第一話 「配達人はアイアングレー」
 身に覚えの無い疑惑で職を失った門脇弘道は、その日奇妙な男と出会う。自らを配達人と称する、鋼鉄を思わせる灰色の毛に覆われた虎男と。

第二話 「報いの配達人」
 ムンカルと名乗る虎男の仕事を手伝わされたカドワキは、最後に配達に向かった先でひどく驚く事になった。ムンカルが届けるモノ、それは…。

第三話 「配達人はマットブラック」(前編)
 幼い男の子は入院している祖父の病室で奇妙な訪問者と遭遇する。真っ黒な革のライダースーツに身を包んだ、黒い毛に覆われた訪問者と。

第四話 「配達人はマットブラック」(後編)
 ベッドの上でみじろぎをしないヤエの顔を見下ろし、コウキは哀しさと悔しさ、憤りを噛み締めた。そして彼は十三年ぶりに出会う。黒い訪問者に。

第五話 「死記の配達人」
 アズライルと名乗る黒豹のバイクに乗せられ、コウキは夜の街を駆け巡る。配達人を認識できるコウキ、それはある事を決意したせいであった。

インターミッション1 「ムンカルとナキール」 

第六話 「配達人はパールホワイト」(前編)
 友人に付き合い病院へ赴いたミリア・ノートンは黒いライダースーツを纏った奇妙な男と遭遇する。それは、白毛に覆われた肥満の巨漢であった。

第七話 「配達人はパールホワイト」(後編)
 その夜、喉の渇きを覚えて目覚めたミリアは待っていたようにキッチンに佇んでいた無断侵入者に気付いた。北極熊の顔を持つ奇妙な訪問者に。

第八話 「吉兆の配達人」
 配達人ジブリールは、自分を認識するミリアとの接触によって、因果の乱れを知った。乱れを修正すべく、北極熊は届け物を抱えて走る。

インターミッション2 「アズライルとナキール」 

第九話 「ミッドナイトブルーメモリーズ」(前編)
 週末の深夜、峠に集って腕を競い合っていたライダー達は、奇妙なバイク乗りと遭遇する。一方、偶然居合わせた鉄色の虎と黄色い獅子は…。

第十話 「ミッドナイトブルーメモリーズ」(中編)
 首無しライダーについて調査を始めたムンカルだったが、進み具合は芳しくない。お目付け役としてミカールまでついて来てしまい不機嫌だが…。

第十一話 「ミッドナイトブルーメモリーズ」(後編)
 姿を見せない相手に配達すべく一計を案じたムンカルは、目論見どおり再戦の機会を得た。リボルバーを片手に、追うは首無しライダーの背。

インターミッション3 「ミカールとナキール」 

第十二話 「ベビーフェイスジャッカル」(前編)
 いつもながら最も遅く起床したムンカルは、食堂で見覚えのない顔を目にする。希少かつ厄介なケースに対応するべく派遣されたという彼は…。

第十三話 「ベビーフェイスジャッカル」(中編)
 残された気配を辿り、着々と配達対象に迫るアズライルとキャトル。一方その頃、ケイタはシゲジの殺害を決行する直前の状態にあった。

第十四話 「ベビーフェイスジャッカル」(後編)
 配達相手の反応が消失していたその理由を、アズライルは驚きと共に理解した。ベビーフェイスのザバーニーヤ(清掃人)、いざ清掃開始!

インターミッション4 「キャトルとナキール」 

第十五話 「スカーレットスケルトン」(前編)
 夏休みの夜を楽しむ若者達。そんな彼らに気付かれる事無く忍び寄る、赤を纏う影。禍々しい気配を嗅ぎ取ったムンカルは現場へ急ぐが…。

第十六話 「スカーレットスケルトン」(中編)
 赤い衣を纏う獣骨、因果の外側に在るモノ死神アンクーを討伐すべく、鉄色の虎は単独で追跡を行う。舞台は住宅街を離れ、山林へ移された。

第十七話 「スカーレットスケルトン」(後編)
 一度は退けられたものの、このままではおさまらない虎男は、ミカールにある事を懇願した。鉄色の虎ムンカル、「発砲許可」受諾!

