第十八話 「先輩への告白」(後編)

学校を飛び出し、目的もなく走り回ったオレは、あまり来た事のない公園に辿り着いた。

「…最低だ…、オレ…」

茶色いペンキの塗られた木のベンチに腰を下ろし、自分の手を見つめて呟く…。

少し落ち着いてきて、改めて考えてみた…。

結果だけ見れば、告白してふられたあげく、慰めようとしてくれた先輩に逆ギレして飛び出してきた形になってる訳で…。

「…はは…、ほんとに最低だ…」

自嘲が込み上げ、オレは繰り返し呟いた。

先輩、呆れてるだろうな…。いや、怒ってるだろうな…。オレ、自分でも信じられないけど、先輩に食って掛かったんだよね…。

…もう、先輩と顔を合わせられないな…。

ベンチに腰掛けたまま、何をするつもりにもなれないまま、オレはぼーっと足下を見つめ続けた。

どれぐらいそうしていただろうか。辺りが薄暗くなった頃、土を踏みしめる音が間近で聞こえ、オレは顔を上げた。

東護の蒼い制服。えらく小柄だけれど、その襟元には三年生である事を示す襟章。

最近いつもサツキ先輩と一緒に居る白猫の先輩が、制服のポケットに手を突っ込んで、五歩程度しか離れていない位置から

オレを見つめていた。

「やあ。隣、良いかな?」

「…他にも座る所、有るじゃないですか…」

そっけなく言ったオレに、白猫先輩は怒るでもなく微笑んだ。

「悪いけど、そこが良いんだ。いつもそのベンチに座ってるから」

そして先輩は、オレの返事を待たずに隣に腰を下ろした。

「…サツキ先輩に、オレを探すように頼まれたんですか?」

「ううん。たまたまここに来ただけ。そうしたら君がボクの席に座ってた」

「…ここ、先輩の席、なんですか?」

「まぁ、お気に入りの場所ではあるね」

オレの口から零れる刺々しい言葉にも、先輩はまったく動じず、飄々と受け答えする。

「…先輩は、サツキ先輩と親しいですよね?」

「うん…。まぁ、親しいかな」

「でも、つるむようになったのって、結構最近ですよね?」

「うん。言葉を交わすようになったのも、夏休みの直前くらいからだし」

オレ、何を言ってるんだろう?貴方なんかよりも、オレの方が先輩との付き合いが長いんだ。そう、強調しようとしてるの

かな…。今更ながら、自分の女々しさに嫌気がさす…。

「サツキ君と、喧嘩でもしたの?」

「…喧嘩程度だったら良いんですけどね…」

オレは自嘲しながら、この先輩をびびらせてやろうと思った。落ち着いた態度が、なんだか気に食わなかった。

「…オレ、ホモなんですよ。ずっと、サツキ先輩の事が好きだった…」

「え?」

白猫先輩は少し驚いたように目を丸くした。が、それだけだった。

「先輩に告白したんです。そしたら、先輩、自分は同性愛にも理解あるみたいな事言ってたのに…、なのに…、結局、理解な

んてしてくれなかったんだ…」

オレは白猫先輩を睨んだ。

「先輩だって、オレの事、気持ち悪いと思うでしょう?」

ほとんど初対面のこの先輩に、何でこんな風にからんでるんだろう?

…分かってる。オレはやけになって、この先輩に八つ当たりしてるんだ…。つくづく最低だ…、オレって…。

驚いたようにオレの顔を見つめていた白猫先輩は、可笑しそうに笑った。

「何が可笑しいんですか?」

睨み付けるオレの視線にも動じる事無く、白猫先輩は笑みを浮かべたまま言った。

「だって、サツキ君と同じような事を言うんだもん」

「…は?」

「そっか、サツキ君に告白したんだ…。なるほどなぁ…、どうりで何があったのか聞いても答えてくれない訳だ…」

白猫先輩は納得したように呟き、一人うんうんと頷く。

先輩がオレと同じ事を言った?一体どういう事だろう?

