を上げたキイチが笑みを向けた。

…これは…、何か企んでる笑顔…!?

「もっと…、さっちゃんの可愛い声が…聞きたいなぁ…」

と、悪だくみしている笑顔で呟くキイチ。さっきまで嬉し泣きしてたくせにっ!

キイチは俺の体の横に座り、腰の辺りに覆い被さるように体を下げ…、

「あぅっ!」

ケツの穴にキイチの指が突っ込まれ、俺は堪らずに声を上げる。

右手の指がケツを弄り始めると同時に、左手の指が唾液に濡れた臍に突っ込まれ、グリグリを始めた。

や、ヤバイっ!その穴はどっちも敏感な…!

「それじゃあ、頂きます」

「…っ!!!!!」

キイチは自由になった口で、俺のチンポにしゃぶりついた。

ちょ、ちょっと待って!洒落になってねぇ!

声も出せねぇ有様で、俺は三ヵ所同時攻撃の快感に身を悶えさせる。

「まっ、きっちゃ…!んうあっ!」

急速に登り詰めながらも、キイチに待ったをかける余裕もねぇ!もう、い、イっちゃうぅぅううっ!

咄嗟だった。俺はキイチの股間に手を伸ばし、そのチンポを少し強く握る事で動きを鈍らせる事に成功した。「あっ」と声

を上げ、チンポから口を離したキイチに、俺は息も絶え絶えに訴えた。

「き、きっちゃ…んっ…、ダメ…、それ以上は…、もぉ、…い、イっちゃう…!」

「そう?思いつきでやってみたけど、これ、結構キくんだね…」

キイチはそう呟くと、さっきよりも少し緩やかに、両手の指を動かしてくれた。

腹の中と外から刺激を受け、一瞬前にはあわや発射する所までいきかけた俺のチンポは、キイチの唾液でテカりながらピク

ン、ピクンと反応する。

「あはは、可愛いなぁ」

キイチは舌先で俺のチンポの先端をさぐり、被った皮の間から入ってくる。

続けざまに送られてくる快感に頭の芯を痺れさせたまま、俺もキイチのチンポを優しくしごいた。

…まぁ、同時進行でも俺はキイチの相手になんねぇ。情けねぇけど、先に果てるのはいつも俺だ…。

皮の中に侵入してきたキイチの舌先が、俺の亀頭をなぶる。

俺は右手でキイチのチンポをしごき、左手を俯けた頭の後ろに乗せ、首から耳の後ろにかけて指先で揉んだ。まぁ、マッサ

ージする感じだ。

ケツに入れられる指が二本になり、腹の中でバタ足される頃になると、余裕のねぇ俺は、必死になってキイチのチンポをし

ごいていた。そりゃもうかなり必死に!

が、その努力もそう長くは続かねぇ。

快感に耐えかねた俺の手は、徐々に動きが鈍くなって、やがて止まる。

キイチは臨界点が近い事を察して、俺のチンポを根本までしっかりと咥え込んで、ヂュウッと強く吸った。

「!!!!!」

ビクッと体を震わせて、俺はキイチの口の中に精液を漏らす。

新必殺技、三点責めの前に、声も無くイった俺の精液を、キイチは口ごくっと飲み下す。

「ひぃ…!ふぅ…!」

荒い息をつきながら脱力する俺。

対称的にまだビンビンのチンポを、キイチが舌で綺麗にしてくれた。その刺激でまた体が痙攣する。

「そんなに良かった?」

ぐったりしている俺の胸の上に身を預け、キイチは可笑しそうに笑いながら俺の鼻をグリッと押した。

「…きょ、凶悪ぅ…。最短記録…更新するかと…思った…」

俺はなんとかそう応じた後、キイチを抱えたまま寝返りし、キイチが仰向けに、俺が上に被さるような体勢…、つまり俺が

責めやすい体勢に持っていった。

…今度はこっちの番な!