インターミッション5 「ジブリールとナキール」 

第十八話 「堕人」(前編)
 縁の配達人バザールは、一日の配達を終えた雑踏で同業者を見かける。一方、黄色い飛行艇にはトレンチコートを纏った訪問者が…。

第十九話 「堕人」(後編)
 配達人の面々は、中央管理室長である灰色熊より、堕人発生の注意喚起を受ける。その翌日、飛行艇にはまたも客が訪れて…。

第二十話 「管理人はディープグレー」
 奪われたエネルギーゲート。機能停止する飛行艇。単独で奪還を試みるナキール。混迷を深める砂礫の大地に、「絶対矛盾」が舞い降りる。

第二十一話 「清掃人はスチールグレー」
 堕人ハールートと対峙するのは最古の清掃人。ナンバーゼロのザバーニーヤ、スィフィルの黒い鎌が、堕人の咎を削ぎ落とす。

インターミッション6 「バザールとナキール」 

第二十二話 「配達人はレモンイエロー」(前編)
 配達前に報いが消失し、真っ白になった葉書を確認したミカールは、原因の調査を始める。その先で、最悪の危険と遭遇する事は知らぬまま。

第二十三話 「配達人はレモンイエロー」(中編)
 喧騒に満ちた一日を迎えるデイヴィッド。街中に佇む北極熊と白猫。因果を調律すべく駆け回るミカール。歯車はゆるやかに回り出していた。

第二十四話 「配達人はレモンイエロー」(後編)
 管理人をも退け、ミカールの手からも易々と逃れた赤眼の北極熊は、乱れの根源を見定めた。そしてミカールは、ついにデイヴィッドと接触する。

第二十五話 「大いなる敵対者」(前編)
 仕事の合間に食事を摂っていたデイヴィッドは、通い慣れたオープンテラスのカフェで声をかけられた。その男は北極熊の顔をしており…。

第二十六話 「大いなる敵対者」(中編)
 邂逅から数日の後、カフェで北極熊と再会したデイブは忠告とも警告ともとれる発言を受ける。それは、日常の終わりの宣告でもあった。

第二十七話 「大いなる敵対者」(後編)
 急激に変化してゆく状況の中、アル・シャイターンと交戦していたミカールは、彼から取引を持ちかけられる。一方、孤児院へ急ぐデイブは…。

第二十八話 「敵対者たる条件」(前編)
 白猫から不吉な言葉を告げられたデイブは、ガビアルの頭部を持つ執行人と遭遇する。その頃上空では北極熊と黒い雌牛が交戦状態にあった。

第二十九話 「敵対者たる条件」(中編)
 休戦を決めた管理人、配達人達。戻った白猫を監視する堕人達。そして、孤児院に押し入った青年達。トリガーは絞られ、デイブの日常は終わる。

第三十話 「敵対者たる条件」(後編)
 ミカールが、イブリースが見守る中、大特異点はその力を発現させ始める。選択の時はついに訪れ、デイブは、旅の終着点へ辿り着いた。

インターミッション7 「イスラフィルとスィフィル」

第三十一話 「アズライル奮闘記」(前編)
 休日を思い思いに満喫する配達人の面々。ジブリールに連れられて外出していたアズライルの様子がおかしい事を見て取ったミカールは…。

第三十二話 「アズライル奮闘記」(中編)
 奥手なアズライルと鈍感なジブリールをぐっと親密にさせようと、極秘作戦を実行に移したミカールとムンカル。さて、その成果は、はたして…。

第三十三話 「アズライル奮闘記」(後編)
 本人よりもノリノリだった虎と獅子のおかげで告白の舞台は整った。「やればできる子」アズライルは、ついに勝負をかける。

第三十四話 「敵対者の極めて平凡な日常」(前編)
 飛行艇のクルー達が東洋の島国で休日をエンジョイしていた頃、遠く離れた異国の長距離列車では…。

第三十五話 「敵対者の極めて平凡な日常」(後編)
 ヘルマンが目的の品と関係する人間である事を看破したイブリースは、その行動をしばし見守る事にした。そして彼は囁く、「選択の時だ」と…。

インターミッション8 「続・バザールとナキール」

第三十六話 「審問会」(前編)
 友人を失う結果となった過酷な職務から戻った灰色熊は、疲れた様子も見せずに部下達を労いながらも、静かに、次なる戦いに備えていた。

第三十七話 「審問会」(中編)
 デイブの、そしてミカールとイスラフィルの処遇が決められる審問会が、ついに開催となった。獅子と雌牛は席につき、灰色熊がそれを見守る。