「どういう事ですか?その…、サツキ先輩が、オレと同じ事を言ったって?」

オレの問いかけに、白猫先輩は一瞬困ったような顔をした後、

「勝手な真似してって怒られそうだけど…、まぁ僕から話しても良いか…」

と、苦笑を浮かべた。

「サツキ君もね、君と同じだよ。だから、理解してないなんていうのは、君の思い込み」

…え?

「今学期が始まってすぐ、二ヶ月くらい前になるかな…。サツキ君もね、自分の事、気持ち悪くないのか?って、僕に聞いたんだ」

え、えぇ!?

「さ、サツキ先輩が?オレと同じ!?」

「うん。彼もその事でずっと悩んでたらしいよ」

「じゃあ何で…?何で先輩は…?」

俺の告白を、受け入れてくれなかったんだろう?そこまで考えて、オレは胸が苦しくなった。

「…単に、オレが好みじゃなかったって、そういう事か…?」

「いや、原因はたぶん君にはないよ」

「原因は…オレには無い?」

交際を断られたのは、別に理由がある?どういう事だろう?混乱するオレに、白猫先輩は一瞬口ごもった後、ポツリと言った。

「…夏休み明けから、付き合ってるんだ…、僕達…」

頭の中が、真っ白になった。

あまりにも色々なことを一度に聞かされ、オレの頭は混乱の極みにあった。

サツキ先輩も、オレと同じく男が好きだった?

そして、目の前のこの先輩が…、サツキ先輩と付き合ってる?

オレと付き合えないのは、もう付き合ってる人がいたから?