快感から冷めやらず、頭の芯が痺れたような状態のまま、俺はキイチの唇を奪い、リベンジとして臍に指を…、うっ?

「さっちゃん…。指、太過ぎだよ…」

極太フランクフルトみてぇな俺の指は、キイチの小さくて可愛い臍には、どう見ても入りそうにねぇ…。

…いや、これだ!これなら問題ねぇ!少し考えた後、俺はキイチの臍に舌を入れた。

「あっ!?」

やっぱり慣れねぇ感触なんだろう。キイチは可愛い声を上げた。

…あぁ、キイチの味がする…。俺は臍の中を舌先で舐めながら、その味を噛みしめた。

「にゃはははははははっ!ちょっ!だ、だめっ!さっちゃん!だ、だめっ!んにひひひひぃっ!」

あ、あれ?きいてる事はきいてるけど…、これってどっか違うくねぇか!?

いきなり暴れ出したから舌を離すと、キイチはひぃひぃ言って笑い転げながら、涙目で俺を見上げた。

「く、くすぐったいぃっ!さっちゃん、こんなの良く平気だったね?」

…いや、違う意味で平気じゃなかったって…。

どうやら臍は、キイチにとっちゃ快感ポイントじゃなく、くすぐったいポイントでしかねぇらしい。

…ってか…、もしかして俺が普通と違うのか…?無茶苦茶感じたぞ!?

気を取り直してキイチを寝かせ、右手でチンポをしごきたてながら、俺は空いている左手で乳首を摘む。

 …結局いつもどおりだなこれ…。

キイチは可愛い喘ぎ声を上げながら、快感に堪え、嫌々をするように首を左右に振る。

…かわいい…、きっちゃん…。

「さ、さっちゃん…!僕、そろそろ…!」

休まず愛撫する事十数分、耐久性の高ぇキイチは、俺の倍以上も粘った後にそう訴えた。

よしきた!俺は立派な逸物から手を離し、口に含む。

腹に向かって強く反り返る特大のチンポを咥え、テロテロに濡れてる亀頭を存分にしゃぶって愛撫する。

「あ、あぁっ!ご、ごめん、もうっ!い、イくぅっ!」

律儀に断りを入れてから、キイチは俺の口の中に大量に精液をぶちまけた。

俺は音を立ててそれを飲み下して、脈打つチンポを強く吸い、最後の一滴まで出させて、入念に、綺麗に、名残惜しむよう

に舌で舐め取る。

くすぐったがったキイチの抵抗はもちろん受けるが、そこは力ずくで押さえ込む。

「ありがとう、さっちゃん…」

チンポを舐めて綺麗にしている俺の頭に、キイチは労うようにそっと手を置いた。

お礼とか言われると…、なんつぅかこうムズムズすんなぁ!

胸の奥が温かくなって、嬉しくて、俺の短い丸尻尾がせわしなく、勝手に左右に動く。

俺のとは対照的なキイチの長ぇ尻尾は、脱力し切って投げ出した脚の間で、優雅にくねってた。

思わず触ってみたくなる魅力的な尻尾なんだが…、こいつは尻尾に触られるのを極端に嫌がる。

前に一度、ふざけて不意打ちで握ってみたら、全身の毛を逆立てて「キシャーッ!」って声を出した。

…なんでそこまで嫌がるのかは未だに分かんねぇけど…。

俺はキイチの横に体を横たえ、腕枕してやりながらキスをした。

「サツキ君の腕枕とも、今夜からしばらくはお別れだね…」

「…うん…。でも、またすぐ、一緒になるから…」

「…そうだね、ほんのしばらくの我慢、だね」

キイチは優しく微笑み、俺の腕に頬を擦りつけ、目を閉じた。

…この寝顔も見納めか…。

その夜、俺は眠りに落ちるまでずっと、キイチの寝顔をいつまでも、いつまでも、飽きることなく眺め続けた。

この数ヶ月の、夢みてぇに幸せだった毎日を振り返りながら…。