第三十八話 「審問会」(後編)
 審問は続く。議長の犀はミカールとイスラフィルの処罰可否について挙手を求める。一方その頃デイブは、ある者に別れを告げようとしていた。

第三十九話 「新たなる配達人」(前編)
 デイブの処遇を決める採決が間近に迫っていた。旧友に助言を仰いだイスラフィルは、去らねばならない自分にできる、最後の務めを果たす。

第四十話 「新たなる配達人」(中編)
 街に別れを告げるデイブとお守りのジブリール、審問会に赴いていたミカールとイスラフィルは、双方とも移動ベースである飛行艇に帰還する。

第四十一話 「新たなる配達人」(後編)
 新たな生活が始まったと頭では理解しながら、若虎は胸の内に重苦しい感情を抱え込んでいた。その不安を見抜いて差し延べられたのは…。

インターミッション9 「続々・バザールとナキール」

第四十二話 「ロスタイム」(前編)
 配達人アズライルは、ある青年をゲートで冥牢へ送り込んだ後、ある死記を拾う。それが、恵まれた今の暮らしに終わりを告げるサインとなる。

第四十三話 「ロスタイム」(中編)
 黒獅子の襲撃を受けたアズライルは覚えの無い光景を垣間見た。それに戸惑う余裕も無いほど追い詰められた彼女の元へ駆けつけたのは…。

第四十四話 「ロスタイム」(後編)
 危機から逃れ職務遂行にかかった黒豹は、心揺さぶる魂に便宜を図る。忘れられたシステムとのリンク…。制限の解除…。アズライル、除幕!

第四十五話 「兆し」(前編)
 アズライルが強引に除幕をおこなったその頃、その余波は遥か遠い街まで及んでいた。その街で、独立配達人バザールは奇妙な白猫と出会う。

第四十六話 「兆し」(中編)
 バザールは白猫を追って警報発令中の街中へ飛び込む。管理人、執行人、堕人に配達人。入り乱れての大規模混戦が、人知れず始まった。

第四十七話 「兆し」(後編)
 致命的なプログラムに蝕まれたバザールを前に、白猫は断片的な言葉を紡ぐ。その言葉は、いずれ彼女に課せられる役割を示唆していた。

インターミッション10 「近頃のバザールとナキール」

第四十八話 「イコン」(前編)
 ジブリールは目覚める。過ぎし幸せだった日々の出来事を夢に見て。彼らの新たな滞在地、乾いた砂塵が舞う国で、事件は起ころうとしていた。

第四十九話 「イコン」(中編)
 最も危険度の高い堕人の一人、アスモデウスと遭遇したムンカルとナキールは、二人で果敢に挑みかかる。一方ジブリールも旧友と向き合い…。

第五十話 「イコン」(後編)
 かつての友と相対するジブリール。除幕して名立たる堕人に挑むナキール。一方、戦線離脱を余儀なくされたムンカルは、イコンの意味を知る。

第五十一話 「反逆者の再誕」(前編)
 飛行艇に戻る事無く、古馴染みのミカールにすら詳細を話さず暗躍するジブリール。北極熊の真意は伏せられたまま、ついにそれは始まった。

第五十二話 「反逆者の再誕」(中編)
 難民キャンプを蹂躙する虐殺者達の猛威。路地裏で呆然と座り込む少女。災禍の中を単騎駆ける若き兵士。それを見守る北極熊の真意は…。

第五十三話 「反逆者の再誕」(後編)
 ジブリールが連れて来た黒豹の処遇をめぐり審問会が開かれる。そこへドビエルの命で部下が連れて来たのは、紺色の剛毛を纏う猪であった。

第五十四話 「収まるべき場所」
 審問会で所属を定められてから数日後、黒豹は生家の庭に立っていた。アズライル再誕編、後日談。

インターミッション11 「バザールとナキールと…」

第五十五話 「終わりが始まる時」(前編)
 白猫の半覚醒が起こって数日、北極熊は欠片を求めて移動しようとしていた。そこへ接触を図ったのは、彼同様に危険視される黒獅子だった。

第五十六話 「終わりが始まる時」(中編)
 黒豹と北極熊。必然的邂逅が起こったその時、終わりは始まった。終末に向けて加速する状況の中、終わりを告げるもう一つの宿命が交わる。

第五十七話 「終わりが始まる時」(後編)
 激突する二頭の北極熊。変わり果てた旧友と再会するミカール。それぞれ介入する灰色狼と、鉄色の虎…。光の粒子が、夜空を染めてゆく。