そしてオレは思い出す。中体連の全国大会のあの日、先輩が漏らした言葉を。

片想い。告白するつもりはない。相手に迷惑になる。…全ては、オレと同じ悩みから出た言葉だったんだ…。

あの言葉の意味が、やっと解った。解ったと同時に、何も知らずに先輩を励ました自分が滑稽になる。

あの励ましで先輩が告白するつもりになったとは限らない。でも、少なくともあの時に告白していれば、先輩の隣に居たの

はこの人じゃなく…、

「…なんで…、なんで貴方なんですか…!?」

オレは頭を抱えて背を丸めた。

「ずっと…!ずっと…!一年半以上も思い焦がれて来たのに!なんでオレじゃなく貴方なんですか!?」

…最悪だ。こんなのただの言いがかりじゃないか…。判ってるのに、胸の内から溢れ出る言葉は、勝手に口から吐き出される。

「あんなに優しくしてくれてたのにっ!可愛がってくれてたのにっ!なんで先輩は、ずっと見ていたオレじゃなく…、知り合っ

たばっかりの貴方なんかを選んだんですか!?」

胸の中のモヤモヤした物を吐き出し、何の責任もないこの先輩に叩き付ける。…オレ、こんなに汚いヤツだったのか…。

「…サツキ君が何故僕を好きになってくれたのかは分からない。そして、君の告白を受けても僕を選んでくれた理由も分からない」

白猫先輩は落ち着いた声でそう言った。

「誰かを好きになる、そして、誰かに好きになって貰うって、難しいね…。方程式を解く方がよほど簡単だ」

オレと同じような事考えるんだな、この先輩…。

思わず顔を上げた俺を、白猫先輩が見つめていた。怒っている様子は無く、ただただ静かに、オレの目を見つめていた。

静かで落ち着いた口調で話しかけられたせいか、冷静さが戻ってきた。すると、自分が口走った内容に気付き、急に恥ずか

しくなる。

「…あ、あの…」

「少しはすっきりした?」

思わず素直に頷いたオレに、先輩は優しく微笑んだ。



「君の事は、いつもサツキ君から聞いてたよ」

すっかり落ち着いたオレに、先輩はそう話しかけてきた。

先輩は根枯村樹市(ねこむらきいち)と名乗った。サツキ先輩とは三年生になってからのクラスメートだという。

「サツキ君はね、君の事を話すとき、いつも誇らしげで、嬉しそうでさ…、正直ちょっと妬けてた。あんまり嬉しそうに話す

ものだから、僕が臍を曲げた事も二、三回あるんだよ?」

ネコムラ先輩はそう言って苦笑した。

「でもほら、僕達の関係がそういうものだし、君も同類だなんて思ってもみなかったから、サツキ君は僕の事を君にどう紹介

しようか悩んでいたみたいなんだよね…」

ネコムラ先輩は、オレがあんな言葉を言い立てたにもかかわらず、怒った様子も、動揺した素振りも全く無い。

小柄で華奢な、一見頼りなさそうな外見とは裏腹に、とにかく大人だった。凄く冷静で、懐が深くて、落ち着いていて、たっ

た一歳上とは思えないほどにしっかりしている…。

「オレ…、先輩に酷い事言っちゃいましたね…。済みません…」

「気にしないで良いよ。確かに君の立場から見れば、横からしゃしゃり出てきた他人に先を越された感じだろうしね」

「そ、そんな事は…!…う〜ん…、済みません…」

散々ネコムラ先輩に八つ当たりしたオレは、とにかく謝るしかない…。

ネコムラ先輩は物事をズバズバ言うけれど、それが嫌味に聞こえない。上手く説明できないけれど、オレがそう取らないこ

とを理解した上で、本当にそう思っている事を話しているような感じだ。なんというか、凄く人生経験が豊富な大人と話して

でもいるように感じる。

あんな酷いことを言い連ねたのに、何もなかったようにオレの事を許してくれた。

…ん?酷い…こと…?…あ…!