第五十八話 「流れ落ちる星」
 復帰したムンカルが戦線に加わったその頃、応援を求めたミカールは遠く離れた地で異変が生じていた事を知る。一方ジブリール達は…。

第五十九話 「胎動する謀略」
 アル・シャイターンは激闘の末、ついに望む物の一方を手に入れた。そしてその頃、本部や他の現場でも異変の兆しが現れ始めていた。

第六十話 「綻ぶ絶対防衛」
 策にはまったイブリース。テリエルの介入。清算の時が訪れたと考えたミカールは固有プログラムを起動する。一方、本部では不穏な動きが…。

第六十一話 「身中の害悪」
 単身での本部潜入を成功させたアスモデウスは、本部最上層の制圧を目論む。それを迎え撃つは本部支配人、巨犀のハダニエル。

第六十二話 「ミカールの悔恨」(前編)
 イブリースは去り、ネビロスも撤退した。探索が続く中、ミカールは壊れた飛行艇の中で語り始める。イブリースが誕生した、その時の事を。

第六十三話 「ミカールの悔恨」(中編)
 過去のアズライルが処刑されるに至った事情を知った一同は、次いでその直後の事を聞かされた。当時の上層部が崩壊した事件について。

第六十四話 「ミカールの悔恨」(後編)
 ミカールの話も大詰めを迎えた。アズライルに、ムンカルに、ナキールに、ザ・プレデターと、アル・シャイターン誕生の経緯が明かされる…。

第六十五話 「胎動する滅び」(前編)
 無理を押し通して何とか転送を受けられたバザールは、ミカール一行のもとに馳せ参じた。一方その頃、ネビロスとアシュターは…。

第六十六話 「胎動する滅び」(後編)
 鯱と牝牛が存続をかけて危機に向き合っているその頃、イブリースは静かに時を待っていた。 そして、滅びが目を覚ます。

第六十七話 「滅びの配達人」(前編)
 咆哮する白き災厄、アル・シャイターン。執行人ですら気休め程度の障害にもならない悪夢の権化に、手負いの獅子が立ち向かう。

第六十八話 「滅びの配達人」(中編)
 獅子に代わって災厄に立ち向かう、鉄色の虎と蒼鉄の狼。一方その頃本部でも、主力同士の激突が始まっていた。

第六十九話 「滅びの配達人」(後編)
 本部内の戦闘が激化する中、ついにテリエルがミカール達の危機に気付く。一方、ムンカルとスィフィルは絶望的な防衛戦を強いられ…。

第七十話 「陽光の間欠泉」
 絶望を体現するような白き災厄に、ムンカルとスィフィルの二人掛かりでも敵わない。決死の維持が続く最終防衛線へ参戦したのは…。

第七十一話 「最終防衛線」(前編)
 喪失。打ちのめされるような現実を前に、各々の中で何かが変わり始める。そして、機能停止に陥ったムンカルを救助したスィフィルは…。

第七十二話 「最終防衛線」(中編)
 アル・シャイターンを前に並び立つスィフィルとネビロス。清掃人と堕人というまさかの共闘。前代未聞のタッグが白き災厄に挑むが…。

第七十三話 「最終防衛線」(後編)
 アスモデウス、ネビロス、そしてバザール。死力を尽くす三者ですら、白き災厄は止められない。しかしその状況でも、白い希望は降り立った。

第七十四話 「終わりの配達人」
 死守された防衛線。目覚める鉄色の虎。アルシャイターンは理解する。ソレが、世界が自分を止める為に用意した存在だという事を…。

第七十五話 「カルマブレイカー」
 皆が繋いでくれた力を胸に、ミカールが用意した可能性を手に、ムンカルは、遍在する神の定めたもうた宿業すらも破壊する。

最 終 話 「配達人」
 決戦を終え、各々が後始末に臨む。そして一年ほど時は流れて…。ムンカルの配達はまだ続く。



生まれ直したその意味は
 サイト三周年記念作品。本編四十一話までのネタバレを含む為、読了後の閲覧推奨。(同性愛表現含有。18禁)

過ちを犯したその責任は
 番外編。本編五十四話、インターミッション11までのネタバレを含む為、読了後の閲覧推奨。(同性愛表現含有。18禁)

キャラクターファイル (最終更新 2011/12/17)
 本編の進み具合にあわせて不定期更新。更新時点の最新話までのネタバレを含みます。