「オレ…、サツキ先輩にも酷いこと言っちゃった…。怒ってるだろうな…」

最後の方は殆ど喧嘩腰で、叩き付けるように言葉を吐き出して飛び出して来ちゃったんだった…。あの大好きな先輩に…。

ネコムラ先輩は笑いながら気楽な調子で言った。

「まぁ、確かに凄い形相で学校を飛び出してったけど…」

「そ、そんなに怒ってました?」

「それは、本人に聞いてみたら?」

先輩は悪戯っぽく笑うと、顔を前に向けた。

つられて前を向くと、公園の入り口に、大柄な熊獣人が立っていた。

「せ…、せんぱ…い…」

サツキ先輩は眉を吊り上げ、ふぅふぅと荒い息を吐きながら、オレ達の方を見つめていた。そしてノシノシと公園を横切り、

オレ達の前で足を止める。

「…おい、何のつもりだ?」

恐ろしく低い先輩の声は、怒鳴られるよりもずっと迫力があって、怖かった。

「せ、先輩っ…、ご、ごめ…」

謝りかけたオレの言葉を遮り、先輩は口を開いた。何故かネコムラ先輩を睨んでる。

「こいつは俺達の問題だ。余計な事はすんなって言ったじゃねぇか!」

「そう。僕達の問題だよ。だから僕も当事者。それとも、今更僕だけ蚊帳の外?それは無いよねタヌキ君?」

ネコムラ先輩は涼しい顔でそう言い、オレに笑いかけた。

サツキ先輩は何かを言いかけて口を開き、それから諦めたようにため息をついた。

「…ジュンペー…」

先輩はオレに向き直ると、眉を八の字にした。…滅多に見せない、哀しげな顔…。

「キイチから、話を聞いたのか?」

「…は、はい…」

「…そか…」

先輩は頷くと、ちらりとネコムラ先輩を見た。

「聞いてのとおり俺も男が好きなんだ。だから、お前も同じだって聞いた時、驚いたけど少し安心した…。バレても、変わら

ねぇ付き合いができるなって…。そして、お前の気持ちは、本当は嬉しかったんだ…」

…先輩…。

「…でもな…、俺はこのキイチと付き合ってる。だから…」

 先輩は一度言葉を切る。その表情は哀しげで、辛そうで、見ているオレの胸も痛んだ…。

「…済まねぇ…。お前の気持ちには、応えてやれねぇんだ…」

「…はい…」


 先輩はため息を吐き出し、肩を落として視線を足元に向ける。

「俺は…、ひでぇ先輩だな…。お前の事、何も気付いてやれなかった…。お前が慕ってくれんのを良い事に、好き勝手に先輩

面してたくせによ…」

「そ、そんな事は…!」

サツキ先輩はため息をつき、それからオレの前でしゃがみ込み、目線を合わせた。

「軽蔑してくれて構わねぇ。俺はそれだけの事をしちまったんだからな…。お前の気が済むんなら、好きなだけ俺の事ぶん殴っ

てくれて構わねぇ」

「…そんな事…、出来るわけないじゃないですか…!」

先輩の顔は真剣で、その言葉は本気だった。オレは慌てて首を横に振る。が、

「じゃあ、一発だけお見舞いしちゃったら?サツキ君もこう言ってるんだし」

思わぬ言葉は、隣のネコムラ先輩からだった。驚いて横を向くと、ネコムラ先輩は涼しい顔で続ける。

「それでサツキ君の気持ちが少しでも晴れるなら、手助けと思って一発お見舞いしちゃえ!」

…平気なんですかネコムラ先輩?その…、自分の恋人が目の前で殴られても…?

しかしオレ本人の意志は無視され、サツキ先輩は一歩下がって、「おっし!ガツンと来い!」なんて言い出した。ちょちょ、

ちょっとぉ!?

「曲がりなりにも先輩相手なんだから、見られたままじゃさすがにやり辛いだろうし、サツキ君は目を瞑っててよね?」

ネコムラ先輩も立ち上がると、サツキ先輩の顔を見上げて何やら指導を始める。

「む、そういうもんか…。こうか?」

「うんそう。目を開けちゃだめだよ?」

「おう!」

「それじゃタヌキ君」

「いや!「おう!」じゃなくて!「それじゃ」じゃなくて!オレがそんな事できる訳…!」

慌てて首を振るオレに、ネコムラ先輩は悪戯っぽく笑うと、そっと耳打ちした。

「…えっ!?」

「しーっ!」

驚いて顔を見つめたオレに、ネコムラ先輩は悪戯っぽい笑みを浮かべたまま頷いた。

…良いんですかネコムラ先輩?その…、自分の恋人が目の前でそんな事されても…?

「さ、早いトコ済ませちゃおう」

「は、はぁ…」

ネコムラ先輩は躊躇うオレの背を押して、サツキ先輩の前に立たせる。

「い、良いですか?行きますよ先輩?」

「おう!遠慮は要らねぇ、拳骨でも蹴りでも思いっきりドンと来い!」

目を瞑ったまま威勢良く応じた先輩は、何かに気付いたように、急に不安げに顔を顰め、ぼそっと付け加えた。

「…何処に何しても構わねぇけど、くれぐれもキンタマ蹴ったりとかは勘弁な…?これ以上縮こまると困るから…」

そんな恐ろしい事出来ませんよっ!

「はい…。えぇっと…、もうちょっと顔を下げて貰えると…」

「おう。こうか?」

先輩は少し腰を屈める。

ちらりと横を向いたら、ネコムラ先輩はニッと笑い、立てた親指を喉の前で横切らせ、下に向けた。…ヤれってか…。

覚悟を決め、オレは先輩の顔めがけ…。

「んぐ!?」

先輩は驚いて目を開けた。その眼前には、オレの顔…。

…オレの、ファーストキス…。

 これまでに何度も思い描いた先輩とのキスは、長い、長い片想いへの…、お別れのキスになった…。



「…キイチ、お前の入れ知恵だろ?」

「いいじゃない。十発や二十発殴られた所で全然堪えないでしょ?」

「…確かに…、殴られるよっか、よっぽど堪えた…」

先輩はため息をつくと、オレに視線を向けた。

オレ達は今、並んでベンチに座っていた。真ん中にオレ、右にサツキ先輩、左にネコムラ先輩が座っている。

「ジュンペー…。こんな事になって今更だが…、どう詫びれば良いのか、俺には分かんねぇ…」

「いえ、悪いのはオレの方です…。考えてみればオレ、一方的に惚れて、告白する勇気も持てなかったあげく、勝手に横恋慕

しようとしてた訳だし…。…それどころか、オレの方こそ、先輩方にあんな酷い事言っちゃって…」

「それこそ気にしなくていいよ。最初にきちんと説明しなかったサツキ君が悪いんだから」

「そりゃあ俺が話す前にジュンペーが飛び出して行っちまったから!…って、言い訳にもなんねぇよなぁ…」

すっかりしょげかえって、耳をぺたっと伏せているサツキ先輩に、ネコムラ先輩はさらに言い募る。

「そもそも、サツキ君は周りの事に鈍感過ぎ!自分がどう見られてるかぐらい、気にしておかなきゃダメだよ?」

「…返す言葉も御座いません…」

サツキ先輩はますます小さくなる。この二人、イニシアティブはネコムラ先輩にあるみたいだ。叱られてしょぼくれている

先輩の様子は、普段とはあまりにもギャップがあって、オレは思わず吹き出してしまった。

「あ〜あ!ちょっとは期待したけど、脈は無さそうだ!」

オレはすっかり暗くなった空を見上げ、背もたれに寄り掛かり、努めて明るくそう言った。

「オレ、諦めます。先輩方の仲見てたら、オレが入り込める隙間なんて無さそうだし…」

「ジュンペー…」

サツキ先輩は耳を伏せ、眉を八の字にしたままオレを見つめた。

…そんな顔、しないで下さいよ…。

未練が無いって言ったら嘘になる。こうしていても先輩への恋心は疼き続けてる。でも、諦めなくちゃいけないんだ…。大

好きな先輩を、これ以上困らせちゃいけないから…。

「一つだけ、お願いしたい事があるんですけど…」

「…なんだ?」

「その…、こんな事があってからで、なんですけど…」

躊躇いながら話すオレを、先輩はじっと見つめる。

「…これからも今までみたいに…、先輩と後輩の間柄で、いてくれますか?」

サツキ先輩は驚いたようにオレを見つめた後、

「良いのか?俺は、お前に酷ぇ真似を…」

オレは首を横に振る。

「先輩さえ許してくれるなら、先輩は、いつまでもオレの憧れの先輩です…」

「…ジュンペー…!」

先輩は今にも泣き出しそうに顔を歪めた。潤んだ目でオレを見つめた後、先輩はオレの背に腕を回して抱き締めてくれた。

「…これからも、オレの先輩でいてくれますか?」

「当たり前だ!何があっても、いつまで経っても、お前は俺の大切な…可愛い後輩だ…!」

抱き締めてくれた先輩の優しい温もりに…、言葉に…、不覚にも涙が零れた…。先輩が苦しむから、泣き顔なんて見せちゃ

いけない、そう思ってたのに…。

 オレは先輩の背に、そっと手を回した。

今だけは…、せめて最後に一度だけは…、こうして先輩と抱き合っても良いかな…?

オレの後ろで、ネコムラ先輩が小さく鼻をすすり上げたような気がした。

すぐには気持ちの整理はつかないと思う。しばらくは先輩の事を想うだけで辛いと思う。でも、きっと大丈夫だ。

 先輩の太い腕にしっかりと抱き締められ、その温かさと優しさを全身で感じながら、オレは小さく頷いた。

 オレはこれからも、何があっても、いつまで経っても、後輩として先輩を慕い続ける事ができる…。

 先輩がいつまでも、憧れの先輩のままでいてくれるから…。